リウマチ
よく耳にする「リウマチ」は、
- 関節リウマチ
- リウマチ性疾患
を指すことが多いのですが、言葉の定義が統一されているわけではありません。
リウマチ性疾患は、全身の運動器(関節、筋肉、骨、靭帯、腱など)の疼痛とこわばりを呈する病気の総称です。
リウマチ性疾患はその原因別に、
- 免疫異常(関節リウマチなど)
- 感染症
- 内分泌、代謝異常(痛風など)
- 腫瘍
- 退行性変化(変形性関節症など)
- 遺伝的素因の関与
- 遺伝子疾患
- 外傷(骨折など)
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)
- アレルギー
の10の群に分けられます。
よく聞く「関節リウマチ」は、リウマチ性疾患の中の免疫異常を元に発症する病気の一種であり、ここでは「リウマチ性疾患」に関して説明します。
リウマチ性疾患とは?
リウマチ性疾患は、全身の運動器(関節、筋肉、骨、靭帯、腱など)の疼痛とこわばりを呈する病気の総称です。
アメリカリウマチ学会の分類によると、これらは100種類以上の疾患に分類されています。
リウマチ性疾患の陰にどんな病気が隠れているか分からないことが多く、とても難しい病気のひとつです。
病気によっては「全身性リウマチ性疾患」といい、関節のみにとどまらず、全身の様々な臓器病変を同時に伴う疾患もあります。
特に湿疹をはじめとする皮膚の症状、腎臓や肺といった内臓に異常をきたす場合もあります。
また、リウマチ性疾患には人種や遺伝的な素因が関与しているようです。
たとえば全身性エリテマトーデスではヒスパニック系、アジア系人種は白人に比べて発症頻度が高いとされ、関節リウマチ患者の1親等は一般人に比べて16倍の発症リスクがあるとされています。
リウマチ性疾患の症状
リウマチ性疾患の症状は、関節や筋肉に主に生じます。
突然発症する関節痛の代表例は痛風です。
そのほか神経疾患、腫瘍、退行性変化ではゆっくりと症状が進行します。
免疫異常の中でも、関節リウマチはゆっくりと症状が進行しますが、症状ごとに経過が異なります。
関節や筋肉の痛みの場所、性状などもリウマチ性疾患の原因により大きく異なります。
そのほか発熱、全身倦怠感、体重減少など、一見関節や筋肉の痛みとは関連しない症状が重要なヒントになることがあるため、どんなに細かいことでも医師に伝えてください。
リウマチ性疾患の原因
リウマチ性疾患は前述のとおり、数多くの病因によって生じます。
その中でも「関節リウマチ」や「全身性エリテマトーデス」などの免疫異常を原因とする病気では、なぜそのような病気になるか未だ解明されていません。
そのため、出てきた症状に対して対応していくしかないのが現状です。
リウマチ性疾患の合併症
リウマチ性疾患では、原疾患に関連した合併症が起こりえます。
自己免疫の異常により免疫細胞が減少するため細菌感染症にかかりやすくなったり、自身の細胞を敵と認識して、免疫細胞の攻撃を受けたりします。
また、各臓器に影響が出ることで、神経障害、運動障害、呼吸・循環障害を呈することもあります。
リウマチ性疾患の治療法(*1)
リウマチ性疾患に対する治療は、
- 薬物療法
- 理学療法
- 手術療法
を組み合わせ、関節破壊の防止と日常生活への復帰を目標とします。
①薬物療法
リウマチ性疾患の多くは、異常な免疫反応の亢進や、過剰な炎症反応が見られます。
そのため、免疫反応や炎症反応を抑える薬を長期にわたり継続する必要があります。
特に、免疫異常によるリウマチ性疾患では、
- ステロイド薬
- 抗リウマチ薬
- 免疫抑制剤
など、多くの副作用が出やすい治療薬が使用されます。
また、疼痛管理のために処方される「NSAIDs」という消炎鎮痛薬は、長期の服用により胃潰瘍を引き起こすため、定期的な観察が必要です。
②理学療法
リウマチ性疾患の中でも、関節リウマチで対して理学療法は有用です。
関節リウマチによる関節の障害は、
- 関節そのものの破壊
- それを取り巻く靭帯、腱、筋肉の弱体化
により起こります。また、天候や過労、かぜ、心理的負担などを契機に、その症状が悪化します。
理学療法の一番の目的は、自身で生活できる機能を獲得することであるため、それぞれの症状に応じたリハビリ種目を行います。
③手術療法
リウマチ性疾患における手術療法は、主に関節リウマチ患者や変形性関節症に対する関節の機能改善を目的に行われます。
関節リウマチ患者に対する手術は、機能を回復するための最後の手段と考えられていますが、全身の状態が改善していることも重要です。
つまり、手術によって得られる効果と、手術に伴う合併症のリスクとを天秤にかけながら検討しなければなりません。
一方で変形性関節症の場合は、変形した関節の機能改善だけを目指すため、手術により症状が改善するのであれば、積極的に手術を受けることをお勧めします。
まとめ
リウマチの原因や種類は多く、その治療法も多岐にわたります。
複雑な病態が絡み合っているため、一筋縄ではいかないことも多いです。
関節の痛みやこわばりなど、リウマチ性疾患が疑われるような症状がある時は、リウマチ疾患の専門医とよく相談してください。
治療方針に悩む時は、セカンドオピニオンとして複数の意見を聞くこともお勧めします。
■参考
*1(参考)日本リウマチ財団 治療ガイドライン