当院のご案内
検査時の注意事項
検査で使用する造影剤について
CT検査やMRI検査で造影剤をいう薬剤を使用して検査する事があります。
造影剤を使う事で画像検査をより診断しやすくする為に使います。
造影剤を使わないで検査する事もあり、調べたい病気によって変わってきます。
ヨード系造影剤
CT検査ではヨード系造影剤というものを使用しています。
安全性が確立されている薬剤を腕の静脈から100ml程度の量を注射して注入しますが、検査時の状態やアレルギー体質などが関係し、副作用が発生する事があります。
1. 比較的軽度の副作用
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- 吐き気や頭痛、かゆみ、くしゃみ、動悸、じんま疹などが該当します。治療を要さずに回復する事が多く、発生頻度としては5%以下(100人に5人以下)になります。注入時に熱感を感じる事がありますが、数分で引く事が多いです。
2. ちょっと重い副作用
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- 呼吸困難や血圧低下、意識障害などが該当します。発生頻度としては、0.1%程度(1000人に1人)と言われています。
3. 重篤な副作用
- まれにショックから心停止に至るケースがあります。0.001%未満(10~20万人に1人)の確率と言われています。
ガドリニウム造影剤
MRI検査ではガドリニウム造影剤というものを使用しています。
使用する量は多くて20ml程度でCT検査の時の1/4以下の量になります。
基本的に発生する副作用の症状はCT検査(ヨード系造影剤)と同じです。
MRI経口消化管造影剤
MRI検査で胆道系の検査をする時に使用します。鉄分を含む造影剤で経口投与します。
鉄分アレルギーがある場合は使用出来ない事があります。また、鉄分の影響で一時的に便が黒くなる事がありますが、一過性のものです。また副作用として下痢を生じる事があります。
副作用については、①即時性副作用と②遅発性副作用があります。
- 1. 即時性副作用は、薬剤注入後すぐに発生し、多くは痒みや蕁麻疹、嘔吐、くしゃみ、喉の違和感などの軽い症状ですが、まれに呼吸困難、ショック、アナフィラキシー様反応などの重篤な症状を生じる場合があります。
- 2. 遅発性副作用については、検査の数日後に発生するケースを言います。即時性と比較して症状が軽い場合が多いですが、何か症状が現れた場合は当院か、最寄りの医療機関まで受診下さい。
また、気管支喘息の方や腎機能が悪い方では上記の副作用が発生する確率が上昇すると言われており、使用出来ない場合があります。
※当院では気管支喘息や透析をしている方への造影剤使用は控えています。CT造影検査は透析していても可能です。
造影検査後の注意点
CTやMRIの造影剤は24時間後にはほぼ体外に排泄されます。尿中排出がメインになりますので、検査当日は水分を多めに摂取するようにして下さい。心臓病や腎臓病などで水分制限をしている方は主治医まで相談して下さい。
CTヨード系造影剤と糖尿病薬の一部の薬について
一部の糖尿病薬はヨード系造影剤と相性が良くないものがあり、乳酸アシドーシスという病気を引き起こす可能性が合われています。そのため該当の薬剤(ビグアナイド系の糖尿病薬)を服用している方は検査当日~検査終了48時間の服用を中断して下さい。
一覧はこちら
http://www.radiology.jp/content/files/20180320.pdf
※日本医学放射線学会の該当ページに飛びます。
被ばくについて
CT検査やX-p(レントゲン)検査ではX線という放射線を使って検査をしています。X線を始めとする放射線は使い方を間違えれば人体に影響を及ぼしますが、ルールの範囲内で使用すれば、医療、特に診断において十分に役立てるとてもメリットがあるものです。
我々が使用する放射線の量は身体に影響が出ると言われている量よりも十分に少ない量で検査をしています。また目的の部分のみに使用する事で、他の正常な部位における被ばくを最小限にし、かつ適性に診断が出来るように検査をしています。
下記に代表的な被ばくの量(目安)を記載しますので、参考にしてみて下さい。
通常のCT検査1回で受ける被ばく量は10~40mSv(0.01~0.04Sv)と言われています。
一方で放射線による身体に影響が出てくる最小の数値が150mSv(0.15Sv)になり、この量を1回の放射線検査や放射線治療で生殖腺に浴びると一時的な不妊が発生します。※時間が経てば回復します。
体の中には放射線の影響を受けやすい部位と、影響を受けにくい部位があります。特に生殖腺は影響を受けやすい部位です。他に影響を受けやすい部位としては、骨髄細胞やリンパ系の組織があります。
- 0.5Gy リンパ球の一時的減少
- 1.5Gy リンパ球の著明な減少、放射線宿酔
- 3Gy 〜 一時的脱毛,皮膚紅斑
- 3〜10Gy 骨髄死:血球減少による感染症と出血
- 8Gy〜 腸管死:小腸上皮脱落 →脱水、出血、敗血症 肺臓炎、腎硬化
- 数10Gy〜 中枢神経死
- 現代の医学では8-10Gy以上の全身 被ばく患者の治療は困難です。
一方で放射線治療ですが、これは放射線を使って悪性細胞をやっつける行為ですので、それ相応の放射線量(40~60Gy程度)を使います。X線に関してはざっくり言うとGy≑Svと考える事も出来るので、その量の多さが分かると思います。
※厳密にいうと、GyとSvは別の意味を表していますが、それだけで教科書数ページ分のボリュームがあるのでここでは省略します。興味がある方は調べてみて下さい。放射線の種類や照射部位によって値が変わってきます。
http://www.aomori-hb.jp/ahb4_5_6_06.html
上記の青森県のHPの説明が分かりやすいです。
なお放射線治療は実際の治療前に厳密に計画を立てるので、正常組織への影響を最小限に抑えて治療しています。
またX-p検査やCT検査では使用した放射線が体内に残る事はありませんので、検査後に子供さんと接触しても、子供さんが被ばくするという事はありませんので安心して下さい。
以下は主なCT検査における被ばくの量です。
検査部位 | 水晶体 | 甲状腺 | 乳腺 | 子宮 | 卵巣 | 精巣 |
---|---|---|---|---|---|---|
頭部 | 50 | 1.9 | 0.03 | * | * | * | 胸部 | 0.14 | 2.3 | 21 | 0.06 | 0.08 | * |
腹部 | * | 0.05 | 0.72 | 8 | 8 | 0.7 |
骨盤部 | * | * | 0.03 | 26 | 23 | 1.7 |
なお、X-p検査においてはCT検査の1/10以下なので、X-p検査だけで身体に影響を及ぼすような事はありません。