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当院代表佐藤俊彦のコラム ~急増する前立腺がんの治療法について~

皆さん、こんにちは。

久しぶりの投稿となる今回は、急増する前立腺がんの治療法について、

特に最新のセラノスティクス治療法と68Ga-PSMA-PETの導入についてご紹介したいと思います。

 

ここ20年で前立腺がん、特に去勢抵抗性前立腺がんが急増しています。

日本国内では標準治療が提供されていますが、残念ながら最先端の医療が必ずしも受けられるわけではありません。

 

■セラノスティクス治療法とは?

近年注目されているのが、セラノスティクスという治療法です。

がんにコンタクトするモノクロナール抗体に診断用のアイソトープを標識して投与し、がんに集積し存在場所を評価します【診断】。

その後、治療用のアイソトープを標識したものを投与し、近接照射(内照射)を実施します。

β線治療(177Lu)とα線治療(225Ac)があり、至近距離でがんを照射します【治療】。

最後に診断用のアイソトープで治療効果判定を行います。これらの一連のプロセスがセラノスティクス【治療+診断】です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■当院での68Ga-PSMA-PETの導入

当院では、2024年4月より68Ga-PSMA-PETを導入しました。

この検査は高感度・高特異度の検査であり、PSAレベルが2.0以上であれば90%の確率で陽性となります。

従来のFDG-PETでは見つけられなかった骨転移なども発見可能で、より正確な診断と治療が可能となります。

 

この検査は以下の診療において中核となるべき技術ですが、保険未収載であるために全国的には普及していません。

 

    1. PSA検診で高いと言われて、MRIで異常がない場合
    2. がん治療前のアンドロゲン遮断治療(ADT)の効果判定
    3. 高い臨床ステージング
    4. 前立腺がん術後の経過観察
    5. 放射線治療の効果判定および経過観察

 

■前立腺がんの治療選択

前立腺がんになった場合、手術と放射線治療のどちらがいいのか、よく聞かれる質問です。

病変が小さくても、すでに骨転移や遠隔転移がある場合も多く、FDG-PETでは診えないために、ないものとして手術され、転移巣に病変が残ってしまう・・・

このような状況を防ぐためにも68Ga-PSMA-PETは有効です。

 

また、放射線治療は局所に放射線をかけることで免疫反応が起こり、

全身に免疫細胞が拡散する「アブスコパル効果」も期待でき、再発率が少ないと考えられています。

前立腺がんの治療は日々進化しています。

セラノスティクスや68Ga-PSMA-PETを活用し、進行がんであっても諦めずに治療を行うことをお勧めします。

 

「PSMA-PET検査」についてもっと知りたい方は、ぜひ以下のリンクからYouTube動画をご覧ください。

(前編)https://youtu.be/YDl5-_Bdjtg?si=GhidetE0Y02BuzBG

(後編)https://youtu.be/qZrp-RjjAdY?si=NDEQzLUEV6Nt-o7S

 

ぜひ、最後まで動画をご覧いただければ幸いです。