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当院代表佐藤俊彦のコラム ~肺がん・ステージⅢと診断されたら~  サイバーナイフとイミフィンジによる治療について

~肺がん・ステージⅢと診断されたら~

サイバーナイフとイミフィンジによる治療について

 

宇都宮セントラルクリニック 放射線科医 佐藤俊彦

いつも大変お世話になっております。

 

ステージⅢの非小細胞肺がんは、肺末梢にできた肺がんが縦隔リンパ節に広範囲に転移している状況で、これまでの治療では肺野と縦隔を広範囲に照射する必要があったので、放射線肺臓炎などの副作用が問題になっておりました。治療法は、抗がん剤と放射線療法が標準治療ですが、当院では肺野をサイバーナイフによる呼吸同期で治療し、縦隔については強度変調治療のトモセラピーを使う、といったコンビネーション治療を実施しています。

現在は健康保険の適応はなく、自由診療で行っております。これらの放射線治療は国内でも数施設でしかできない放射線照射です。

切除不能なステージⅢの非小細胞肺がん治療薬として承認されたのがイミフィンジという薬です。がん細胞にはPD-L1という抗原があるのですが、これに対する抗体医薬で、この抗原をブロックすることで、チェックポイントを阻害します。そこで、免疫細胞・キラーT細胞の再攻撃が開始されるというメカニズムです。Immuno-radiotherapy(免疫放射線療法)が、初めて有効だと報告された薬剤として重要です。

中国から来日した患者さんですが、副作用もなく無事に帰国され、イミフィンジによる治療を実施しています

 

イミフィンジの使用ガイドラインでは、最初に分子標的薬と放射線治療を実施します。その際に、サイバーナイフとトモセラピーのコンビネーションをお勧めします。終了後に1年間かけてイミフィンジを投与します。

放射線をがんに照射すると、免疫原性細胞壊死を起こし、それを樹状細胞が認識してキラーT細胞にがんに関する情報を伝達します。そして、キラーT細胞は、全身のがん細胞を攻撃開始します。

一方で、がんは自分の身を守るためにPD-L1という抗原を持っていて、キラーT細胞のPL-1と結合します。このチェックポイントが有効になると、キラーT細胞の攻撃が止むわけです。

イミフィンジは、PD-L1に対する抗体医薬で、この結合がブロックされることで再度キラーT細胞による攻撃が開始されるというわけです。

このイミフィンジを用いた治療により治癒する人がいることも特徴です。ぜひ、あきらめないで、このようなすばらしい治療の進歩を実感していただければ幸いです。まずは診断された時点で、ぜひセカンドオピニオン外来を受診されることをお勧めします。

◇セカンドオピニオン外来

https://ucc.or.jp/consultation/second_opinion

(詳しくは当院のHPよりご確認下さい。)