シンクロにシテイ・・・
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宇都宮セントラルクリニック 理事・放射線科医 佐藤俊彦
シンクロニシテイ=意味ある偶然という精神分析界のユングが提唱した言葉がありますが、最近強く感じることがあります。
http://www.kjsei.net/synchronicity/01.html
ユングはこのシンクロニシティを「体験者あるいは目撃者にとって重要な意味を持つ偶然の出来事で、それによって一種の覚醒あるいは悟りに近い感覚が得られるもの」と定義し、次の3つのカテゴリーに分類している。
① 内面と外界での事象の一致
観察者のある心的な状態と、それと同時に生じる、そのような心的状態に対応するような客観的で外的な出来事との間の符合。その際に、心的な状態と外的な出来事との間に何の因果的な関連も認められず、上述の空間と時間の心的な相対性を考慮しても因果的関連が考えられない。
② 遠隔視
ある心的な状態と、それに対応して生じるけれども、観察者の知覚範囲外、すなわち遠くで生じて、後からやっと確かめることのできる外的な出来事との符合。
③ 予知
ある心的な状態と、それに対抗する、いまだ存在していない未来の、すなわち時間的に離れたでき事との符合。これも後からしか確かめることが出来ない
先日、福島医大の同級生で、福島の某病院の院長をしている藤田先生と奥様と久方ぶりに東京で夕食をご一緒しました。
そのときに、福島では、小児の甲状腺癌が増えているというお話をお聞きし、甲状腺健診の責任者の鈴木慎一教授が任を降りられたことなどもお聞きして、紛糾している現場の状況が目に浮かびました。
おそらく、健診を実施する福島医大側も人員不足ですし、健診自体が本来医大の役割ではないので、住民との意思疎通ができなかったことが大きな要因であったように思います。
NHKスペシャルが、“東日本大震災 38万人の甲状腺検査”というタイトルで放映していますが、いまの混乱がよくわかる内容と思います。30年にわたって、小児の甲状腺検査を実施していくわけですが、信頼関係が構築できなければ、検査を続けることは困難で、2年目の受診率はたったの30%です。
福島県、県民健康調査の報告がなされ、110名の甲状腺癌が確定され、二次検査では約2010人が経過観察中です。
対象となる被爆していないところの小児健診データがないので、はっきりはいえませんが、100万人当たり2名程度の頻度といわれていますので、数100倍の頻度であることがわかります。
http://fukushima-mimamori.jp/news/2015/06/000211.html
低線量被爆に関する人体への影響のデータは、はっきり言ってチェリノブイリしかないと思います。チェリノブイリの1/5の放射線量なので大丈夫という言い方もできると思いますが、拡散によっては、瞬時に大量被爆している人もいるかもしれませんし、事故直後の有機ヨード剤の服用など、実施するべきことはあったはずです。
リスクの影響を最大限とるのであれば、やはり逃げるしかないのではないでしょうか?
子供だけでも・・・
私は、非難しているお母さんたちとも、情報交換させていただいておりますが、ぼくの本がきっかけでした。
http://goo.gl/75R4tU
ぜひ、もう一度、本を見ていただき、ぼくたちが取るべき対応を考え直していただければと思います。
関連する資料のリストを以下に示します。
NHKスペシャル「38万人の甲状腺検査」12/26放送
●関連ブログ
http://blog.goo.ne.jp/osato512/e/265f4bf2fa64134ebf79055b7ff85333
●番組情報(NHK)
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2014060156SA000/
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2014/1226/
●番組映像 1
http://www.dailymotion.com/video/x2dgbpy_%E6%9D%B1%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD-38%E4%B8%87%E4%BA%BA%E3%81%AE%E7%94%B2%E7%8A%B6%E8%85%BA%E6%A4%9C%E6%9F%BB-nhk%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB20141226_news
●番組映像 2
http://www.at-douga.com/?p=12793
●番組映像 3
https://www.youtube.com/watch?v=CqWBHXHt-MY
●この番組に対する「放射線医学県民健康管理センター」の見解
http://fukushima-mimamori.jp/news/2014/12/000152.html
もうひとつのシンクロニシテイが、FUSです。
ワシントンDCで開催された4th International Symposium Focused Ultrasound (FUS) 2014に、昨年参加してきました。そこで考えたことは、重粒子線治療や陽子線治療が日本から輸出されるというプロジェクトがありますが、現状では前立腺がんや膵癌の一部には有効ですが、前立腺癌や乳がん、子宮筋腫や甲状腺癌、がんによる転移性骨腫瘍、関節症、そして本態性振戦にも有効なFUSの可能性はかなり高いのではないかということでした。
現在、日本では、ようやくそれに気がついた病院が導入をはじめています。
とくに、脳神経外科領域では、本態性振戦に関して松山の病院などが、さかんに臨床研究を開始しています。
インサイテックという会社で、イスラエルの技術です。http://www.insightec.com/Japan.html
脳神経外科の領域における経頭蓋MRガイド下集束超音波治療は、過去数年間は機能性脳疾患の領域において主に注目を集めてきましたが、脳腫瘍への臨床応用にも拡大しつつあります。
昨年(2014年)に開催された集束超音波シンポジウム(Focused Ultrasound Symposium)において、スイスのKantonsspital Aarauらのグループが世界初の集束超音波による脳腫瘍の非侵襲的な熱アブレーション治療の症例報告を発表しました。フィージビリティー予備試験の一環として、神経膠芽腫の一部の焼灼に成功しました。
詳細については、以下のリンクをご参照ください。
http://www.xcdsystem.com/fus2014/abstract/abstractforms/screen_view_abstract_public.cfm?ID=22712
また、スイスメディカルセンターのグループは、転移性脳腫瘍の治療についても、以下の報告をしています。
http://www.xcdsystem.com/fus2014/abstract/abstractforms/screen_view_abstract_public.cfm?ID=32706
現在、脳腫瘍をターゲットとした3つの臨床試験に対する募集が始まっています。
1.MRgFUS Feasibility Study for Recurrent Metastatic Brain Tumors
http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT00147056
2.ExAblate Treatment of Metastatic Brain Tumors
http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01473485
3.MRgFUS in the Treatment of brain tumors (new glioma, recurrent glioma or metastatic brain tumors) for whom conventional surgery is not an option http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01698437
上記の臨床試験は腫瘍の破壊に熱焼灼を使用しています。追加の治験として、経頭蓋MRIガイド下集束超音波と造影剤との併用によって、BBBの開門を行い、脳腫瘍内のドキソルビシン増加をもたらす臨床試験の安全性の評価を行う予定です。
詳細については、以下のリンクをご参照ください。
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02343991?term=NCT02343991&rank=1
https://insightec.box.com/s/bk25d1fy32dq8j9b8bwg6owzum4m8jzk
このほか、私どもで今後実施して行こうとしている、アルツハイマー病の遺伝子治療では、遺伝子を導入したい部分に可逆的なFUSを実施して、脳脊髄関門を開くことにより遺伝子の導入を試みることにも応用が期待されています。
栃木県内にも1台あれば、みんなで共同利用できる装置ではないかと、ますます思うようになりました。
今後は、導入に向けて、いろいろ準備をしていくつもりです。
この会社、実は、お医者さんが始めたベンチャービジネスなんです。
いまは、GEの資本が30%入り、GEのMRIとセットで販売されていますが、将来のがんの治療やほかの領域の手術に大きなインパクトを与える可能性があると考えています。
将来的には、フリールのモバイルMRIに搭載して、各地を訪問治療して回ることも可能になると思っています。
世界で初めてだと思いますが・・・???
4.24に発売されました、“あなたのがんは、これで9割防げる”はおかげさまで、ランキング10位まであがってきました。
県内の書店さんには、TSUTAYAさんや落合書店さんでも、特別コーナーにおいていただいて下りますので、ぜひお手にとっていただければと思います。
本は、なかなか売れないのですが、売れなくても、必要な情報に関しては、今後もきちんと出版しながら啓蒙活動を実施して行こうと思います。
ピンクリボンうつのみやも、たくさんの皆さんから協賛金を頂戴し、活動できております。
あらためて、御礼申し上げます。
今後とも、よろしくお願いいたします。