幹細胞培養上清液
細胞レベルの治療として注目されている再生医療の分野で、幹細胞を使った幹細胞培養上清液療法が話題を集めています。この幹細胞培養上清液が、若返りや病気の治療を求める人にとって新しい治療法のひとつとなっている現状をお伝えします。
幹細胞培養上清液とは?
幹細胞培養上清液とは、私たち人の体内に存在している幹細胞を培養した液体から、幹細胞のみを取り出して滅菌などの各種処理を行った上澄み液のことを指します。
この幹細胞は細胞自身が活性化したり成長したりして増殖するために「サイトカイン」と呼ばれるタンパク質を分泌しています。サイトカインは、体の中で損傷を受けた組織や細胞の機能を回復するために重要な役割を担っているのです。
幹細胞培養上清液の精製方法は、幹細胞を体の外に取り出して試験管内で培養して遠心分離させます。遠心分離すると、幹細胞と細胞、不純物に分離できるため、幹細胞以外の成分や不純物を取り除きます。こうして取り除いた上澄み部分が「上清液」です。
このサイトカインは、肌や皮膚を再生する因子、血管を増殖させる因子、神経を修復する因子、免疫を調整する因子、骨の形成を進める因子なども含まれており、加齢などで衰えた細胞の回復を後押しすることが分かってきました。そのため、再生医療として美容分野や整形外科分野でさまざまな効果が期待されています。
幹細胞を培養すると、培養液中にこのサイトカインが蓄積されて、細胞が放出した体内にある自然な状態に近いサイトカインが得られます。
幹細胞の役割|幹細胞はどこに存在する?
幹細胞は私たちの体の中のあちこちに存在している細胞です。幹細胞培養上清液のもととなるこの幹細胞は、複製や増殖をして自分のコピーをつくる能力(自己複製能)と、体を構成するさまざまな細胞に変化できる変化できる能力(分化能)の、2つの特徴的な能力を持っています。
私たちの体は数多くの細胞が、再生と破壊を繰り返して絶えず新しいものに入れ替わっています。幹細胞はこの細胞の生まれ変わりをサポートするために欠かせない細胞なのです。
しかし、幹細胞は年齢とともに減少することが分かっており、新生児と80歳では1/200にまで減少します。歳とともにケガや傷の治りが遅くなるのはこのためです。
PRP療法との違い
再生医療の分野でも注目されている幹細胞培養上清液ですが、同じく再生医療の分野で実施されている治療法に「PRP療法」があります。
PRP療法は「多血小板血漿療法」ともいい、患者自身の血液から抽出したPRPを実施部位に注射します。幹細胞培養上清液療法と異なるのは、幹細胞ではなく血小板を使用する点です。
血小板は血管が傷ついたときに凝固して出血を止める働きがあります。また、さまざまな成長因子を放出する役割もあります。PRPで血小板を多く含む血漿を採取することで、損傷している組織を修復する効果が期待できるでしょう。
PRP療法も美容分野や整形外科分野で注目されていますが、前述のように血小板を使用する点が、幹細胞培養上清液療法とは大きく異なるところです。
幹細胞培養上清液療法に期待できる効果について
幹細胞培養上清液を使った治療は美容分野だけでなく各種の病気にも効果が期待できることが分かってきました。例えば以下のような効果が得られます。
- 皮膚再生などのエイジングケア効果
- 薄毛の改善や発毛効果
- EDの改善
- さまざまな症状や障害の改善など
ここでは、幹細胞培養上清液で期待できる効果をそれぞれ紹介します。
皮膚再生などのエイジングケア効果
女性を中心に加齢とともに気になりはじめるのがシミやシワやたるみなどの肌の衰えです。幹細胞培養上清液には、シワやたるみ、肌のハリを改善する効果が期待できることが分かってきました。また、サイトカインの持つ作用により、肌のターンオーバーを促進して、傷の治癒を促して傷跡を目立たなくする効果が期待できます。
加齢に伴う肌の変化は、顔だけでなく首元や手の甲などの皮膚が薄い部分にも現れやすいです。普段使用している基礎化粧品では、塗布した部分のみの効果であるのに対し、幹細胞培養上清液を点滴することで全身に効果が期待できるでしょう。
■若返りの仕組み
上清液はサイトカイン・GF・エクソソームを含んでいます。若い人の幹細胞に含まれているエクソソームを老人に注射することで、若返ることが可能です。幹細胞を若返らせることで、免疫系も組織修復能も改善します。
薄毛の改善や発毛効果
歳とともに見た目で気になるのは肌の衰えだけでなく、髪が薄くなった抜けやすくなったなどの悩みも増加します。こうした悩みにも幹細胞培養上清液を使った治療は有効とされています。
幹細胞培養上清液に含まれる成長因子のPDGF(血小板由来成長因子)やIGF-1(インスリン様成長因子)は、発毛や育毛効果が期待できます。
幹細胞培養上清液で発毛や育毛をメインに治療する場合は、点滴ではなく頭皮に直接注入することで効果が高まります。直接注入することで、毛母細胞を活性化させて、髪の根本から薄毛を改善していきます。
EDの改善
男性の悩みとして挙げられるEDも幹細胞培養上清液で改善が期待できます。幹細胞培養上清液は、血管を再生する効果が期待でき、陰茎海綿体の内皮細胞を再生する効果が認められています。そのため、勃起障害や勃起不全も改善してくれるのです。
ED治療は通常はバイアグラなどの内服薬を服用しますが、内服薬を使用しても十分な効果が得られない場合は検討してみてもよいかもしれません。
さまざまな症状や障害の改善
幹細胞培養上清液にはさらに以下のような病気や障害を改善する効果が期待されています。
- 肝機能障害
- 腎機能障害
- 心血管障害
- 呼吸器障害
- 糖尿病の合併症
- 慢性炎症
- 記憶障害
- 睡眠障害
- 慢性炎症
- 抗うつ・不安
- 認知症予防など
現段階では、治験段階のものも多く、一般の患者に向けてはまだ治療を行えないものもあります。また、幹細胞培養上清液を使った治療は自由診療となるため、まずは既存の治療法に頼ることも大切です。
幹細胞培養上清液を使った治療が向いている人
幹細胞培養上清液を使った治療が向いているのは以下のような人です。
- 慢性的な体の不調を改善したい
- しわ・シミなどの肌トラブルを改善したい
- アレルギー体質を改善したい
- 睡眠障害や記憶障害を改善したい
- 関節の痛みを改善したい
- 薄毛、脱毛を改善したい
- 既存の治療法では十分な効果を得られなかった人など
このような人は、幹細胞培養上清液療法を検討してみてはいかがでしょうか?
幹細胞培養上清液に含まれる成分
幹細胞培養上清液には、数多くの成長因子が含まれており、その数は500以上と言われています。そのうち、当院が扱う幹細胞培養上清液には以下のような成分が含まれています。
- EGF : 上皮増殖因子
- VEGF : 血管内皮増殖因子
- TGF-β: トランスフォーミング増殖因子
- HGF : 肝細胞増殖因子
- KGF : ケラチノサイト増殖因子
- IGF : インシュリン増殖因子
- PDGF : 血小板由来増殖因子
- FGF : 線維芽細胞増殖因子
- TIMP : MMP 阻害因子
- IL-7 : インターロイキン 7
- GM-CSF : 顆粒球単球コロニー刺激因子
- EPO : エリスロポエチン
- TSG-6 : 抗炎症液性因子
- TPO : 造血因子
- mpCCL2 : 単球走化性因子
- IL-1Ra : IL-1 レセプターアンタゴニスト
- PGE2 : プロスタグランジン E2
- Gal-1 : ガレクチン 1
- Gal-9 : ガレクチン 9など
このほかにも500 種類以上の成長因子が含まれています。
また、成長因子以外にも、以下のような体にうれしい働きをする成分も含まれています。
- L- アラニル -L- グルタミン
- L- アルギニン
- L- シスチン
- L- グルタミン
- グリシン
- L- ヒスチジン
- L- イソロイシン
- L- ロイシン
- L- リジン
- L- メチオニン
- L- フェニルアラニン
- L- セリン
- L- スレオニン
- L- トリプトファン
- L- チロシン
- L- バリン
- 塩化カルシウム
- 硝酸第二鉄
- 硫酸マグネシウム
- 塩化カリウム
- 炭酸水素ナトリウム
- 塩化ナトリウム
- リン酸一ナトリウム
- 塩化コリン
- 葉酸
- myo – イノシトール
- ナイアシンアミド
- D- パントテン酸
- ピリドキサール
- ピリドキシン
- リボフラビン
- チアミン
- D- グルコース
- HEPES
- フェノールレッド
- ピルビン酸など
幹細胞培養上清液療法の安全性について
幹細胞培養上清液は、処理の過程で細胞や不純物をすべて取り除き滅菌処理をしています。そのため、感染症やがん化のリスクは少なく、一定の安全性が確立しています。
幹細胞培養上清液は採取した部位ごとに種類があり、その中でも採取が容易で安全性も高く、有効性が高いと考えられているのが「脂肪由来」の幹細胞です。
現在、適切に処理された幹細胞培養上清液を利用した治療で、副作用が報告された例はありません。
幹細胞培養上清液の投与方法
幹細胞培養上清液の投与方法には、点滴投与と局所投与があります。
点滴投与は、点滴で使用する溶液の中に、幹細胞培養上清液を溶かして静脈に投与する方法です。静脈に投与することで全身に行きわたるため、さまざまな細胞の機能回復が見込めるのが特徴です。
局所投与は、注射液に幹細胞培養上清液を溶かして、気になる部分に直接注射する方法です。気になる部分にダイレクトに注入することで、その部分の細胞分裂が促進され、組織の再生が行われます。
当院では点滴投与による治療を行っています。
幹細胞培養上清液療法の流れ
ここでは当院で行っている幹細胞培養上清液の治療の流れを紹介します。
1)診察・カウンセリング
まずは当クリニック総合窓口までお電話で予約をお取りください(028-657-7300)。予約日にお越しいただきましたら、診察・カウンセリングを行い、幹細胞培養上清液療法の仕組み、安全性、効果、リスクについてご説明いたします。
2)診察、採血
幹細胞培養上清液療法を行う前に診察、全般的な採血をさせていただき、全身のチェックを行います。気になる病気をお持ちの方には対応した内科的な検査も行います。
3)治療
幹細胞培養上清液を点滴で投与します(約30〜60分)
4)施術完了
ダウンタイムはほとんどありません。
副作用について
幹細胞培養上清液療法を行うにあたり、注射針を使用することで以下のような副作用が起こる場合があります。
- 内出血
- 赤み
- 腫れ
- 痛みなど
これらの副作用は、数日程度で改善することがほとんどです。
幹細胞培養上清液そのものには、大きな副作用は報告されていません。これは、培養液には細胞を活性化させる働きを持つサイトカインや栄養素しか含まれておらず、処理の過程で滅菌されているためです。
培養液の精製は厚生労働省の定めるガイドラインに沿って実施されているため、一定の安全性が確保されています。
ただし、ごくまれにめまいや耳鳴り、腎機能低下、アレルギー反応などがみられる可能性があります。治療後に、気になる症状があれば医師に相談しましょう。
おすすめの併用治療
幹細胞培養上清液の点滴の合間には、CBDの服用もおすすめです。CBDとは、大麻からとれるカンナビノイドという成分のひとつです。
比較的中毒性が少なく、リラックス効果が得られる成分として注目されつつあり、医療や健康・美容業界からも注目を集めています。
CBDについて詳しくはこちらのページをご覧ください。
https://ucc.or.jp/symptoms/cannabidiol
幹細胞培養上清液治療の料金表
当院で行っているアインプロス(幹細胞培養上清液)治療の料金を紹介いたします。
- アインプロス 1回コース ¥440,000円(消費税込)
※製品到着後、1ヶ月以内で1回の点滴- アインプロス 3回コース ¥1,100,000円(消費税込)
※製品到着後、3ヶ月以内で3回の点滴
※血糖値の測定料、血糖値低下による投薬については、提示価格に含まれます。
※初診料、再診料、効果判定に必要な検査、その他付随する治療は、別途自費価格となります。
※返品不能の薬剤であるため、当院にてお申込み後は返金には対応いたしかねます。
まとめ
幹細胞培養上清液は近年注目されている再生医療のひとつで、副作用が少なく安全性も確立されています。アンチエイジングや発毛・育毛への効果、EDの改善をはじめ、さまざまな病気の改善が期待されています。
治療は自費診療となりますが、既存の治療法で十分な効果が得られなかった人にとっては
新たな治療法として選択肢が増えるでしょう。今回の記事を参考に、幹細胞培養上清液療法を検討してみてはいかがでしょうか?