当院代表佐藤俊彦のコラム ~NKT細胞療法~
NKT細胞療法
宇都宮セントラルクリニック 放射線科医 佐藤俊彦
今年も残すところあと2ヶ月となりましたが、皆様におかれましてはますますお元気にご活躍されていることと思います。
私どもの放射線治療センターも、まもなく1年が経過しようとしています。やはり、サイバーナイフの需要がかなりあるということがわかってきました。私は放射線科医なので、多分割照射のIMRTが標準治療と思っていたのですが、照射精度を高めることができれば(ピンポイント照射)、生物学的効果を考えても寡分割大線量治療の定位放射線治療が有利なわけです。しかも、そのときに発生する大量のネオアンチゲンにより、免疫反応が起きてくることもわかってきています。これをImmuno-Radiation Therapyというのですが、イミフィンジというチェックポイント阻害薬が保険収載されたことで、20年ぶりのステージⅢの肺がんに対する新薬登場となっています。
https://answers.ten-navi.com/pharmanews/14265/
当然、チェックポイント阻害剤は、特異的免疫応答系の最後のキラーT細胞として、また、がんに対する直接攻撃として免疫寛容を壊す働きをします。したがって、樹状細胞から始まり、T細胞やB細胞を介した免疫系細胞が十分に機能していることが前提となります。そこで重要になってくるのが、全体の免疫系をどのように活性化させるかです。自然免疫応答系と特異的免疫応答系の両方の細胞を活性化するユニークな役割を果たすのが、理化学研究所の谷口先生が発見したNKT細胞なのです。
(株)アンビシオン 資料より
しかも、この細胞は長期免疫記憶にも関連しています。NKT細胞の抗原受容体は1種類しか存在せず、すべての人に共通です。NKT細胞は、抗原提示細胞の分子に提示された糖脂質を認識し、活性化させるのです。また、NKTは患者さんのHLA型に左右されることがなく、抗原提示細胞で活性化できるため、ペプチド抗原などが不要です。
(株)アンビシオン 資料より
細胞を培養する必要がないので、最短4日で抗原提示細胞を作ることが可能です。しかも、2回の接種で終了するため、短い期間で免疫を活性化させることができるという特徴があります。
(株)アンビシオン 資料より
この技術は、千葉大学の先進医療Bで実施されており、論文もでています。
進行肺癌では、高インターフェロンγ群では、31.9ヶ月という生存期間中央値でした。
また、頭頚部癌に対しては、動注療法で実施していますが、全例でSD/PRの結果を得ています。
当院の前立腺がんの肺転移の患者さんですが、PSAの改善と肺陰影の縮小が認められます。
このように、免疫系を高めること、免疫系を刺激することを組み合わせてがん治療が再び新しいフェーズに向かっていることがお分かりいただけたと思います。
ぜひ、セカンドオピニオン外来を受診してください。