当院代表佐藤俊彦のコラム ~認知症薬に関して~
認知症薬に関して
宇都宮セントラルクリニック 放射線科医 佐藤俊彦
“6月1日、フランス厚生省(社会問題・健康省)はプレスリリースを発表。「現在、アルツハイマー病の治療のために使われている薬を、8月1日より医療保険のカバーから外す”と衝撃の記事が発表されました。
よく患者さんやそのご家族から認知症薬のご相談を受けますが、残っている神経細胞にコリンを介して鞭を打つような治療法なので、根本的な原因に対する治療でないばかりか、神経細胞数が減ってくると薬の量も増えるため、コリンによる副交感神経系の副作用でQOL自体が悪くなります。
フランスの厚生労働省の発表では、“世界中でこれまでに発表された研究を調べた結果、薬を使うことで施設への入所を遅らせたり、病気が重症化するのを抑制できたりなどの「良い影響」を示す証拠は十分ではない”と指摘。その一方で、消化器系や循環器系などへの有害事象は無視できないとして、これらの薬を「医療保険でカバーするのは適切ではない」と勧告しました。
極めて常識的な判断だと思います。日本で同じことを実施すれば、年間1500億円の薬剤費を節約することが可能です。さらにこれらの薬は、85歳以上の超高齢者への処方が半数であり、有効性・安全性が十分に証明されておらず、有害事象を考慮して使用されていません。
また、アルツハイマー病の根治薬の開発は相次いで失敗しており、アミロイドβ以外の原因へと研究がシフトしています。
そこで注目されているのが、ホモシステイン酸です。この物質は、佐賀女子短期大学の長谷川先生らの研究グループが発見したもので、ホモシステイン酸は神経猛毒ですが、ホモシステインに還元されると神経への毒性も消失します。つまり、還元剤を投与することによりホモシステイン酸を無毒化できるというものです。
アルツハイマー病患者の血液と尿のホモシステイン酸と認知機能(MMSE)との関係を見たのがこのグラフです。
尿中のホモシステイン酸濃度が高いほど(腎機能が良好である)認知機能が改善しています。逆に、血中のホモシステイン酸濃度が高ければ高いほど、認知機能が低下しています。
したがって、認知機能を改善するには腎機能を良くして血中から尿中へのホモシステイン酸を移行させることと、血中のホモシステイン酸を還元して無毒化することが良いと思われます。
そこで開発されたのが、「Phenomenon 1969」というサプリメントです。
メディカルリサーチ(株)が製造販売しております。
アルツハイマー病患者さん91人にこのサプリメントを2ヶ月服用してもらった前後のホモシステイン酸の値をグラフに示します。いずれも、血中濃度の低下を認めます。
それと同時に実施した認知機能検査(NMスケール)では、服用後の認知機能が改善していることがわかります。
また、この度当院では、採血でホモシステイン酸を測定することができるようになりました。これにより、健診や臨床でホモシステイン酸の濃度を定期的に測定しながら還元サプリメントを使うことで、より効果を実感できる診療体制を構築してまいります。
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