お知らせ・トピックス

実質賃金について

宇都宮セントラルクリニック 放射線科医 佐藤俊彦
 
桜も散って、いよいよ春到来のこの頃ですが、熊本の大地震で被災された皆様のご心境を思うと心が痛みます。
やはり、日本は地震列島であることを思い知らされます。
耐震基準が問われていますが、古い住宅に対する耐震対策は、住民の高齢化もあり、対応不可能なのだと思います。少子高齢化の中で、コンパクトシティを目指す動きは防災の面でも重要なのだと思います。
 
政府は、「保健医療2035」の“2035年日本は健康先進国へ”の中で、地域の独居老人を高齢者住宅に集めて、集中的に医療や介護を提供するビジネスモデルを提言しています。*保険医療2035とは、2035年を見据えた保健医療政策のビジョンとその道筋を示すため、国民の健康増進、保健医療システムの持続可能性の確保、保健医療分野における国際的な貢献、地域づくりなどの分野における戦略的な取組に関する検討を行うことを目的とした策定懇談会(厚労省HPによる)。
米国のプラチナタウン構想やCCRC構想(Continuing Care Retirement Community:米国で生まれた高齢者居住コミュニティ)などの医療供給体制の変革が、今後のキュアからケアへのパラダイムシフトの中で、社会構造の変化とともに求められてくるものと思います。そのために求められる5つのインフラとして、
 
1. イノベーション環境:治験や臨床試験のプラットフォーム整備・がんや認知症などの研究推進のための研究財源確保
2. 情報基盤の整備と活用:医療用IDを用いてヘルスケアデーターネットワークを確立し積極的に活用・検診や治験データの蓄積/分析による予防・健康・疾病管理の推進
3. 安定した保健医療財源:医療費の伸びが予測を上回る場合の中期調整システムの導入(給付範囲・予防施策・財源など)公的保険を補完する財源支援の仕組みを確立
4. 次世代型の保健医療人材:パラメディカルが行える業務のさらなる拡大・医師の偏在が続く地域での保険医の配置・定数の設定
5. 世界をリードする厚生労働省:保健医療補佐官CMOの創設・医療イノベーション推進局の創設
 
ここで重要なのは、財源の確保と疾病予防、そしてイノベーションと居住のスタイルが提言されています。
つまり、今後は医療費の増大が見込まれ、唯一の成長産業が医療分野になります。
そこでは医療イノベーションによる予防医療と疾病対策が必要となりますが、いずれ訪れる介護需要に対して、これまでのように地域を巡回することは、少子高齢化で不可能になるので、介護が必要な高齢者にプラチナタウンや日本版CCRCに住んでいただき、効率的な介護提供をしなければならない状況になっているわけです。
また、応分の自己負担を求めていることから、私たちの働き方も考え直すべき時に来ています。
 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201602/CK2016020802000209.html
実質賃金は、安倍政権下で4年連続して低下しています。
皆様が、働いてモノやサービスを生産して(付加価値の生産)、お客様が消費・投資として購入していただいた(支出)所得を“GDP”と言います。豊かになると言うことは、所得で買えるモノやサービスが増えることで、実質賃金が増えることが重要ですが、そんな環境になっていません。
額面の賃金(名目賃金)は上昇していますが、増税や円安による物価高の効果(インフレ)を引くと実質賃金である私たちの給与はマイナスで、政権交代してから5%も貧乏になっているわけです。
では、実質賃金を上げるにはどうしたらいいかというと、仕事がいっぱいあって、一人あたりの生産性が向上していくしかありません。
経済成長のためには、一人あたりの生産性向上と十分な仕事量の確保という意味で、高齢化社会の医療機関への投資は、大きなリターンを生む可能性がある社会的事業であると思われます。
このための人材投資・設備投資・公共投資・技術開発が不可欠で、私どもの戦略も政府の答申通りに進めて参ります。
今後、プラチナタウン・日本版CCRCの準備に関しては、定期的にご報告して参ります。

http://www.pinkribbon-no-wa.jp/
先日は、私が理事長を務めますピンクリボンうつのみやの支援者様の懇親会に多数の皆様にご参加いただきました。
そこでは、これまでの報告と、検診成果、今後の検診の方向性などをお話しさせていただきました。
また、4.17に行われたイベントでは、多数の皆様にご参加いただきました。そして、ピンクリボン活動を応援していただければ幸いです。
https://www.facebook.com/pinkribbon.no.wa/
 
先日来られた患者さんは、テレビを見たと言うことで東京から来院されたのですが、乳頭から出血しているが、東京の大学病院を複数受診しても、原因がわからないと言うことで私の外来を受診されました。
すぐに、PEMを実施したところ、2mm大のDCISという非浸潤癌が検出されました。当院でも、マンモグラフィや超音波を乳腺外科医の先生がみたのですが、検出されませんでした。このように特殊な乳癌は、PEMでしか見えないものがあります。
したがって、女性でPET検診を受診する方には、必ずPEMを受けていただければと思います。金額が金額なので、若い方には、Tomosynthesis+超音波検査、50歳を過ぎて他のがんも気になるかたはPET+PEMをお勧めしています。
この患者さんは、PEMでしか見えませんから、PEMガイドの生検ができれば、ものの10分で診断がつきます。しかし、学会のガイドラインの規制により、日本で唯一PEMガイドの生検ができる当院も、実施することができません。
本当に、まじめにやっているところを邪魔するガイドライン(学会の???な先生たちが作っている)は即時撤廃してほしいものです。
こんなことをやっていると、患者さんが、海外に取られかねません。
中国では、いま、ボアホーラムでhainan boao lecheng international medical tourism pilot zoneが企画されています。
http://www.china.org.cn/business/2016-03/24/content_38104381.htm
習近平政権では、役人や政府要人は海外に行くことができませんので、これら要人用の医療および世界中から最先端医療を誘致して中国の医療技術を向上させる二つの側面があるようです。
なかなか、今後の成長産業である医療に対する世界の動きから目が離せない状況だと思います。




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