暑中お見舞い申し上げます。
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宇都宮セントラルクリニック 放射線科医 佐藤俊彦
今年も、終戦記念日が近づいてきました。
皆様におかれましては、お元気でご活躍のことと思います。
私もおかげさまで、元気に診療活動を実施しております。
現在、宇都宮セントラルクリニックでは、昨年に引き続き、MRIの入れ替えを実施しております。
3台のMRが設置されておりますが、昨年は女性専用のMRとしてSIEMENS社製の3T-MRを導入しました。非常に優しい形状でスタイリッシュな装置で、特に乳腺疾患に関して迅速に精密検査を進め、生検が必要な患者さんを絞り込んだり、術前の切除範囲の決定のために用いたりしております。
また、今回導入するMRは、PHILIPS社製の最高性能のMRで、世界で初めてのデジタルコイル技
術に基づく装置です。これまでのMRでは、受信コイルで受けた信号を増幅して、コンピュータ-に送信し(アナログ送信)、AD変換しておりました。これに対して、デジタルコイルでは受信コイルですでにAD変換が実施されますので、コンピュータ-にはすでにデジタル信号送信されるために送信時のSN低下やプリアンプによるコイルのチャンネル数に制限がなくなります。
したがって、高解像度で高いSNを保証する撮影が可能となります。
特に、高速撮影や拡散強調画像などの厳しい撮影条件で成果を発揮します。
もっと具体的に言うと、撮影時間も短縮できます。心臓ドックは、これまで約40分かかっておりましたが、半分の時間で実施することが可能です。
http://www.newscenter.philips.com/jp_ja/standard/about/news/healthcare/20140407%20ingenia-cx.wpd#.VcZOj3j-WT8
7月30-31日にホノルルで、北之園先生が主催する学会に出席してきました。
これまで、日本の救急病院では、放射線科医が当直していないために、救急医が画像診断を担当していました。外傷のCTでは、全身撮影を実施しますので、約2000スライスの画像数になる
わけですが、それを処置しながら救急医が読影することは実際困難です。
そこを、時差を使って画像診断するというプロジェクトで、長年の我々の構想を北之園先生のハワ
イ移住をきっかけに遠隔画像診断を通して実現しようというものです。
迅速遠隔医療支援(STEMS)セミナー 2015 開催概要
:救急遠隔画像コンサルト
:STEMS セミナー実行委員会、日本救急放射線研究会 :EIIS、JERSO、
NorthfieldInternationalInc. 他 :2015年7月30日(木)-31日(金)
:ハワイ大学 JABSOM(John A. Burns School of Medicine) http://jabsom.hawaii.edu/
*STEMS: Stat Tele-Medical Support
テ - マ 主 催 共 催 日 程 場 所
事務局:(株)勁草書房 コミュニケーション事業部内 03-3814-7112
kc@keiso-comm.com
実行委員会:
委員長 北之園 高志(President,Northfield International Inc.) 委員
中島 康雄(聖マリアンナ医科大学放射線医学 主任教授)
松本 純一(聖マリアンナ医科大学救急医学 講師)
開催の目的:
迅速な遠隔地からの医療支援の現状を共有し、より良いあり方を考え、
医療の質向上への寄与を計る ・救急医療の現状と問題点を把握する
私の別会社であるメディカルリサーチでは、すでにVNAという仕組みで、これら救急放射線科医
と病院を結ぶシステムの提供を開始しております。
すでに日本中の救急病院は、なんらかのITインフラの整備が完了しています。ほとんどが、クラウ
ドベンダーと契約していますので、ベンダー間を我々のシステムでつなぎ、遠隔読影医師は、私ど
ものVNAシステムにアクセスしていただければ、すぐに読影が開始できるという仕組みです。
これを、木澤記念病院様とハワイの北之園先生のご自宅をデジタル回線で結び実現しました。
そこにマリアンナ医大の中島先生の教室で、救急放射線科医が読影室を作り、日本の夜間の救急読影を実施しながら、ハワイ大学へ留学もしようというプロジェクトです。
日本の深夜帯は、ハワイ時間の午前5時からになりますので、昼ごろまで読影を実施して、午後はハワイ大学にカンファランスや研究に行けるというプログラムで、稼ぎながら、社会貢献もし、留
学もできるという仕組みです。
やはり、放射線科医のライフスタイルを遠隔診断インフラは変えたと嬉しく思います。
また、マリアンナの鈴木先生のように若い先生に、こういうプロジェクトに興味を持っていただき、実際にハワイに来て実践していることは、今後につながる大きな変化と考えます。
放射線科医が、社会に対するレスポンシビリティを最も明確にできる分野の一つであると思いま
すので、今後も私どもで協力していくつもりです。
http://kizawa-memorial-hospital.jp/oshirase/news/2014/1403/140325.html
このプロジェクトを通して、いろいろな放射線科の教授先生たちが、セミナーに参加されていました。やはり、留学と遠隔読影は医局にとって大きな役割を持つことは明確で、留学生と遠隔診断を使って、日本の夜間救急に対するソリューションが今後整備されてくると思われます。
つまり、今回のセミナー参加者の多くが、現地に来てみて強く感じたことだと思います。
私自身が現地に身を置いて強く感じましたので、大学の教授や幹部の先生の思いも同じだと思い
ます。
現在は、遠隔での放射線治療計画も可能ですので、東京医大の徳上教授は治療医がいないところへのソリューションになるともコメントされていました。
このオールジャパンの放射線科医の協業を実現するためには、ビジネススキームの構築が重要で、参考書として、“ビジネスプロデュース戦略 PHP研究所 三宅孝之著”がいいと思います。3000億円規模の事業を考える場合の“構想”から、実行までを書いた本ですが、非常に勉強になります。
一例をあげますと、“インテル入ってる”でおなじみの世界最大手のインテルは、価格競争の厳しいPC製造はいち早く捨てて、いずれのPCメーカーも必要とするCPUだけを全世界に供給してNo1
カンパニーになりました。また、三菱化学も、CDで台湾メーカーに大きくやられますが、DVDで
は台湾メーカーに下請けに出すことにより、味方につけ、大成功します。
したがって、日本企業は知財を使って、製造コストの安い国との協業で稼いでいくことが少子高
齢化社会では重要であると言っています。“オープン&クローズ戦略”と言うらしいです。
そして、新しい技術や業界外の技術をつなぎ合わせて、一つのストーリーに仕上げる。
他の分野で、No1企業と付き合うことにより、融合領域での技術革新が出てくるというもので、
SRIインターナショナルのような例も参考になると思います。
最も重要なのは、社会的課題を解決すること、つまり、今回であれば、“日本の夜間救急の画像診断に時差を使った遠隔診断インフラで解決”という大きなテーマ設定が重要で、政府や厚生労働省、大学医局、学会を巻き込んだ大きな絵が描ければ面白いと思いますし、アジアの周辺諸国に対する画像診断の輸出にもつながる大きな事業創造ができそうだ。
http://www.amazon.co.jp/3000億円の事業を生み出す「ビジネスプロデュース」戦略-三宅-孝
之/dp/4569824293
先日、福島県立医大の鈴木眞一教授の福島の甲状腺癌の話を国立病院機構 栃木病院でお聞きするチャンスがありました。先生は、通常では実施しない甲状腺検診を実施しているので、甲状腺癌が多く見つかっているのだという結論でしたが?私自身は、どうしても納得がいかないので、
今後も調査していく予定です。未だに収束しない原子炉、トリプルメルトダウンしているわけで、
放射性物質はこれまでもこれからも流れ続けており、先日も東海村のある研究者と情報交
換した際にも、研究者たちの間でも、異常に増えていると話題になっているようです。
“東京が壊滅する日 広瀬隆著 ダイアモンド社”がタイムリーに出版され、いろいろな原子力開発
に関する戦後70年の事実が書いてあるので、読んでいただきたい。
長崎大学の山下俊一教授が、3月19日福島県放射線健康リスク管理アドバイザーになります。
この先生の講演会で、“放射線の影響は、実はニコニコ笑っている人には来ません。くよくよしてい
る人に来ます。笑が皆様の放射線恐怖症を取り除きます。”とかいっています。
福島医大の職員は、隠れて安定ヨウ素剤を飲んで、住民には配布しなかったくせにです。
長崎大学の永瀧重信、弟子の山下俊一さんがどういうことをしてきたのかもよく書いてあります。
いま、トリチウム汚染水を海に放出する話が話題になっていますが、実は、線量計でβ線を計測
することはできません。したがって、福島などに設置してある線量計はγ線しか測定していない
ために、空間占領は安全だと鈴木眞一先生は、モニター計の隣で犬と記念写真を撮って見せてい
ましたが、β線被曝に関しては、何も言っていないので片手落ちです。
トリチウムやストロンチウムは、β線被曝ですので、全く計測していません。
最近、透析を実施している知り合いの先生から、透析患者で骨折が多発しているというコメント
をいただきましたが、これも気になります。
透析では大量の水を使います。この中に大量のストロンチウムが入っているとすると、これは骨
に取り込まれ、永久に放射線を放出し続けます。
甲状腺だけが問題になっていますが、透析患者の調査も必要になってくると思います。
これまで放射線被曝に関する人体への影響は、長崎・広島の原爆投下とチェリノブイリだけです。広島は、戦後、アメリカが赤十字病院を作りそこが影響を管理、長崎は長崎大学が管理しました。両方の大学にしなかったのは、長崎に学会の権威を集約する目的のようです。
戦後ヒロシマナガサキABCCをシールズ ウォーレンが創設します。そして、原爆投下から5年後
の生存者だけを調査対象とします。そして爆心地から2.5km以内の被爆者だけを対象としたの
で、過小評価になっています。決定的な医学的ミスは、内部被曝を無視、残留放射線を無視、後
遺症をガンと白血病のみにしたことが、いまの福島と重なる事実です。
ABCCが、その後放影研(放射線影響研究所)に移され、重松逸造が理事長になります。この先生は、薬害スモン病、カドミウム汚染公害のイタイイタイ病の研究班長となり、医学的にこれらの原因物質はシロと判定して、被害者の苦しみを泥靴で踏みつける重大な疫学犯罪を重ねます。
チェリノブイリの事故では、IAEAのチェリノブイリ原発事故の被害を調査する団長になり、“住民
に大きな放射線被害は全くない”と報告して、“原因は放射線恐怖症である”とのイメージを振り
まきます。これも福島と重なりますね。
次の放影研理事長が、長崎大学の長瀧重信で、福島県内の児童20mSv無害論を述べた。そして、山下俊一とつながっている。
なるほど、つぎの手も、そう考えるとわかりやすいですね。
詳しくは、本をぜひ読んでください。
http://www.amazon.co.jp/東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命-広瀬-隆/dp/
4478066760/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1439064891&sr=1-1&keywords=東
京が壊滅する日
先日、カンブリア宮殿に、北原先生が出ていました。
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20150806.html
病院経営者として、すごく尊敬している先生なので、彼が注目されていることは非常に嬉しく思います。彼は、東京大学で脳外科医をしていたのですが、劇症肝炎を発症して、自分の病院に入院します。そこで、医療サービスに対する不信感を持ち、自分で八王子に病院を建築するのですが、彼との出会いは、北原RDクリニックという脳ドック専門の画像診断センターを作った時にお会いしました。先生のご活躍ぶりは、周知の通りですが、カンボジアへの医療の輸出を開始するということ、素晴らしいと思います。私も、医療の産業としての輸出は重要なことだと思いますが、アプローチは、画像診断なので、ちょっと異なっています。
次回のメルマガでお伝えできると思いますが、そのへんの大きな枠組み作りを準備していますので、ご披露できるように頑張ります。
暑い日が、まだまだ続きそうですが、皆様のご健康をご祈念しております。
今後とも、よろしくお願いします。