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今後の医療制度改革と民間保険の有用性

宇都宮セントラルクリニック 理事・放射線科医 佐藤俊彦
 
早いもので、もう三月で、来月には桜が咲こうとしています。
先日のNY訪問で、いろいろなことが見えてきましたので、医療制度改革に関する私の予想をご披露したいと思います。
トマ・ピケテイの“21世紀の資本論”に書かれているように、資本収益率>労働生産率、つまり、“資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき、資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出す。”というものです。

いまの米国は、1%の人に富の20%以上が集中しており、格差社会になっていて、5000万人を超える無保険者が社会問題となっています。
この圧倒的多数の困った人たちに医療保険を与えようというのが、“オバマケア”なわけです。オバマケアでは、民間保険に加入できる人も増えましたが、圧倒的にメディケイドが増える結果になり、医療制度は民間から公にその主導権が移行しています。つまり、民間保険会社の凋落を意味しています。
一方で、大幅に急増したメディケイドの患者さんは病院に殺到し、医療機関は数倍の患者数を数分の1の保険価格で対応しなければならなくなりました。したがって、現場の医師は、患者が急増して忙しいのに、診療報酬、つまり給与は半減しているという状況を強いられており、オバマケアの患者を診ないという動きも起きているのです。
これまでは、医療費の価格形成は市場に任せていたのですが、いまは政府がコントロールするという状況になっているのです。
そこに登場するのが、Ai(人工知能)です。
IBMのワトソンというソフトウェアですが、ほとんどの診断と処方箋は、人工知能によりオートメーション化され、富裕層のみが医者にかかれる時代になると思われます。
最近ソフトバンクが、ワトソンに出資し、日本語版の開発も実施されています。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM0900J_Z01C14A0EAF000/
ここにグーグルも加わり、開発競争が激化しています。
http://www.utnp.org/cat23/yutakamatsuo20141021.html
グーグルは、画像診断機器(CT/MR/PETなど)から画像をネットで吸い上げ、自動診断して返すことを視野に入れているようです。
現在のクラウドサービスを手がけるプロバイダーのM&Aが起こるかもしれません。
そうなると、私も失業ということになりかねません・・・・

この米国の保険会社の活路はどこにあるのかというと、民間医療保険を必要としている日本なのです。
日本では、少子高齢化により、社会保障制度=医療保険+年金が維持困難なことは自明のことです。政府は、混合診療解禁を患者申出療養制度という名目で、実施しようとしています。つまり、今後、先進医療などの新しい医療技術は、混合診療で提供する。ここにこそ民間医療保険の活路があり、日本の公的保険の縮小幅を民間保険が埋めていけなければならないわけです。

米国では、公的保険が勢力を増し、民間保険会社が凋落しています。日本は、公的保険が凋落し、民間保険を欲していますので、それをTPPで結ぶことにより、両国間でのリレーションを深めることができるというシナリオのようです。
今後は、米国の医療保険を買えるように規制緩和されてくると思いますし、混合診療のほうに医療現場のニーズも拡大していくものと思います。

さらに、日本も量的緩和QEを実施していますが、これにより金利はほぼ0になり、融資業務で得られる銀行の金利も0になっています。民間の銀行は、金利が0なので金を貸したがらない。したがって、旧来の銀行業務、生命保険、年金基金など利ざやで回ってきたすべての事業がいずれ立ち行かなくなるのは目に見えています。英中銀が、ガーディアン紙でこのことを述べており、いち早く、QEを中止しています。
今後も、QEを続ける日本は、地方銀行から厳しい状況になり、政府のディフォルト宣言から社会保障不安へ一気に行くことも十分考えられる、激動期にあることが予想されますので、自分の身は自分で守るという考えで行くしかないと思います。
 
先日、東京でJAIFAのセミナーで、この話をさせていただきました。
http://www.jaifa.or.jp/assets/files/130tokyo/syutoken.pdf
たくさんの保険会社の人たちは、納得されていましたし、質問の中でも、“がんと診断されたら、一時金あるいは医療保険でいくらあればいいのか?”という質問があり、1000万円くらいと回答しました。
ある患者さんは、ダビンチの手術+陽子線治療+免疫療法を実施すると、約800万円かかるので、やはり1000万円は必要ということがわかります。
 
原田武夫先生のご推薦で、“黒幕”巨大企業とマスコミがすがった“裏社会の案内人”伊藤博敏著を読みました。
昔は、情報誌というものがあったそうですが、これまでおこった数々の事件において、その背景に関して、右左、暴力団、右翼、政治家、警察、内調にまたがる情報の交差点だった”現代産業情報”の石原俊介氏の話で、われわれは、インターネットで情報収集しがちですが、人に会うことによって情報収集していく、そのために毎晩、銀座に出る、定期的に会合を持つなど、現代の私たちに重要な示唆を与える本と思います。
現代版に解釈すれば、それをグローバルに実施することでしょうか?
また、情報を情報誌発行という形態を作り、会社の情報顧問となり、お金に変える仕組みを作ったところも驚きです。
そういう意味で、原田さんのIISIAの活動そのものだと改めて、感銘したわけです。
金融疑獄事件の中で、検察と政治家 田中角栄との関係も、時代の流れを振り返る中で、興味深い記述が多いです。
石原さんは、膨大な情報を頭の中で、無数の引き出しに仕分けして記憶し、ある事件が起こると、それを適切に取り出して類推する能力に優れていたようです。
CIAやMI6も、各国の情報機関が集める情報の9割以上は、新聞やインターネットの公開情報で、むしろ大事なのは、垂れ流し情報の中から、何を取り出し、それをどう評価し、活用するのかで、これこそが情報リテラシーだといつも、原田さんにいわれているがなかなかできません。
彼のアドバイス
1. 不断の努力で、情報を収集し続ける
2. 情報の確かさは、発言者の立場や信頼性で判断しろ
3. 10.20年後に会社が生き残っているとは限らないので、一本立ちできるよう、会社の金と信用で今のうちに実力を蓄える
これを医療版に変えるのであれば、やはり、患者さんの立場に立って、医療に関する情報収集と整理を実施し、自分の引き出しを増やしながら、治療の先生方とネットワークを構築して、自分の顧問先、つまり、CMC会員様に満足していただける情報提供の仕組みを構築することではないかと考えます。
私のメルマガも、読者の皆様に、石原さんのような立場で使っていただけるように精度をあげていきたいと考えています。
 
最後に、3月11日の東日本大震災の前に、宗像大社に参拝に行ってきました。富士山が噴火するかもしれないといわれていますが、そうなった場合、どこに逃げるのか?
皇室ゆかりの場所は、これまでいろいろな天災人災を潜り抜け来ていますので、安全地帯ということがいえます。伊勢神宮・出雲大社・宗像大社は、自分で行ってみようと考え実践してきました。今回は、福岡空港から約1時間の宗像大社へ、天照大神の三女神が祭られているところで、あらゆる道の神様です。
古代祭場や島全体が”海の正倉院”の沖ノ島など、神秘的な神社です。
http://www.munakata-taisha.or.jp/html/gosaijin-yuisyo.html
一度、ぜひ、ご参拝を!




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