当院の乳腺外来体制と乳がん検診の取り組みのご紹介
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生活スタイルの変化にともない、乳がんになる女性は増加の一途をたどり、現在では日本女性の約16人に1人が乳がんにかかるといわれています。
乳がんは決して治りにくい病気ではなく、早期に発見できれば多くの方が治癒します。
早期発見のためには精度の高いマンモグラフィーをはじめとする検査装置と撮影する放射線技師の技能、高い診断能力をもつ医師の3つが必要となります。
当院の乳腺専門医と放射線科医、乳腺外来と最先端の乳がん検査装置、乳がん情報のご紹介をいたします。
Ⅰ【医師紹介】◆乳腺専門医
Ⅱ【最新鋭の検査装置による乳がん検診・診断のご紹介】
①早期発見のための最新鋭乳がん検査装置
◆痛みの少ない3Dマンモグラフィー「トモシンセシス」エックス線を使った乳房断層
撮影装置:北関東初導入(高度な医師の画像診断技術が必要な装置)
◆3D超音波「ABVS2000」乳房超音波装置:比較的若い年齢層の女性は乳腺が発達しており、マンモグラフィーでは白く光って分かりにくい場合があります。また、乳癌の中でも悪性度の高い癌(進行の早い癌)の検査に、有用な装置。
自分の乳房がデンスブレスト(高密度乳腺)であれば乳房超音波「ABVS2000」での検診を推奨し、デンスブレストでなければ最新鋭マンモグラフィー「トモシンセシス」を推奨します。まず、自分の乳房の状態は検査をしなければわかりませんので、両方の検査を受けることをお勧めします。
◆日本初導入の乳房専用のPET装置「PEM」(生検対応タイプ)
これまでの全身用PETの分解能約4ミリから約1ミリの分解能を実現し、乳房の数ミリの腫瘍の発見を可能としたもので、超早期発見を目的とした検診に有用な装置。
②乳がん検診で更に詳しく検査が必要な方(要精査者)と乳がん術後の定期な検査が必要な方のための検査装置
◆最上位機種「乳房MRI 3.0T」磁気共鳴画像と呼ばれ、磁場と電波を使って人体の組織や病巣を画像化する事ができ、乳房の病巣を画像化し、体の中の構造を把握するのに適した検査装置です。
既に高い受診率の乳がん検診先進国の欧米ではMRIによる乳房検査の有用性が広く認知され、診断に用いられております。乳房にできた腫瘍と正常な乳腺組織を鑑別することができます。
手術後の乳腺の状態を調べるのにも有効で、定期的な検査としても行われています。
乳腺MRI検査が行なわれるのは、主に次のような方です。
1. 乳がん検診で乳がんを疑われた方
2. しこりを触れるがマンモグラフィーと超音波検査で、良悪性の判定が一致しない方
3. 乳がん(特に非浸潤がん)の広がりを見る必要のある方。
◆日本初導入の乳房専用のPET装置「PEM」(生検対応タイプ)
乳がん術後の方で、特に乳房温存治療後の乳房変形によりマンモグラフィーや超音波で画像の見にくい方には、ファーストチョイスの検査として有用です。
今年7月より健康保険が適用となりました。
Ⅲ【 乳 腺 外 来 】
◆予約制外来
乳腺外来は、予約制を原則としています。予約なしで当日いらした方も、極力診察できるよう努めております。患者さんが非常に多く、ほとんどの診察時間が予約の方で埋まっている場合もございますので、より安全で正確な診療のためにも、初診・再診とも予約をとっていただきますよう、ご協力をお願いいたします。
予約電話番号 028-657-7300
◆乳がん術後外来
他の病院で治療を行っている方に対しては、乳がん術後外来を設け、現在行っている治療や診断に関して時間をとって相談に応じています。
また、乳がんの手術治療を行った患者さんに対し、術後の経過観察のための相談・検査などの診療を行っております。
まずは乳がん術後外来でご相談下さい。【お問合せ電話番号 028-657-7300】
Ⅳ【がんと診断された後の治療<病診連携>】
当院は県内外の大学病院をはじめ、主要ながん治療施設と幅広く連携しております。
◆当院(診断)⇒ 自治医科大学など県内の主要ながん治療施設(治療)
患者様に最も適した治療施設をご紹介いたします。
Ⅴ【乳がんの情報】
◆【増え続ける乳がん】
日本では、乳がんが急激に増加しています。2008年には乳がんは日本人の女性のがんの中で大腸がんを抜いて第1位となっています。2008年には約6万人が乳がんにかかったと推定されています。
2011年の女性の死亡数を見ると、乳がんは大腸、肺、胃、膵臓についで5位ですが、1年間の死亡者数は1万2千人を越え、特に40歳~64歳までの女性では1位になっています。乳がんは日本女性の最も注意しなければならないがんになっています。
欧米では、乳がんの患者数は依然として増加しているものの、死亡率は1990年代に入って減少しはじめています。これは、マンモグラフィー検診による早期発見と徹底した再発予防のための薬物治療が行われるようになったことが原因のようです。
乳がんは、女性ホルモン(エストロゲン)が関与しているがんです。もともと欧米に多かった乳がんが日本で増えている理由は、ライフスタイルや食生活の欧米化などが、大きく影響していると考えられております。 (加工食品などの高脂肪食による、女性ホルモンの過剰摂取なども関与…)
◆【乳がんの種類】
乳がんは、非浸潤がん、浸潤がん、パジェット病の大きく3つに分けられますが、普通のしこりを触れる乳がんのほとんどは浸潤がん(前述の「浸潤」が一部にでもあるがん)で、硬がん、乳頭腺管がん、充実腺管がんなどの一般的ながんと、粘液がんなどの特殊型とがあります。
◆【乳がんの進行分類】
乳がんの進行度は主に腫瘤の大きさとリンパ節転移の有無で0~4期に区分され、0期と1期が「早期乳がん」と呼ばれます。0期と1期ならばかなり高い生存率が期待できます。
◆【乳がんの症状】
乳がんの初発症状(発見のきっかけ)は、8割以上が乳房のしこりで、他に乳房の疼痛が約1割、その他が、乳首から液体とくに血液などがでる、わきの下のリンパ節を触れる、乳首のただれなどです。
早期乳がんの症状については、ほとんどが無症状のため、マンモグラフィーや超音波による検診が重要となります。非浸潤がんの発見契機を見ると半数以上がこうした画像のみで発見されています。
◆【乳がん検診】
どんなベテランの医師でも、触っただけで悪性(がん)か良性かの診断を正確につけることは難しいと考えられております。そのため、触診だけで「大丈夫」といわれても、安心してはいけません。(触診のみによる見落としは避けたいものです。)
乳がん検診は、早期の0期・1期で発見し、早期治療をするための検査です。意味のあるものにしたいですから、やはり、マンモグラフィーまたは超音波を受診することが望ましいです。
マンモグラフィー乳がん検診の日本全国の受診率は10%程度ときわめて低い状況です。栃木県では18%と全国平均より上回っていますが、米国の85%に比べて程遠い状況です。国が掲げる目標の50%以上を早期に達成することを願います。
受診しない大きな理由の一つが「痛み」です。痛みがひどく二度と受けたくないという女性が多いことを耳にします。
◆【当院の取り組み】
当院では、この痛みを軽減でき、かつ、診断能力も向上した最新鋭の3Dマンモグラフィー「トモシンセシス」を導入し、検診の普及を積極的に行っております。また、11月には乳腺に特化したブレストイメージングセンター(画像診断センター)と北関東で初となる男女が別々に人間ドックを受けられる施設をオープンする予定です。
乳がんは早期発見が大変重要です。 ご自身・家族が穏やかで・安心した生活をおくるためにも是非、年に1度はマンモグラフィー乳がん検診を受診するようお願いいたします。
当院はマンモグラフィー検診受診率50%以上を目指して活動して参ります。