代表的な症状

胆石は、肝臓から分泌される胆汁がコレステロールなどと結合し、石のような塊を形作ったものです。
そのほとんどが胆のうの中で形成される胆のう結石ですが、まれに肝臓の中に発生する肝内結石や、総胆管結石として存在することがあります。

 

また、胆石の成分によって、コレステロール胆石、ビリルビン胆石などに分類されますが、結石の成分によって症状や治療法が変わることはありません。

 

胆石の症状

 

 

胆石症の症状で典型的なのは、油ものを摂取した後に起こる右季肋部痛です。
油分を消化吸収するためには胆汁が必要ですが、胆のう内に蓄えられている胆汁も使用されます。
その際、胆汁が胆のうから排出される際に、同時に胆石も排出され、狭い胆のうの出口を通る際に痛みが出るとされています。

 

このような胆石に関わる症状を呈する方は約10~30%程度で、ほとんどの胆石症の方は無症状で経過します。

 

日本における胆石の保有率は約10%程度とされ、ほとんどが食習慣の欧米化に伴うコレステロール結石と言われています。
ここ最近では胆石の保有率は調査されていないため、正確な動向は分かりませんが、年々増加していると推測されています。

 

胆石に関しては、その成分ごとで発生する原因が変わります。

食習慣の欧米化に伴い胆汁内のコレステロール濃度が飽和すると、胆汁酸と凝集することでコレステロール結石を形成します。

 

ビリルビンカルシウム結石の形成には、細菌の感染が関与しています。
総胆管や肝臓内にある結石は、このビリルビンカルシウム結石が多いとされています。

これらのような結石を形成してしまう原因として、従来より5Fと呼ばれる危険因子、

 

  • 40歳代(Forty)
  • 女性(Female)
  • 肥満(Fatty)
  • 白人(Fair)
  • 多産(Fertile)

 

が提唱されています。近年では高齢者や男性でも胆石症を有する方も増えてきています。

 

無症状の胆石症が将来的に何らかの症状を起こす確率は15~40%程度と言われています。
また、胆のう結石の合併症として急性胆のう炎を発症することもありますが、急性胆のう炎を薬物治療で治療したとしても、19~36%が再発するとされています。

 

また、胆のう結石症として切除した胆のうの5%に胆のうがんが合併するという報告もあり、胆石が見つかった場合には胆のうがんにも気を付けなければなりません。

 

総胆管結石の場合は、胆管炎という重篤な感染症を起こす場合が多いので、迅速な治療が必要となります。

 

健康診断や人間ドックでたまたま胆石症を指摘され、胆石症にかかわる症状が出ていない場合、原則として治療をする必要はなく経過観察とします。
ただし、初めて胆石症と診断された場合には、胆のうがんを合併していないか十分に確認します。

 

症状のある胆石症の場合は、原則として胆のうを切除する手術が薦められます。
胆のうを切除せず温存する方法として、薬剤による胆汁酸溶解療法と体外衝撃波結石破砕方法がありますが、胆石の種類によっては適応にならないことと、再発率が高いため、よほど外科手術を回避したほうが良い場合以外は選択されません。

 

それゆえ、現在は腹腔鏡を用いた腹腔鏡下胆のう摘出術を第一選択肢としてお薦めしています。
ただし、極力腹腔鏡手術の技術認定医の執刀を受けることが望まれます。

 

腹腔鏡下胆のう摘出術は年間14万件程度行われている一般的な手術ではありますが、命にかかわる合併症を引き起こしてしまう可能性もあるからです。

 

その一方で、総胆管結石の場合は必ず何らかの症状を呈するので、発見された段階で治療対象となります。
ほとんどの場合は内視鏡を用いて総胆管結石を除去する治療を行いますが、胃切除術の既往がある方には難しい場合も多く、外科手術が選択される場合があります。

 

いずれの場合も胆石症の治療に長けた消化器内科医や外科医の診察を受けることが勧められます。

 

胆石症は無症状であれば治療をせずに経過観察を続ければよいですが、ひとたび症状を呈すると、その治療法も複雑になります。
特に急性胆のう炎を起こした場合と、総胆管結石症を併発した場合には注意が必要です。
内科的治療と外科的治療のどちらでも対応できる医療機関での診断および治療が望まれます。