当院代表佐藤俊彦のコラム ~ABVS+AI(QV-CAD)を併用した検診システム~
ABVS+AI(QV-CAD)を併用した検診システム
宇都宮セントラルクリニック 放射線科医 佐藤俊彦
当院では、かねてよりデンスブレストの問題を取り上げてきました。日本人やアジア人は、乳腺濃度が高い=デンスブレストが多いので、マンモグラフィでは、雪原で白ウサギを見つけるようなものです。
このシステムを考案したのは、米国のBob Wongという社長です。彼はもともとR2というマンモグラフィのCADシステムを作るVBの社長でしたが、マンモグラフィではデンスブレストの問題があり、検診としての感度が悪すぎることから、超音波での検診を思いつきます。この時点で、マンモグラフィをスクリーニングシステムとして否定しています。一方、超音波検査はオペレーターが実施するので、実施する技術者の差が出ますし、術者が見つけた病変以外は記録されていないので、あとから見落としたのか?そもそもなかったのかの鑑別ができません。
そこで彼はR2をホロジックに売却し、そのお金で3Dの超音波システムを考案したわけです。まず、ドイツのシーメンス社がそれをABVSという商品名で発売を開始します。その当時から、当院では導入して使っているのですが、見落としが全くあり得ないので安心して使えることと、3Dデータなのであらゆる角度から見ることができるために、手術を前提とした上からのVIEWが外科医にとっては病変の広がりを把握するのに有効です。
6年経過して、今度はGEがライセンスを買いABUSという商品名で参入してきます。これで3D超音波のマーケットが確立したところで、今度はAi-CADを開発するに至ります。つまり、両方をビジネスにしたと言うことです。
結果は、乳腺外科医の伊藤先生が、今度の乳癌学会で発表します。QV-CADはがんの1例を除き、全例を診断可能でした。そればかりではなく、僕も伊藤先生も良性と評価した病変をQV-CADはがんと診断してきました。これはAI機械学習の方が、人間の目よりも正確であった1例ですが、人間の診断と両者を組み合わせることで、高い診断率を保つためにも重要であると考えます。
宇都宮市の40歳以下の女性の乳がん検診は視触診のみというお寒い状況なので、若い女性が受けやすいように、ABVS+AIでの検診をお得なプランで準備しています。NPOピンクリボンうつのみやのHPか、当院のHPからダウンロードしていただき、お申し込み下さい。
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撮影した超音波画像をAI(QV-CAD)が診断し、そのあと伊藤先生がそれを参考にしてダブルチェックする仕組みで見落としを防いでいます。
従来は、臨床検査技師がチェックしていましたが、いまはスキャンをするだけで何か異常があった人だけ、エラストグラフィなどの精密検査の超音波検査を実施します。
AIが自動的に判断してグリーンサークルを付けます。
この部分を再度、精密検査すれば良い仕組みになっています。
高濃度乳腺におけるAI-CADの有効性を示す論文で、読影時間が短くなり精度も高いことが証明されています。
超音波検査で良性と判断したのですが、AI-CADはがんと診断してきた症例で、PETでも明らかにがんであることがわかります。
これは臨床検査技師が実施した超音波では異常なしの患者でしたが、AI-CADは構築の乱れを指摘した例で、AI-CADがないと見落とされていた患者です。
このように、デンスブレストの女性にとってこの検診システムは非常に有効なシステムです。ぜひ、皆様の受診をお待ちしております。
また、伊藤先生がいろいろな事業所や集会に出向き、乳がんに関する啓発活動を実施しています。本年は、壬生町・真岡市・上三川町・さくら市でセミナー開催予定です。こちらもあわせて、ご参加いただければ幸いです。
↓日程など詳細は下記URLをご確認下さい。
NPOピンクリボンうつのみやのHPや、当院の乳がんブログでも情報発信しておりますので、参考にされて下さい。
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◇乳がんブログ
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