代表的な症状

脳卒中は、平成30年の人口動態統計によると「がん」「心臓病」「老衰」に次いで、日本人の死因の第4位となっています(*1)。
他の病気もそうですが、脳卒中は突然死を引き起こすだけでなく、助かった場合でも長いリハビリ生活を余儀なくされます。
一方、脳卒中は予防できる病気の一つですので、症状が出る前の対策が非常に重要です。

 

日本では、脳卒中は「生活習慣病」のひとつとして考えられています(*2)。
生活習慣病という名称は、メタボリックシンドロームによって引き起こされる様々な病気の総称として使われ、今や日本国民の3分の1がメタボリックシンドロームと言われています。
脳卒中(脳血管障害)に対する平成29年度の医療費は1兆8085億円にのぼり、総国民医療費の約2.5%を占めています(*3)。
そのほかの生活習慣病を併せると莫大な医療費がかかっているため、厚生労働省は予防医療としてメタボ健診(特定健診)などの対策を行ってはいますが、日常の生活習慣を大きく変化させるまでには至っていません。

 

ここでは、なぜ脳卒中になってしまうのか、脳卒中とはどのような症状が出るのか、脳卒中の原因や治療法などを説明します。

 

宇都宮市で脳卒中の治療

 

 

脳卒中という病名は、「脳血管障害を引き起こす病気」の総称です。
脳血管障害とはその名の通り、「脳の血管が何らかの障害を受けることで、脳そのものが一時的、または永久的に重大な障害を受けてしまうこと」と定義されています。

血管に対する障害は「血管が詰まる」と「血管が破裂する」に分けられ、血管が詰まる脳梗塞、血管が破ける脳出血やクモ膜下出血が代表的な病気として知られています。
血管に対する障害の違いによって現れる症状や治療法が大きく異なります。

 

脳卒中で一番怖いのは、症状が急に現れ、そのまま急死してしまう可能性が高いことです。
人間の脳はとてもデリケートな臓器であるため、ちょっとした障害を受けるだけですぐに影響が出てしまいます。
そのほか脳卒中で現れる症状は、障害を受けた血管が脳のどの機能に影響を与えるか次第で、様々です。
たとえば手足のまひ、言葉がしゃべれない、細かい動作ができない・・・などが脳卒中の症状としては有名です。

 

また、クモ膜下出血では、これらの症状のほかに「後頭部をバットで殴られたような激しい頭痛」を突然感じます。
この「突然起こった激しい痛み」は、クモ膜下出血を疑うとても重要なキーワードですので、ぜひ知っておいてください。

 

脳梗塞の場合、血管が詰まる原因としては、以下の2つが挙げられます。

脳の細い動脈にアテロームというコレステロールの塊が出来て、動脈硬化を起こします。その結果、血管が狭くなり、最終的には詰まってしまいます。心筋梗塞も同じ様式で発症します。

心房細動と呼ばれる不整脈を持っていると、心臓の中に小さな血の塊が出来ます。
この塊が血液の流れに乗って脳の血管にたどり着き、血管を詰まらせてしまいます。
エコノミークラス症候群として知られる肺塞栓という病気は、肺に血の塊が詰まってしまうことで起きるですが、全身の血管で起きる可能性があります。

 

一方、脳出血やクモ膜下出血は、血管が急に破裂し、脳の中に出血が起きてしまいます。その脳出血が起きる原因は、何といっても高血圧です。
脳出血は日中の活動中など、血圧が上がりやすいときに発症することが多いとされています。
特にクモ膜下出血は、脳動脈瘤という脳の血管にできた瘤(こぶ)が破裂して出血を起こします。

 

いずれにせよ、脳卒中の原因の大半はメタボリックシンドロームが影響しています。
高血圧、高脂血症、糖尿病などを健康診断で指摘されたことがある方は、もう一度自身の健康を見直すことをお薦めします。

 

脳卒中の治療法は、発症してからの時間経過によって、その内容が変わってきます。
発症直後は急性期治療を、2週間程度経過した後は、機能回復を目的としたリハビリを行います。

 

血管が詰まる脳梗塞の場合、最も大切なことは、詰まった血管を再開通させ、脳の組織を守ることです。血管を開通させる方法には、

 

  1. カテーテルを使って血管を広げる
  2. 血の塊を溶かす薬を使う

 

という2通りがあります。いずれの治療も、高度医療を提供できる総合病院でしかできません。

 

一方、脳出血やクモ膜下出血では、出血を広げないような治療が必要です。ここでも血圧管理がとても重要になってきます。
特にクモ膜下出血の場合、脳動脈瘤の破裂が原因となっているため、状態次第では緊急手術を行い、脳動脈瘤の治療を一緒に行わなければなりません。

 

脳卒中では、脳梗塞や脳出血を起こした脳の場所によって、様々な障害を呈します。
特に「高次機能」といわれる、人間が生きていく上で必要不可欠な行動・・・たとえば発語、運動、感情など、を司る場所に障害が出てしまった場合、リハビリを行っても元の機能を取り戻すことは難しいでしょう。
そのため、ある程度症状が落ち着いた2週間程度を目安として、リハビリを積極的に行います。リハビリは早く始めたほうが機能回復に有効であるといわれています。

 

脳卒中は一度発症してしまうと、思いもよらない障害が残ってしまうことがあります。病院へ行けば治る、というものでは決してありません。
自身のやりたいことができなくなるばかりでなく、一緒に暮らす家族にも大きな影響を与えてしまいます。
一番大切なのは、脳卒中にならないように予防することです。日頃の節制や健康管理には十分注意しながら、予防医療を心がけましょう。
脳卒中の予防は神経内科の専門医にご相談ください。

 

■参考

*1(参考)平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況 「死亡数・死亡率(人口10万対),性・年齢(5歳階級)・死因順位別」
*2(参考)厚生労働省ホームページ 「健康・医療>健康>生活習慣病予防>生活習慣病を知ろう」より
*3(参考)一般社団法人日本生活習慣病予防協会ホームページ 「平成29年度国民医療費の概況」