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当院代表佐藤俊彦のコラム ~前立腺のMRI検査~

前立腺のMRI検査

 

宇都宮セントラルクリニック 放射線科医 佐藤俊彦

 

平成最後の今年も、まもなく終わろうとしています。

年号が変わって1年くらい経ちますと、必ず経済危機が我が国を襲うことになっています。次の破綻は“政府”ということなのだと思います。あまりにも膨らんだ財政赤字、日銀のバランスシートの破綻と言ったところでしょうか…。これにより、ベールインになるか、ベールアウトになるかで処理も変わってくるのだと思います。債務国のフランスでは、インフレがひどくなり暴動が起きているようですし、イギリスのブレグジットによると、ヨーロッパは大混乱ですね。まあ、米国も不法移民を排除してしまったので、人件費の高騰でインフレがひどい状況です。量的緩和をし続けている日本は、もしかすると…?最後のセイフヘブンは、日本かもしれませんね!ただ、継続はできないので、国債暴落により金利の急上昇を招くのは間違いなさそうです。それまでは、紙幣の増刷あるいは海外資金で国債を買い支えるのでしょうね。医療と年金を今のまま続けることは、もはや不可能で、おそらく破綻していくのだと思います。

 

そうなったときに重要なのは、自分の身体は自分で守ること。イギリスでは医療改革が進んでおり、AIが問診をしてくれるなど、医療の担い手になっています。これによって、溢れかえっていた受診者が半減したとか…。

 

また、9人に一人の男性が前立腺がんになると言われているのですが、これまでは前立腺生検を実施していたものを、前立腺のMRIに変えることで“生存率を向上させ、不必要な手術を減らし、長期的に患者とNHS(イギリスの保健サービス)の両方に利益をもたらす”ということで、健診システムに採用されています。

女性では乳がん、男性では前立腺がんは避けがたい疾病で、その早期診断にために、トモシンセシスとABVSを用いた乳がん検診と、造影MRIによるパラメトリックMRIは必須の技術になってくると思われます。

 

当院の高精度放射線治療センターは、前立腺がんを短期間で治療できる栃木で唯一のセンターです。5回の照射で治療できるサイバーナイフと、20回で治療できるトモセラピーを両方備えています。今年は、1年間治療を実施してまいりまして、毎月25名前後の治療を実施することができました。来年は、デジタルPETも導入する予定ですので、ますます、身近な画像診断センターとなるよう努力してまいります。皆様のご支援のほどよろしくお願いします。

 

 

パイロット後の前立腺がん MRI 検査の導入

 

2018 年 12 月 12 日

https://www.bbc.com/news/uk-wales-46525063

(↑翻訳)

 

NHS(National Health Service:国民健康サービスと呼ばれる。イギリスでも日本と同じく国民皆保険制度がある。) では、保健組織によって前立腺がんを見つけるための非侵襲性 MRI 検査が承認された。

検査は 3 つのエリアでパイロット試験(探索的臨床試験)されてきたが、担当者はそれをウェールズ全体で利用可能にして欲しいと求めた。

現在、イギリスの国立医療技術評価機構(NICE)は、MRI を費用対効果が高く、多くのがん

を検出できるとして支援している。

ウェールズ政府は、NICE が来年のガイドラインの完成に先立ち、保健委員会が準備をしていることを明らかにした。

ウェールズでは 9 人に 1 人の男性が罹患する前立腺がん。これは診断が難しく、生検は侵襲的で痛みを伴う。

マルチパラメトリック MRI(mpMRI)は、前立腺のより鮮明な画像を得るために、最大 3 種

類のスキャンを組み合わせている。

これによって、専門家がその前立腺に生検が必要かどうかより正確に判断するのを助ける。

 

Denbighshire の Llangollen 出身の Stuart Davies 氏(71 歳)は、がんの再発後、2017 年 9月に自費で mpMRI 検査を受け、£900 を支払った。

彼は検査がウェールズ全体で利用可能になるよう運動を起こした。6,000 名の署名を集めた嘆願書が議会の請願委員会に提出され、火曜に議論された。

Davies 氏は、Betsi Cadwaladr 大学の保健委員会からやっとの思いで払戻しを受けたとこ

ろだが、NHS ではその検査は£300 かかる可能性があった。

彼は現在、新しい検査機器が Bronglais 病院や Glan Clwyd 病院へ導入されるまで、NHS

が資金を提供した検査が個人の携帯電話端末からの送金で受けられることを希望している。

「これは形勢を一変させる出来事です。次の段階ではウェールズ政府が中間資金を提供し

なければなりません。」と、Davies 氏は言う。

 

この検査は Cardiff および Vale で、また Aneurin Bevan および Cwm Taf の保健機関はパイロットの一部で利用可能であった。

NICE のドラフトガイドラインは新年にも、正式に推奨となりそうだ。NICE のガイドライン責任者である Paul Chrisp 氏は、「この診断経路は生存率を向上させ、不必要な手術を減らし、長期的に患者と NHS の両方に利益をもたらすだろう。」と述べた。

 

◇BBC ウェールズ保健局長の Owain Clarke 氏による分析

NICE による全ての決定が大きな注目を集めているわけではありませんが、NHS は組織の

少ない資源をどのように上手く使うかという重要な目的を果たします。

診断のこの形態を見てきて、それが将来的に NHS においてイングランドおよびウェールズの各地で利用できるようになると感じました。

見落とされてしまったと感じた患者や活動家たちは、条件を公平化することを強く要求し

ています。

ウェールズ南部の数名の患者は、パイロット計画の一環として生検前の MRI が利用できたはずだと異議を唱えたが、ウェールズ政府は NICE の承認を待っていると回答した。

今日の決断が、来年早々の最終的な認可の道を開くこととなる。

 

 

Tenovus Cancer Care の最高責任者 Claudia McVie 氏は、新しいドラフトガイドラインを歓迎しているが、ウェールズやイギリスのその他の場所でも、重要なキャパシティに関する問題は診断サービスに直面していると述べた。

彼女は「ウェールズ政府は、ウェールズ全体での診断キャパシティの向上および診断医の

育成に投資をすることが必要不可欠です。」と言う。

外科医であり Prostate Cymru の会長の Andy Thomas 氏は同じ考えを持っている。前立腺がんの発見および治療において重要な進歩であるが、より多くの MRI 検査機器と放射線科医、それも訓練された医師が必要とされると述べた。