当院代表佐藤俊彦のコラム ~軽部先生が着任~
軽部先生が着任
宇都宮セントラルクリニック 放射線科医 佐藤俊彦
お花見のシーズンも終わり、春らしい日が続いていますが、皆様にはお元気でご活躍のことと存じます。
当院は、新春に高精度放射線治療センターをオープン致しました。
今月より、東大の放射線医学教室から軽部先生を常勤にお迎えし、診療体制を充実させていこうと思います。
軽部先生はもともと千葉県のご出身で、東北大学を卒業された後、東京大学の医学放射線科に入局され、研鑽を積まれた先生です。
大変まじめなお人柄で、患者さんに対して親身に対応して下さいます。
また、東京大学ではトモセラピーを使ってこられましたので、サイバーナイフを使いこなしていただくことで、すべての放射線治療をカバーしていただけると思います。
放射線治療と免疫治療は非常に密接な関係があることが最近のMDアンダーソンの研究で明らかになっています。
つまり、多発転移があった場合、これまではステージ4で末期癌と診断され、放射線治療は無理だし、手術も無理だから、抗がん剤でもやるしかないと言って、効かない抗がん剤を使い続けて患者のQOLを損ねてきた事実があります。
しかし、現在はどこかに定位放射線照射を実施すると、アブスコパル効果で放射線を当てていないところが免疫反応で細胞のアポトーシスを得ることができるのです。
したがって、あきらめてはいけないと言うことになります。
あるケースでは、大腸癌の肺転移と肝転移だったのですが、肝転移に放射線をかけたところ、かけていない肺転移が消えたという症例です。
先日も順天堂大学の福永教授とこの話をしていましたら、MDアンダーソンは大腸癌の成績が抜群に良いのだけど、手術はしないで分子標的薬と放射線治療でやっていて、通過障害がでたら手術するという感じのようです。
免疫に関しては、MDアンダーソンではチェックポイント阻害剤を使っています。
これも静脈経由で投与するといろいろな副作用が生じますが、腫瘍血管にカテーテルを使って選択的に投与することで、副作用を軽減しています。
Immune-radiation therapyという新しい概念の治療法です。
このアブスコパル効果は、温熱治療でも生じることが言われています。
この患者さんは乳癌の術後再発の患者さんですが、右縦隔リンパ節転移と左肺転移を認めますが、右縦隔リンパ節にオンコサーミアを照射すると、PETでのFDG集積が減少していますが、かけていない左の肺転移は消失しています。
温熱治療でも免疫作用でアブスコパル効果を確認できました。
このように放射線治療とオンコサーミア、そして免疫治療を組み合わせた新しい治療方法を当院では“あきらめない癌治療”として実践しています。
軽部先生とも協力をし、このような体制を今後も構築して参ります。
何かございましたら、お気軽にセカンドオピニオンの外来を受診下さい。