ORIXグループ社員向けに講演
1月25日に、オリックスグループ社員向けに“最新のがん予防医療”について講演しました。
またその様子がオリックス全社員向けの広報紙に掲載されました。
(以下抜粋)
オリックス(株)ヘルスケア事業部は2017年7月に医療法人DIC宇都宮セントラルクリニック(以下、「UCC」)に対して業務支援サービスを提供している(株)CMCと資本提携しました。現在、UCCとともに日本の予防医療と地域医療の発展に貢献できるような活動を実施しています。
その活動の一環として、1月25日にUCC理事で放射線専門医師である佐藤俊彦氏をお招きして、グループ社員向けに“最新のがん予防医療”についてお話しいただきました。
当日は120名以上の社員が参加し、17拠点とテレビ会議をつなぐなど、多くの関心を集める講演会となりました。
~がんとはどういうものか?~
皆さんの身体には1日3000個以上の細胞が発生しています。がん細胞は細胞が分裂する過程で異常化し、免疫によって駆除されずに増えてしまったものです。通常は体内の免疫機能によって「小さながん」が退治され発症を防いでおり、この免疫機能は非常に大事です。
がんによる死亡者数は年間38万人(男性が22万人、女性が16万人※2016年国立がん研究センターがん情報サービス最新がん統計より)です。男性は肺がんが多く、前立腺がんも急増しています。女性の場合は、乳がんと子宮がんの罹患率が高く、増えているのは肺がんと大腸がんです。この辺りをポイントとした検診を選ぶということが重要になります。
がんは、やがて腫瘤(しゅりゅう)となり、腫瘍が形成されると検診画像で確認できます。PETだと5mmくらいのサイズから、通常の画像診断の装置だと1cmくらいから確認できますが、いずれにしても相当大きくなった状態でないと見つけることができません。また、CTCという血液検査では、血液中のがん細胞を検出できます。がん検診は、画像検診とCTCを組み合わせることがベストです。
~がんの治療とは?~
がんの標準治療は、外科手術、抗がん剤投与、放射線治療に区分されます。その他に免疫治療や温熱療法というものが新しくトライアルされています。
治療費は、早期がんと進行がんでは違いが明確です。乳がんを例にとると、早期がんだと手術完了したら100万円程度に対してステージ3の場合は手術に加え、放射線治療や抗がん剤投与、ホルモン剤を5年間服用などが必要になります。がんは早期発見した方が身体も治療費負担も少なくて済むということが分かります。
~PET検査の有効性~
PETは、全身を1回(10分から15分)で検査することができ、転移や再発のフォローアップ、腫瘍の良・悪性の判別ができる検査です。レントゲン検査やMRIなどの画像検査などで診断、転移、再発の診断が確定できない患者、または、すでにがんと診断されている患者向けの検査では、保険が適用されるので3割負担の方で約3万円です。
まずPETで全体的なスクリーニングをし、見えにくい箇所は内視鏡検査を組み合わせると効率的です。
UCCのPET検査の機械(フィリップス)は、普通の機械より4割ほど早く検査ができるので、非常に(検査の)拘束時間が短いことも特徴です。
アルツハイマー病の診断が一番早くみつかるのはPETです。60歳を過ぎてからPET検査をする場合は、必ず頭も追加してください。MRIでは、脳が委縮してからしか兆候が見つかりませんが、PETの場合、薬は全身に回るので、頭にも当然取り込まれ脳内の糖代謝(エネルギー代謝)の様子が画像として得られます。アルツハイマー病の場合、脳の特徴的な部分で糖代謝の低下が見られます。頭のスキャンは5分くらいで終わるので、(体も頭も)両方を検査した方がいいと思います。
~最新のがんの治療について~
最後に、免疫治療をご紹介します。
身体に放射線を当てると免疫反応が起き、その反応によって生まれたT細胞※3ががんの転移しているところなど全身に行き渡ります。いま、この免疫反応で遠隔転移が治るという効果が期待されています。
温熱治療は、抗がん剤とホルモン剤を投与しながら、温熱治療を加えるとがん細胞の厚みが薄くなるという治療です。熱を加えるとがんが自分の身を守るためにヒートショックプロテインというものをつくり、免疫細胞を呼び込むという効果があります。そのためがんの治療は、免疫と非常に密接な関係にあるので、そのあたりのことを本にまとめているので後で読んでいただければと思います。