自治医大放射線科 若月教授によるセカンドオピニオンおよび放射線治療外来
宇都宮セントラルクリニック 理事・放射線科医 佐藤俊彦
いよいよ来月11月で当院は20周年を迎えます。
当初、MRIを中心とした画像診断センターでOPENしたわけですが、その後、2003年にはPETセンター、2014年には、ブレストセンターを開設して今に至ります。そして2017年は20周年事業として準備をしてきました放射線治療センターが来月いよいよオープンする運びとなりました。
本施設は、若月先生の監修の基に準備を進めて参りまして、今月からは毎週火曜日に若月先生の放射線治療外来がスタートしております。
標準治療が終わって再発している患者さんの手術にするか?放射線にするか?それ以外にも治療法はあるのかといったお悩みにたいして、相談を受け提案できるような施設づくりをしていきたいと思います。
若月先生は、重粒子線治療の研究のご経験もあり、今後県内の放射線治療をリードして行かれる先生ですので、お気軽にご相談いただければと思います。
セカンドオピニオン外来については↓
https://ucc.or.jp/consultation/second_opinion
先日、直腸がん再発の患者さんが、術前に骨盤に放射線治療を実施していましたが、術後に同部位の局所再発が認められました。このような例では、これまでのリニアックによる放射線治療では追加照射はできません。
しかし、ピンポイント照射が可能なサイバーナイフなら、追加照射をすることが可能になります。これは、放射線を照射する精度が高いために、危険な部分でも的確に照射することができるからです。
また、乳がん術後の再発の患者さんは、対側の縦隔および鎖骨上窩リンパ節へ転移を認めていました。このような広範囲における再発例には、まず、抗がん剤とオンコサーミアの組み合わせで、腫瘍部位を小さくしてダウングレードします。このダウングレードしたところで、照射を追加すれば、非常にピンポイントの照射でメリットを発揮することができます。
前立腺がんにおいては、ホルモン治療で小さくしておいて、サイバーナイフを実施すれば5回の照射(1週間)で治療が完了します。仮に重粒子線治療のケースでは、20回つまり1ヶ月間かかります。
当院のメディカルクラブのメンバー様で、前立腺がんだった患者さんは、群馬大学で治療をしていただきましたが、経過観察のMRIで完全に腫瘍の消失が確認されています。ちなみに、前立腺がんを手術する泌尿器科医も、自身が病気になった場合、手術と放射線治療と、どちらを選択しますか?という問いに対して、ほとんど全例で放射線治療を選択していますので、疑う余地はないと思います。
また、グリソンスコアの高いがんに対して、あるいは遠隔転移を持つ患者さんに対しては、内用療法も始まりますので、さらに対応の幅が広がります。
放射線治療は、実は免疫反応を惹起します。つまり、腫瘍の免疫特性が変化しますので、免疫反応を引き起こしやすくなる訳です。局所での免疫反応が、免疫細胞の拡散により、遠隔転移の部分にも作用するアブスコパル効果を発揮してくれます。
この辺は10月25日に発売になる本にまとめていますので、是非、ご一読ください。
最新放射線治療でがんに勝つ サイバーナイフとトモセラピーが、がん治療を変える
出版社:幻冬舎
11月の私の診療は、サイバーナイフとトモセラピーの講習会で、10日ほどお休みとなります。私自身は、放射線治療の経験は、研修医の時以来ですが、最新の放射線治療機器の勉強ができることを楽しみにしています。60の手習いで、放射線治療をマスターしたいと考えております。
今後とも、みなさまのご支援をよろしくお願いいたします。