お知らせ・トピックス

ピンクリボンうつのみや 第3回 講演会のお知らせ

宇都宮セントラルクリニック 放射線科医 佐藤俊彦

秋の気配になってきましたが、皆様お元気でご活躍のことと思います。
私の方は、相変わらずばたばたしております。
来月は、ピンクリボン月間を迎えます。
ピンクリボンうつのみやの講演会では、メインゲストに当院の竹原めぐみ先生を迎えましてお話しいただきます。
彼女が出版した本『寿命を10年延ばす「乳がん専門医」の教え』の出版記念講演会をかねてのイベントでもあります。
彼女がこれまで、乳腺外科医としていろいろな患者さんの治療に当たりながら、乳癌検診の重要性をまとめた本で、印象的なのは”再発や転移した乳がんは治らない!”という事実です。
やはり、早期に無症状な状態で発見して、切除するのが基本だと思います。
彼女の生い立ちや乳腺外科医を目指した理由、大学時代の様々な苦労など、彼女の医師としてのバックグラウンドを形成していることがわかる本に仕上がっています。
ぜひ、講演会場でお求めいただければ幸いです。
また、私が次にお話しさせていただきますのが、”乳がんになったらPEMを受けましょう!”という話です。
PEMは、2013年に保険収載になっていますが、ほとんどの乳腺外科医の先生が使ったことがない=理解できていない状況です。大学病院にも導入されていませんので、外部に委託しない限り使用経験がないという現状です。

私どもでは、2013年4月より導入し、すでに700例の検査を実施しておりますので、日本一の件数を実施しています。
手術前に実施する目的では、治療方針が変わるケースが20%ほどあると言うことです。つまり、単発病変と思われていたのに、娘病変や対側病変が発見され、術式が変わるケースを経験します。つまり、他の検査で見えない部分を取り残す可能性すらあるわけです。
したがって、保険点数も付いている検査なので、必ず術前に受けるべき検査と言えます。
今後機会がありましたら実例を交えながらご説明したいと思っています。
先日のPETサマーセミナーでは、当院のPEMの話しをシンポジウムでさせていただきました。
PEMでしか見えない病変が5%存在します。これらは、超音波やマンモグラフィで診ることができないので、PEMガイド下で生検するしか確定診断する方法がありません。しかし、保健所が許可してくれないのです。
海外では、生検できなければ意味がありません。
保健所の無理解で、日本では生検できない現状を打破するために実例を提示して説明してきました。核医学会の理事の先生も、ガイドラインの変更に賛成してくれましたので近いうちに日本でも、PEMガイド下生検が実施できる時代が来ると思われます。
そういう意味では、島津製作所や古河金属工業がPEMを作っていますが、生検できないというのは設計ミスで日本でしか売れないシステムだと思います。

ところで皆さんは、大麻取締法をご存知でしょうか。大麻について大抵の方は使用経験がないと思います。この大麻が、米国やヨーロッパでは解禁になっています。
特に医療大麻は解禁され、約280種類の疾患に有効であることが証明されています。私の患者さんでも、膵臓がんの手術をして、食欲がなくなりみるみる痩せてしまっている患者さんがおります。この患者さんに、食欲が出るように色々な漢方薬や西洋医学の薬を試しても、一向に効果が上がりません。
このような患者さんにこそ、医療大麻がいいと言われています。抗がん剤や放射線治療で、悪心が続いている患者さんにも食欲を改善する効果が期待できますし、ケシから作られるモルヒネで効かなくなった疼痛患者さんにも有効です。モルヒネの場合、次第に効かなくなるために、容量を増やしていくと呼吸が止まり死亡することもありますが、大麻には、極量がないと言われており、安全に容量を増やすことができると言われています。
日本では、大麻の所持、栽培、輸出、輸入、譲渡、受け取りを禁止していますが、使用は禁止されていません。しかし、事実上、医療にも、研究にも使えない状況ですので、医者の間でも無知な人がほとんどだと思います。

私も、本を読むまで無知であり、もともと関心も持ちませんでした。しかし、医療大麻の効能がいろいろ発表されるにつけ、諸外国で解禁のニュースを見て、どうしてなの?と興味が湧いてきました。
大麻の中には、THC(テトラヒドロカンナビノール)といわれる精神変容成分とCBD(カンナビジオール)といわれる薬効成分があります。
CBDを抽出するイギリスの会社をGWファーマシューティカルズ社を日本の大塚製薬が買収しました。製品名は、サティベックスといいます。イギリスでは、多発性硬化症の患者さんの50%に有効な薬剤であると言われています。この薬は、カナダでも、解禁されていますので、非常に有効な製品であることが実証されています。
また、米国大統領選でサンダース候補が、大麻解禁を言われているので、その影響も大きいと考えます。
米国の研究所で医療大麻を研究している森際克子先生は、神経性疾患、多発性硬化症、ALSなどにすごくいいと言っています。
また、タバコやアルコールのような依存性も起きないということで、安全性でも評価されています。また、免疫能力を高めるらしく、がん治療にも使うことができるようです。

さらに大麻は、土壌改良にも使われており大麻の中でもTHCを含まないヘンプをチェリノブイリでも汚染土壌の浄化に使っているようです。したがって、もし日本で大麻が解禁されるとすれば、福島の汚染土壌で栽培しそこから有効成分を抽出してバポライザーなどで服用すれば医薬品としての可能性も出てくるわけです。残った繊維は、衣類や建材にも使われるために、裾野の広い産業育成も可能となります。
米国では、すでにタバコの税収を大麻が抜いており、貧しい地方政府の財源確保にも一役買いそうです。ハーバード大学のジェフリー・マイロン氏が試算するところによると、
・取り締まりにかけていた費用=77億ドル
・一般消費材としての課税=24億ドル
・タバコや酒類と同じ課税=62億ドル
・アンダーグラウンドから表の経済へ=400—1000億ドル
と非常に大きな市場規模であることがわかります。
その他にも、麻の実は食用にもなりますし、大きな市場規模の産業に成長することは間違いなさそうです。
法令順守のもとで、一度研究したいと思っています。

最近は、外来に風邪で来られる患者さんが増えています。
季節の変わり目ですので、くれぐれも皆様お元気でお過ごしください。




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