お知らせ・トピックス

インターバルキャンサーに関して

宇都宮セントラルクリニック 放射線専門医 佐藤俊彦


フリーアナウンサーの小林麻央さんの乳癌の闘病を歌舞伎役者の市川海老蔵さんが記者会見しました。
http://toyokeizai.net/articles/-/122202
かなり深刻な様子で、定期的に検診を受けていたといっていることから、インターバルキャンサーを疑います。北斗晶さんも、インターバルキャンサーだったわけですが、このインターバルキャンサーとは、検診と次の検診の間で発見されるがんで、多くは進行性のものをさします。比較的、短期間に急速に増殖し、転移を引き起こしてくるので、悪性度の高い乳癌と言うことになります。
したがって、悪性度の高い癌ほど、ブドウ糖代謝が活発ですので、ブドウ糖のイメージング=PET/PEM検診を実施するのがリーゾナブルな考え方ですが、そこまでは世間の認識が進んでおりません。
また、多くの乳癌は、比較的おとなしいホルモン感受性を示しますが、トリプルネガティブの乳癌というのは、ホルモンにも、HER2タンパクにも依存しないで急速に増殖するたちの悪いものです。しかも、トリプルネガティブの乳癌は、BRCA遺伝子との関連性も言われています。
日本では、BRCA遺伝子検査は、実は一般的ではなく、検診センターなどで気軽に受けられればよいのですが、遺伝子得カウンセラーのいない病院では実施できませんので、当然実施数が伸びません。つまり、普及していません。
全体の5%程度は異常ではないかと言われているわけで、実施するべき検査の一つです。
異常があれば、遺伝子カウンセラーに心のサポートをしてもらい、ブレストイメージングセンターで適切な検査を実施すればよいわけです。
一方で、検診にPET+PEMを使えば、インターバルキャンサーの発見や前癌病変を発見できる可能性が高まります。したがって、女性でPET検診を実施する方には、PEMを追加するようにお勧めしています。
PEMは、追加の被曝がまったくありません。したがって、安全な検査と言うことができます。マンモグラフィーや超音波では見えない癌が見つかるケースもあります。
したがって、ハイリスクの女性の検診には、マンモグラフィーや超音波ではなく、PET+PEM検診をお勧めします。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/news/201010/516858.html

ハイリスクの女性の検診には、マンモグラフィーや超音波ではなく、PET+PEM検診

読売新聞の記事で、デンスブレストの記事がタイムリーにでていました。
当院では、デンスブレストの患者さんには、異常なしとして報告することはしません。必ず、癌が見えないことがあるので、超音波検査あるいはMRIを実施するように結果報告しています。
ここも、検診を受けていたのに進行癌で見つかったとか、インターバルキャンサーの問題解決に重要なポイントです。
実に、自治体検診の70%は異常なしで返していると言うことは、この中に20%程度は乳癌があるはずです。
今回の小林麻央さんも、若いだけにデンスブレストであった可能性は否定できません。

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マンモの乳がん判別困難例伝えず…自治体の7割
2016年6月12日 6時0分
読売新聞
自治体の乳がん検診で行われるマンモグラフィーで乳房のタイプによっては異常が見えにくいにもかかわらず、「異常なし」と受診者に通知されるケースが多いことが分かった。
読売新聞が主要な131自治体にアンケートした結果、回答の約7割が、異常が見えにくい乳房のタイプを通知する仕組みがないとした。受診者に、異常が全くないと誤解させる心配がある。専門家は「見えない場合に受診者が超音波検査などを受けられるよう通知をルール化すべきだ」と指摘している。
マンモグラフィーでは、がんの疑いがある白い影の有無を医師が判定する。検診結果について、国は自治体に「要精密検査」「異常なし」のいずれかで結果を伝えるよう指針で定めている。
自治体の乳がん検診のマンモグラフィーについて取り上げている
異常が見えにくくても、「異常なし」と受診者に通知されるケースが多いそう
専門家は、受診者が超音波検査などを受けられる通知をルール化すべきと指摘
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今月の3日、トーマスジェファーソン大学(TJU)の卒業式に出席させていただき、客員教授visiting scholarを頂いてきました。
学部長のテイコテインスキー先生と私のボスのポール先生主催の昼食会で、大統領選挙の話を聞いてみたら、Braggadocio vs criminalだねということでした。ほら吹き vs 犯罪者なので、犯罪者には入れないだろうとのこと。米国のエスタブリッシュメントは、ドナルドだと思っているようですね。
これまでの選挙では、二大政党の戦い、つまり共和党 vs 民主党だったわけですが、今回の戦いは、革命的で、これまでの主流派 vs アウトサイダーの戦いになっているのが特徴です。
アウトサイダー旋風が吹き荒れているという感じですね。
未来のない若者たちが、支持している。大学を卒業するときにすでに約3万5千ドル=4000万円近い借金を背負っているので、払えなくなれば、軍隊に行くしかないという感じです。
一方で、TJUの卒業式で見た父兄さんたちは、皆さん富裕層のようで、子供を連れている女子学生もたくさんいて、学生の間に出産まで済ませておけば、その後の研修などスムーズにこなせるのでいいという話もありました。

250人の卒業生たちは、迫力ありました。日本は80−100人程度で、数の上でも半分です。(まあ、人口は米国が倍なのですが、医学部の数も倍以上あるので、医師の供給力・競争がすごいです。)
教育制度の改革も進んでいるようで、これまでは大学4年+医学部4年の8年間だったものを1+4、2+4で短縮するプログラムも実施しているようです。卒業時1年目は、4+4が最も成績いいのですが、10年目では卒後研修がしっかり機能しているので、1+4でもOKのようで、そのシステムのダイナミズムを感じずにはおれません。
それにしても、大統領選挙はどうなるのでしょうか?
ティーパーティー運動が、どうもトランプ旋風の元になっているようです。
アメリカ独立革命の際に、イギリスがお茶に課税したことに怒った市民が、ボストン弯にお茶を大量に投げ捨てて抗議した運動ですが、TEA=Taxed Enough Already:税金はもうすでにたっぷり取られている、と言う揶揄のようで、現体制にいかれる市民が、トランプを支持しているらしい。
また、アラブの春がSNSを駆使したように、トランプ陣営は、ツイッターのフォロワーは560万人とヒラリーなみ、インスタグラムは、82万8000のフォロワー、クリントンの63万2000を遙かにしのいでいます。
それと、彼の成功法則にThink BIG:大きく考える、があります。
1987年のトランプ自伝には、夢を叶えるためには、大きなビジョンを持たねばならない。そのためには、これまでの思考の枠を取り外して考える必要がある。仕事への情熱が、仲介者無くして政界で勝ち上がってきた実力と評価されています。
未来に希望を持てない若者たちを代弁するかたちでのアウトサイダーの戦いの様相となっている大統領選挙からは目が離せません。
是非、“トランプ革命”を読んでいただくと、ニュースがわかってくると思います。
トランプ革命

トーマスジェファーソン大学とは、今後、放射線技師の研修などをお願いし、米国での放射線技師のトレーニングを通じて、若い人たちの教育の場になってほしいと思っています。

日本も、参議院選挙を前にして、舛添さんの政治資金問題やらいろいろな問題が山積ですが、毎日の臨床をしっかりやって地域で勝ち残れる医療機関をめざして精進していくつもりです。
今後とも、よろしくお願いいたします。




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