お知らせ・トピックス

AADC欠損症への遺伝子治療の大成功

宇都宮セントラルクリニック 放射線科医 佐藤俊彦
 
2月も間もなく終わり、三寒四温で体調の変化には細心の注意が必要な昨今ですが、お元気でお過ごしのことと思います。
今月6日に開催させていただきました”栃木健康セミナー”では、300人の会場へ500名以上の皆様に応募いただき御礼申し上げます。
また、200名以上の皆様にお話しできずに申し訳ありませんでした。
今月末より、ビデオセミナーを開催しますので、そちらもよろしくお願いします。
自治医大の村松先生には、認知症に関するお話しをしていただき、今後の政府の政策であります、IoHHつまり、インターネットを人類の健康に貢献させるプログラム、フレイルの状態を健常に戻すことで、介護の費用負担を軽減する政策などが解説されました。
私のパートでは、昨年11月より施行されました、再生医療促進法により、免疫治療や脂肪幹細胞療法、IPS細胞療法などを解説し、新生薬事法により、早期認証制度で、遺伝子治療の早期承認が期待されているところです。
遺伝子治療は、私どもと村松教授の遺伝子治療研究所が主導的な立場で、医師主導の治験を実施しております。パーキンソン病では、これまで8名の患者さんに遺伝子治療を実施して、安全性およびその効果を確認済みのテクニックです。
今回、同じAADCの遺伝子欠損を先天的に伴って、18年間寝たきりだったお子さんに応用した結果、歩行器で歩行訓練できるまでに回復していることが報告されました。
報道ステーションでも、報道され、その効果は、日本中に知らしめることができました。
本当に感動的でした。
 
私どものクリニックでは、FMT-PETにより診断と実施後の効果判定を、Molecular imagingの技術で証明しています。
日本では、唯一私どもの施設でのみ合成している薬剤ですので、現在パーキンソン病の患者様やAADC欠損症の患者さんは全国から当院へ来院されています。
どうして他の病院ではできないかというと、FDG-PETの施設では、O-18の水をプロトン照射してF-(フッ化物イオン)を生成しますが、FMT−PETではO-18の酸素ガスにプロトン照射してF2を合成する必要があります。したがって、追加の投資も必要で、合成のために特殊な酸素ガスも必要になるわけです。
費用は約5000万円の追加投資がかかるわけで、これらの投資は、保険診療が未承認であるゆえに回収は困難な状況です。
しかし、今後は、治療法と診断法の確実な連携が可能で、パーキンソン病(酵素欠損)とパーキンソン症候群(レセプター異常)をFMT-PETで鑑別できれば、明確に遺伝子治療の適応が予測できるようになります。
 
先日も、東京の某大学病院でパーキンソン症候群が疑われていた患者さんをFMT-PETで検査したところ、パーキンソン病であることが診断できた患者さんがおりました。
現在、パーキンソン病は2年程度で、寝たきりになるケースが多いので、遺伝子治療を実施することにより、初期治療の薬が無効になった患者さんへの大きな福音となるに違いありません。
遺伝子治療研究所では、このほかにALSやアルツハイマー病への適応が検討されており、ますますの期待が持たれます。
現在は、10名分の遺伝子治療製剤を合成するのに約6000万円の費用がかかっておりますが、大量生産のGMP企画の培養センターを作ることにより、10−100分の一の価格で製造が可能となると思います。
量産体制には、大規模な培養センターが必要であり、皆様のご寄付をよろしくお願いします。
 
昨年の12月から、免疫治療剤のオプジーボは、いよいよ肺がんに保険適応拡大しました。
非小細胞肺がんでは、健康保険が有効です。1回の投与で、約200万円かかるわけですが、現在は、獨協医大・自治医大・がんセンターで治療可能で、当院との免疫細胞療法とは親和性がある治療です。したがって、両者を併用できますので、セカンドオピニオン外来までお問い合わせください。


医療分野でのシェアリングエコノミーに関しては、米国のコヒーロをご紹介したいと思います。
大手の病院では、必ずしもすべての画像診断機器や医療機器をフルに使っているとは限りません。一方、中小の医療機関では、医療機器を必ずしも、稼働状況から購入するには至ら無い医療機器も多数あります。
これをクラウドのマッチングサイトで、医療機器を貸したい病院と借りたい病院がマッチングされ、それの物流と決済を実施している会社がコヒーロです。
今後は、医療従事者のシェアリングエコノミーも展開してくると思われます。
医療機器は、購入する時代から、借りる時代に突入しているのかもしれません。
シェアリングエコノミーから、目が離せません。
オリックスのフリールは、すでにCT・MRのシェアリングエコノミーを実施しており、今後のますますの発展が期待されます。
http://www.freeill.co.jp
 
先日、健保組合の検診の患者さんが受診されました。
健保との契約は、2Dマンモグラフィでの契約なのですが、異常は指摘されませんでした。しかし、今年は、患者さんの意志で3Dマンモグラフィでの検査を受診されたところ、2Dマンモグラフィでは認められない乳がんが、3Dマンモグラフィでは確認されました。
2Dマンモグラフィでは20%の乳がんが見落とされます。
今後は、すべて3Dマンモグラフィでの検診受診が望まれるところです。
皆様にこれらの事実を機会のあるごとにお伝えしなければならないと思った次第です。




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