お知らせ・トピックス

日本初のAADC欠損症の遺伝子治療

宇都宮セントラルクリニック 放射線科医 佐藤俊彦
 
もう後残すところ1ヶ月ちょっとですが、すばらしい偉業が達成されました。
自治医大の村松先生が開発した遺伝子治療で、神経難病であるAADC欠損症の15歳の少年に治療が実施されました。
治療経過は、順調で、みんな喜んでいます。
この病気は、先天的にこの酵素が欠損していて、寝たきりになってしまう遺伝病で、これまでは治療の方法がなく、看取るしかないものでした。村松先生は、台湾に同じ病気の子供たちがいることから、台湾政府に呼ばれすでに16例の治療を成功させています。
台湾に先行されてしまった形だったのですが、日本に4名いる患者さんに順次治療できればと思っているところです。
当院では、酵素欠損を確認するために、FMT-PETを実施して病気を確認し、遺伝子治療後の酵素発現を再度FMT-PETで実施するという流れで、御協力させていただいております。
結果も出ていて、早期の臨床応用が期待されます。
 
神経難病の15歳に遺伝子治療…自治医大が国内初
 自治医科大の山形崇倫教授らのチームは1日、全身の筋肉がうまく動かず、寝たきりになってしまう小児の神経難病に対する遺伝子治療を、国内で初めて実施したことを明らかにした。
 この難病は「芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症」と呼ばれ、神経の間で信号を伝える物質が、生まれつき作れない。
 チームは、厚生労働省の承認を得た上で、6月29日、AADCを作る遺伝子を組み込んだウイルスを、15歳の男性に投与した。同様の治療は台湾で16例行われ、一部は介助付きで歩けるようになったという。
(2015年7月2日 読売新聞)
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=120622
 
また、この酵素欠損は、パーキンソン病でも認められるために、主にパーキンソン病の遺伝子治療で使われていたベクターと治療用遺伝子を子供に応用したものでした。
当院では、現在進行中のパーキンソン病の遺伝子治療の患者さんのスクリーニングと確定診断目的で、FMT-PETを実施しております。
まずは、検査を受けていただき、自治医大の村松先生の外来を受診して遺伝子治療の適応の有無を判断していただくという流れになります。お気軽に私の外来を受診してご相談ください。
検査は、毎週火曜日に実施しております。
 
先週ワシントンDCで開催されましたSITC2015という免疫治療の学会にでてきました。
私は、オプジーボの臨床成績をこの目で見たいと思って参加してきたのですが、ステージ3/4の肺癌患者さんに対する新たな希望だと思いました。
現在米国では、第3相試験を実施しており、有効性を示すデータがたくさん報告されています。
http://www.sitcancer.org/2015
オプジーボを投与した進行肺癌の1年生存率が41%に改善しています。癌にPDL-1がある患者さんだけを治療した成績では、完全消失が40%あったということで、開発者の本庶先生も講演されていましたが、ノーベル賞ものの技術だと思います。
http://www.kyoto-u.ac.jp/static/ja/profile/intro/honor/award_b/academy/honjo.htm
すでに今年の3月からは、悪性黒色に加えて肺癌でも米国では適応拡大されており、日本でもまもなく適応拡大されるのではないかと思われます。
理論的には、すべてのがんに有効だと思われ、免疫細胞療法と温熱治療との併用が期待されています。
http://www.sitcancer.org/hopefornsclc/about-immunotherapy
ここに原理を説明するビデオがありますので、ご覧いただければと思います。
当院でも、患者さんのご希望に添えるように手配可能ですので、ご相談いただければ幸いです。
 
北斗晶さんの乳癌報道以来、当院へのテレビ取材が急増し、同時に患者さんからの検診および乳腺外来受診が急増したため、予約が立て込んでおり皆様にはご迷惑をおかけして申し訳ありません。
本年は、3台のMRIを入れ替え、さらに高精度な画像診断が可能となりました。
あわせて、10月より、自治医大の乳腺外科から竹原めぐみ先生を常勤でお迎えし、土曜日の獨協医大の伊藤先生と併せて、乳腺診療体制を整備してきたのですが、女性技師の不足と患者さん急増で検査に障害を来しております。
そこで来月は、マンモグラフィバスをフリールからレンタルし、1日50人体制のマンモグラフィ撮影ができるように準備しております。これで正常な予約体制になると思われますので、ご不便をおかけしますがよろしくお願いします。
また、急患はこの限りではありませんので、お急ぎの方はお申し出ください。
 
さて、来年度の仕込みを少し、お話ししたいと思います。
じつは、先日、当院を受診された患者さんは、テレビを見ていらしたのですが、左乳房から血清分泌物が止まらないということで、都内の大学病院をいろいろ受診しましたが、どこの診断でも異常がない!うちではどうしようもないといわれたそうです。
NHKの私どもの報道を見られて、受診されたのですが、明らかにPEMで見ますと癌があるわけです。
マンモグラフィや超音波も当院で実施しましたが、見えませんでした。
MRIを大学病院で実施しているのですが、何もないという診断結果です、しかし、当院の新しいMRIで実施してみますと、当院独自の画像解析(parametric map)でみると明瞭に見えるわけです。
ここでも乳癌の画像診断の難しさを実感したわけです。
やはり、日本一の画像診断センターを目指さなければと・・・・
これらの診療を支えて、毎日実践してくれるのは、我が同僚の放射線技師君たちです。
彼らへの感謝とますますの技術への投資を実践していくつもりです。
そんなわけで、次は、痛みのない・挟まないマンモグラフィを当院に導入したいと考えております。
http://m1.koningcorporation.com/Product.aspx
 
技術革新は、すばらしい!
今後とも、よろしくお願いします。




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