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Are_you_DENSE(阿久津注釈)

Are you DENSE?
http://www.areyoudense.org/
宇都宮セントラルクリニック 放射線科医 佐藤俊彦
 
7月2-4日、東京で乳がん学会が開催されました。
当院のPEMに関する発表をさいたま医大の遠山先生、獨協医大の伊藤先生、当院の齋藤技師長が発表してくれました。
分子イメージングという分野で、あまり学会でも最先端過ぎて使っている人はいないのですが、現在の病理診断では、見る先生によって、がんと診断したり、がんじゃないと診断したり、病理診断への信頼性が揺らいでおります。今後は、PEMのような分子イメージングで糖代謝の異常をみることにより、がんや前癌病変を診断していける時代になるのではないかと思い、研究を続けております。
生検しなくても、分子イメージングで診断し、MRガイドのFUSで治療する時代がもうそこまで来ているように思います。
PEMの後発の機械も紹介されており、スペインのonco-vision社のMAMMIという装置のセミナーを聞いてきましたが、性能的には、半導体センサーを使っていないので、島津製作所のPEMと同程度の性能と判断しました。やはり、小さい乳がんを見つけるためには適さない装置ということです。
http://www.gem-imaging.com/productos/mammi/mammi.php
乳腺外科の領域から、徐々に非侵襲治療に移行しつつあると思われました。
それゆえに、ますます1cm以下の乳がんを見つけることが重要なテーマになってくると思われます。
また、Are you DENSE?の活動を続けているNancy先生が来日されました。
彼女は、40歳から毎年、乳がん検診をマンモグラフィーで受けていましたが、11年目に異常なしの結果をもらいますが、主治医の触診でわかる程度の進行がんで乳がんが発見されました。つまり、これまで受けていたマンモグラフィ検診は意味がなかったということです。
彼女は、自分の乳がんがマンモグラフィで見つからなかったのは、DENSE(デンス)ブレストであるからと説明されます。
 
▼参考資料 デンスブレスト(高濃度乳腺)について
http://www3.gehealthcare.co.jp/ja-jp/news_and_initiatives/2014/press25
 
この経験をきっかけに、彼女は、Are you DENSE?という運動を起こすことになります。
デンスブレストは、閉経前の女性の2/3、閉経後の女性の1/4の割合で存在すること、そして、マンモグラフィでは見えにくいため、乳がんの診断をするためには超音波検査やMRIなどが必要であることを周知させる運動です。医者は、検査に対する限界を受診者に説明し、デンスブレストと診断された受診者には、他の画像診断での検査を勧めるべきとし、それをしない医者に対しては罰則を法律化しました。現在、全米25州でこの法案が制定されています。
http://www.areyoudense.org/
残念なことに、日本人は、米国女性よりもデンスブレストが多いんです。
でも、ピンクリボン運動では、マンモグラフィ検診を受けましょう!とは説明しますが、マンモグラフィと超音波検査を受けましょうとは言いませんよね?
これってひどくないですか?
マンモグラフィ検診を受けて、異常なしで結果が返ってきたら、安心しますよね?
でも、デンスブレストですって?
当院では、2013年12月の開院以来、デンスブレストの方には超音波検査をお勧めするレポートにしています。
最初は、なかなか理解していただけなかったのですが、乳がんと診断結果がついている人の約20%はマンモグラフィで見えません。また、当院ではトモシンセシスを使って全例のマンモグラフィ検診を実施していますが、これでもデンスブレストの患者さんの診断率は約20%向上したといわれていますが、100%はありえません。
したがって、デンスブレストに対する理解と読影する先生によるばらつきを防ぐために、ボルパラというソフトウェアでの、自動判定化を実践しています。
http://www.breast-hc.com/
ボルパラは、マンモグラフィを撮影後に自動的にソフトウェアが、乳腺濃度を4段階に評価する仕組みで、BIRADのグレードにあわせて、ABCDの4段階評価を解析していきます。
CDの方が、デンスブレストで、超音波検査やMRI検査をお勧めするという流れになっています。
http://www.breast-hc.com/#!volpara/ch6w
デンスブレストは、4-6倍の乳がんのハイリスク因子といわれていますので、重要な結果ですが、日本ではわずかな医療機関でしかボルパラは導入されておりません。
栃木県内では、当院が唯一導入しています。
Nancyさんは、stage-IIIAの進行乳がんで、リンパ節にも13個もの転移があったので、抗がん剤や放射線治療もやっていますが、医師たちにも、高濃度乳腺に対する認識がなく、彼女の運動を支援してくれる医師は、コネチカット州に一人しかいなかったそうです。
このように、重要な事実を受診者に説明していない検診ってどうなんでしょうね?
また、検診でトモシンセシスを使っていないところは、精度管理にどんな認識でいるのか????無知なゆえに仕方がないのか?
https://ucc.or.jp/pdf/20150710.pdf
 
また、まもなくさいたま新都心にFUSによる治療センターができます。
当院では、年間100例の1cm以下の乳がんを発見するつもりで検診を実施していますので、発見した患者さんのほどんとは、FUSで治せると考えています。
http://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/topics/15.html
近くに、このようなセンターができることは、非常に患者さんにとってメリットのあることであり、ますます超早期乳がんを見つける診療体制を強化して行こうと思います。
当院では、レデイス倶楽部やがん検診サポート倶楽部を設けており、お得な検診プランをご用意しています。
ぜひ、これを機会にご検討いただければ幸いです。
https://ucc.or.jp/hospital/breastcenter/ladies.html#ladies2
 
乳がんは、毎年約7万人は治療を受けており、約90%の方は生存します。
つまり、生命予後がいいというのが特徴なんですが、63000人の方が、毎年フォローアップ患者として増えていきますし、10年間のフォローアップになりますので、専門医療機関はどこも外来がパンクしている状況です。
3分診療もできる状態ではないので、ますます、画像診断センターが重要だと考えています。
手術が終わったら、定期的なフォローアップは画像診断が可能な乳腺クリニックで実施していくという欧米式の診療連携を構築しない限り、手術が必要な患者さんへの十分なケアができない現状を打破することができないわけです。
先日も、乳腺外科の先生から逃げてきた患者さんがおりました。
昨年の10月に良性腫瘍と診断されて経過を見ていましたが、悪化してきている。しかし、何度も生検しても、異常ないとのこと・・・・
診察したところ、炎症性乳がんなのか?生検による炎症なのか?
MRIでは、明らかに乳がんで、皮膚病変は生検による炎症とわかり、炎症に対する治療を実施していますが、そこの先生は超音波ガイドで生検しないそうです。
したがって、画像診断もいい加減だし、撮る場所も全然違ったところを撮っていれば、診断できるわけもありません。
栃木県の県庁所在地でこんなことあるの?って、皆さん思っていると思いますが、これが現実で、診療機器もひどいんです。
乳腺診断には、たくさんの画像診断機器が必要なんです。
皆さんにわかりやすく、ビデオにまとめましたので、ぜひご覧ください。
https://ucc.or.jp/hospital/breastcenter/clinic.html
 
今後も、当院は乳腺診療に全力で取り組んでまいります。
大学をはじめとして、基幹病院と連携して進めてまいりますので、お気軽に乳腺担当医師にご相談ください。
 
乳がん学会では、NPO法人ピンクリボン宇都宮でブースを出し、いろいろな活動を実施してまいりました。日本で初めてのピンクリボンスマリングなども、ぜひ、お手にとっていただければと思います。
http://pinkribbon-no-wa.jp/




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