新花見山公園
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宇都宮セントラルクリニック 放射線科医 佐藤俊彦
桜のシーズンもすでに終わりを迎えましたが、皆様、お元気でご活躍のことと存じます。
19日土曜日に、桜をみに約30年ぶりで、福島市の花見山公園に行ってきました。
福島の桃源郷というところで、大正15年、養蚕農家の阿部さんが、昭和10年に養蚕をやめて花の栽培を実施して、目の前の雑木林をすべて花に変えて今日にいたるものです。
http://www.hanamiyamakoen.jp/
私が、最初に伺ったのは、解剖実習を終えた大学3年生の春だったと記憶しています。
私たち医学生は、献体していただいたご遺体2体を6人で解剖実習させていただくわけですが、そのご恩に報いるべく、医者として精進せよ、と解剖学の伊藤教授から教わりました。
でも、私は、冬の間、毎日続く解剖実習は正直好きにはなれませんでした。鬱屈する気分で春を迎え、花見山の慰霊碑に同級生と解剖学教室の先生方と向かったその晴れた日をいまでもよく覚えています。
解剖学実習があまり得意でなかったから、いま画像を通しての解剖学である放射線医学を勉強しているのかもしれません。あのときにお世話になった男性・女性の献体の意思を無駄にしないように医者としての道を進んで行こうと思っています。
志らぎく会は、“自分が亡くなった後は、遺体を医学の進歩と発展のために無条件・無報酬で福島県立医大に献ずる”という会員組織で、会員組織は1438名を数えます。
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/1996/00999/contents/072.htm
いま、医学部の定員増加や今後予定されている仙台での医学部増設などで、ご遺体の確保が大変であることも聞いています。
久しぶりの福島市は、当時と比較すると、この花見山が世界的な観光地になっていること意外は、時間が止まっているようでした。今も続く市内の除染作業が、ここはまだ原発との戦いが続いているんだということを改めて思い起こさせられました。
二代目の阿部一郎さんは、昨年お亡くなりになったそうですが、“どんな災害にあっても
春になればまた美しい花を咲かせて人々の心を癒してくれる“とおっしゃっていたようです。復興のお役に立てることがあれば、と考えを新たにしました。
晴天の中、満開の枝垂桜、真っ赤なボケの花、もくれん、満開の菜の花、チューリップをみて、心が癒されました。
今月より、東北福祉大学の荻野学長より、特任教授としての辞令をいただきました。
皆さんも、ご存知と思いますが、東北福祉大学は、各種プロスポーツ選手を生み出す大学として、文武両道の曹洞宗系の福祉人材を養成するための大学です。
2016年に開校する医学部の最有力候補の大学です。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201403/20140301_15020.html
荻野学長は、国会議員も務められた曹洞宗の高僧でもあられ、随所に宗教用語が出てくるのですが、“全機医療を実践”したいとおっしゃっていました。
“全機”とは、仏教用語で“ものの働きや機能のすべて・すべてのものの働き”という意味で、“医療の専門家は、それぞれ多種多様であるが、それらのすべてのリソースを結集させて医療に取り組む”そんな風に理解させていただきました。
私も、大学の医学部新設に向けて、微力ではありますが、一役を担わせていただければと考えております。また、新設医大ですので、これまでのしがらみにとらわれずに、今ベストな教育方法を採用できるものと思います。医療面では、ぜひ大学の特色を出せるようないろいろな新しい分野をご提案して行こうと思っております。
そのひとつに、再生医療があります。
これまで私は、自治医大の村松教授のパーキンソン病の遺伝子治療のお仕事をご一緒させていただいておりますが、今年また、新たに日本製の治療用遺伝子で治験を開始する予定になっています。
また、カルナメドの高柳先生やメディビックの小野社長とは、ゲノム薬理学で協業させていただく予定です。
たとえば、抗がん剤治療を実施する前に、抗がん剤の効き具合や副作用の程度などを予測できれば治療を受ける患者さんへのメリットは計り知れません。
いま、CYPやトランスポーターの遺伝子を解析することで、抗がん剤やホルモン剤への効果や副作用が現実わかるようになってきています。これをいち早く導入したいと考えております。
宇都宮セントラルクリニックと野口記念インターナショナル画像診断クリニックで解析サービスを開始する予定です。
対象となる抗がん剤名は、表のとおりです。
これにより、副作用が強ければ、投与量を減量したり、効果が少ないと判断すれば増量したりほかの抗がん剤への変更が可能です。
テーラーメイド治療が、徐々に可能となっていくはずです。
PEMボランティア募集に関して
現在、当院では日本で初めてのPEMを導入して1年が経過し、1cm以下の超早期乳がんを多数診断してきました。そこで大規模テストを実施して、さらに精度を検討したいと考えております。つきましては、PET健診受診者の皆様で、PEMを受診(無料)していただけるボランティアのかたを募集いたします。先着200名様となりますので、お申し込みの際に担当者にお申し出いただければ幸いです。