お知らせ・トピックス

リバタリアンとして生きる

リバタリアンとして生きる
宇都宮セントラルクリニック 放射線科医 佐藤俊彦
 
 
いつもお世話になっております。
いよいよ、今月23・24日に新棟のオープニングレセプションを開始いたします。
計画して1年、早いもので、いよいよオープンできることになりました。
今回のブレストセンターの開設目的は、“1cm以下の乳がんを見つける”、そして“マンモグラフィ受診率50%をクリアする”、そのために、“痛みの少ない、3Dトモシンセシスによるマンモグラフィを導入する”ことを実現しました。
さらに、1cm以下の乳がんを見落とさないために、PEMを導入する。PEMにより、術後の再発所見も早期に診断できるようになっています。
我々のようなブレストイメージングセンターは、日本では見当たりません。
栃木県でこのようなシステムをオープンできるのは、これまで地元のみなさまから、画像診断センターとして認知されてきた当院の強みであると思います。
皆様の、多数のご参加をお待ちしております。
 
私が、30年前に大学を卒業する時に、故伊藤学長(解剖学)から、“君たちは、医者あまりの世代だから、本当に大変だ。その辺で野たれ死なないように、しっかり将来を見据えて頑張りたまえ!”との趣旨の訓示を頂きました。しかし、それから起こったことは、“医師不足による医療崩壊”であったわけで、医療費亡国論(1983年吉村仁保険局長が、医療費増大は、国を滅ぼすと主張し、医療保険改革を提言した。)に基づき、医師の定員削減や医療費抑制政策により、医師不足を引き起こしました。その時に思ったのは、医師不足による医療崩壊は、ITを駆使して医療の生産性を上げるしかないと考え、米国型の画像診断センターの構想を考えました。『医療崩壊回避できず』では、遠隔画像診断と独立型の画像診断センターを設立することを目指し、ドクターネットを1997年に起業した経緯を書きました。この会社は、放射線科医の勤務スタイルを劇的に変化させ、売上25億円・利益5億円の会社に成長し、マザース上場を2010年4月に許可されました。しかし、同時に半年前にマザースに上場していたFOY社の粉飾決算発覚により、市場は混乱し、上場を断念して、大証1部上場のノーリツ鋼機にM&Aで譲渡し、これからは医療に専念しようと考えて現在に至ります。
 
現在、先進国は多重債務に苦しんでおり、先進国に共通する少子高齢化により、これまでの社会保障制度(年金・医療保険)を維持するのは困難となっています。
そこで、『100歳まで現役で生きる人のシンプルな習慣』では、“ギリシャは国が破綻して、年金も公的医療保険もなくなりました。富裕層は海外に医療を受けに行き、貧乏人は、医療を受けられずに死ぬ”このような現実を目の当たりにして、“自分の身は自分で守りましょう(健診を受ける)”“民間医療保険を購入しましょう(医療保険を買う)”“メディカルツーリズムで海外に医療を受けに行きましょう”という趣旨の内容を書きました。
 
現在、宇都宮セントラルクリニックでは、セントラルメディカル倶楽部で約700名のメンバー様の健康管理を実施しつつ、画像センターを中心とした健診に加え、CTC(テロメスキャンによるCirculating Tumor Cellsのチェック)を実施して、早期にがんを発見する仕事をしています。加えて、γδT細胞による免疫治療を予防でも使って効果をあげています。
新しい健康管理プログラムとして、日本人だけでなく、最近は中国人やベトナム人の入会が相次いでおり、海外への情報発信は重要であると感じています。今年、『健康快楽100歳』という本を中国で出版いたしました。
 
また、宇都宮セントラルクリニック15周年記念事業として、今年の11月オープンに向け、ブレストイメージングセンターを建築しています。
現在、乳がんは増加の一途をたどっており、日本では15人に1人が乳がんになっています。
環境ホルモン(農薬・殺虫剤・プラスチックの可塑剤など)や米国産牛肉に含まれるエストラジオール(女性ホルモン)は、すべて女性ホルモンの作用をするので、この環境下で生活していく以上、乳がんのリスクから逃れることはできません。予防法はなく、早期発見こそが、最強の治療ということになると考えます。
“予防こそが、最強の治療”と考え、国立がんセンターで成績を出しているように*1、1cm以下の乳がんの予後は優位に1-2cmの腫瘤よりも良好なので、我々の施設は、1cm以下の乳がんを見つけることに主眼を置いて検査を実施しています。
そのためには、検診が重要で、痛くないマンモグラフィ+ABVSでのスクリーニング、PET検診を受診される方には、PEM(Positron Emission Mammography)を合わせて実施するように、システムの再構築を実施しています。
 
また、乳がん術後のフォローアップ外来においては、“乳がんの術後フォローアップをしてもしなくても予後に変化がない”という趣旨の論文*2の影響により、積極的でない医療施設が多い中、当院では、フォローアップ外来に全力投球しています。
早期に再発や転移を見つければ、放射線治療やトモセラピー、免疫療法などいろいろな手を打つことができます。また、塞栓術やRF焼灼治療などを組み合わせることも可能です。
“見えないがんを見つける”テロメスキャンも、フォローアップ外来に不可欠で、術後再発を顕微鏡レベルの大きさから診断することが可能となり、画像診断と合わせて予防から経過観察まで一貫した検査体制を提供できるようになりました。
 
一般の人に乳がんの最新の診断方法を理解していただき、あわせて、超早期診断で切らずに治す方法などを理解していただくことを目的に、『最先端検査が実現した超早期乳がん最新治療』を出版しました。
オバマのヘルスケア改革は、時期が悪かった、財政難からシャットダウンするような財政状況で、大きな支出が必要なヘルスケア改革は、厳しい結果となるのは明確で、米国のリバタリアンがどのような対応をとるのか、目が離せません。
先日の連休に、個別化医療学会で、神戸の松本先生のEDのレクチャーを聞いてまいりました。非常によくまとまっているレジメなので、お届けしたいと思います。
来月は、いよいよ師走ですが、皆様お元気でお過ごしください。
 
 
参考文献:
*1.Natsue Ichizawa, Takashi Fukutomi, Eriko Iwamoto, Sadako Akashi-Tanaka. Breast Surgery Division, Department of Surgical Oncology, National Cancer Center Hospital, Tokyo, Japan: Jpn.J.Clin.Ocol.2002;32(3)108-109:Long-term Results of T1a, T1b and T1c Invasive Breast Carcinomas in Japanese Women: Validation of the UICC T1 Subgroup Classification
 
*2.Follow-up strategies for women treated for early breast cancer (Review)
Copyright © 2012 The Cochrane Collaboration. Published by JohnWiley & Sons, Ltd.
 
 
著書のご案内:
『医療崩壊 回避できず』(デジタルメディスン)
『100歳まで現役で生きる人のシンプルな習慣』(幻冬舎)
『最先端検査が実現した 超早期乳がん最新治療』(現代書林)
『健康快楽100歳』(人民衛生出版社)




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