最新治療法

乳がんのしこりを早期発見するための最新画像診断機器とは?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

最近は、乳がんを身近に感じる人が増えているようです。
著名人の乳がん告白により「乳がんの早期発見はまず乳がん検診を受けること」ということが浸透してきました。

日本で乳がん検診が始まった1987年頃は、問診・視触診のみでしたが、乳がん患者が増加し続ける状況を受けて、2004年には厚生労働省が40歳以上の女性は2年に1回、マンモグラフィ検診を受けるように推奨しています。

乳がん検診でマンモグラフィ検査をする人が増えたため、「乳がん検診=マンモグラフィ」と思っている人も多いですが、実は乳がんの画像検査の方法は日々進化しています。

乳がんの画像診断はマンモグラフィ以外にどのような画像検査の方法があるのでしょうか?

乳がん しこり 画像診断

乳がんの画像診断

乳がんの精密検査として、画像診断があります。
画像診断によって、より詳しくしこりや痛みの状態を知ることができます。
そこで、乳がんの検査で使用される画像診断の方法をご紹介します。

  • マンモグラフィ検査
  • 超音波検査(エコー検査)

マンモグラフィ検査

乳がんのマンモグラフィ検査とは、乳房のX線撮影のことです。
乳房をできるだけ引き出して、圧迫板という薄い板で乳房を挟んで圧迫し、平らに広げた状態で撮影します。

この時の圧によって痛みを感じることがあるため、「マンモグラフィは痛い」という評判がたってしまいました。
しかし、圧迫することでかなり撮影しやすくなることと、被ばく量を減らすことができるのです。

マンモグラフィの検査をすると、乳房の腫瘤が確認できます。
腫瘤は良性のしこりである場合と、がんの場合があります。
一般的に、しこりの境目がはっきりしている場合は良性腫瘍、境目が不明瞭な場合は悪性腫瘍の可能性があります。

石灰化とは、乳房の一部にカルシウムが沈着したものです。
大きく目立っているものがバラバラにある場合は良性であることがほとんどですが、小さいものが一箇所にたくさん集まっている場合は悪性である可能性があります。

超音波検査(エコー検査)

乳房に超音波を当てて、その反射波を利用して画像が出てきます。
しこりの形、境目部分がわかりやすいことから、しこりが良性なのか悪性なのかを判断することも可能です。
エコー検査は、妊娠中、胎児の様子を見る際にも使われるくらい、とても安心・安全な装置です。

マンモグラフィ画像診断の不安点

マンモグラフィで見ると、乳腺の重なっている部分など密度が濃い場合、画像の白い部分が多くなってしまい、しこりがあるかどうかわかりにくい場合があります。
そのため、しこりを見落としてしまう可能性もあるのです。

マンモグラフィ 画像診断

また、マンモグラフィだけでは、しこりのはっきりとした形や境目部分がどんな状態なのかを判断することは難しいです。
マンモグラフィとエコー検査のどちらかでしか発見できない乳がんもあるので、両方の画像診断を併用して行うことを勧められています。

また、マンモグラフィ検査では「がんの疑いあり」と出たけれど、精密検査をしてみると「がんではない」と診断されることや、生命予後に関係がない乳がんの発見などの過剰診断が出る場合もあります。

その他の画像診断

乳がんであると判明した場合、症状の広がりを確認するために、マンモグラフィとエコー検査の他に、造影剤を用いて、MRI検査を行うことがあります。
また、病変の診断が難しい場合や、乳がんかそうでないかを判断するためにもMRI検査が行われます。

  • トモシンセシス
  • PET検査とPEM

トモシンセシス

乳がん 画像診断 トモシンセシストモシンセシス(DBT:Digital Breast Tomosynthesis)は、Tomography(断層)とSynthesis(統一、合成)を合わせた言葉で、マンモグラフィの一種で3D撮影ができる最新画像診断機器です。

トモシンセシスでは、短時間で複数の角度から撮影した静止画を収集し、乳房全体を数十枚の薄い断層像として出すことができます。
これにより、マンモグラフィの弱点である乳腺の重なりによるしこりも見つけ出しやすくなります。

PET検査とPEM(乳房専用のPET)

PET検査は、PET-CT装置を使ってする検査です。

PET-CT装置とは、PET(Positron Emisson Tomography=陽電子放出断層撮影)とCT(Computed Tomography=コンピュータ断層診断装置)が一体型となったものです。
PET-CT装置を使えば、一度の撮影でPETとCTの両方の画像を撮影することができます。

がん細胞には、正常の細胞よりも栄養源として多くブドウ糖を取り込むという特徴があります。
PET検査では、FDGというブドウ糖に似た薬剤を注入して、FDGが多く集まっている部位を探すことで、がん細胞に目印がついたようになります。

乳がん 画像診断 PET-CT

乳房専用PET検査装置であるPEM(Positron Emission Mammograohy)は、欧米を中心に全世界で約70施設にしか導入されていない、最新の乳房専用PET検査装置です。

1.5mmほどの非常に小さいがん組織や、特殊な組織のがんも発見しやすくなった最新の医療機器であるPEM。
PET検査と比べると、より効率の良い検出素子を使ったり、ガンマ線を受ける検出素子を小さくしたりすることで、解像度が向上しています。

PEM検査を受けると、腫瘍が良性か悪性かを判別することもできます。

まとめ

乳がんは世界的に患者数が多い病気ですので、日々研究も進んでいる分野です。
乳がんのしこりを発見するための医療機器も進歩してきました。
より正確な症状を把握するためにも、最新の画像診断機器を使って検査する人が増えています。

乳がん検診できちんと画像診断を受けると、乳がんの早期発見に繋がります。
今はトモシンセシスや、PEMなどを導入し、より正確な乳がん検査ができる病院もあります。

体に異変を感じた時は、すぐに病院で診察を受けることが大切です。
また女性は30歳を過ぎたら、定期的に乳がん検診を受けるようにしましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。