乳がんの基

乳がん? 乳腺症? 乳腺炎? 知っておきたい「胸の痛みの種類」

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女性の大敵である乳がんは、年々増加傾向にあると言われています。
小林麻央さんや北斗晶さんが乳がん告白をされてからは、自分の胸に意識が行くようになり、乳がん検診に行く人も増えてきました。

しかし、実際に胸の痛みを感じている場合、不安な気持ちで病院へ行くのが怖くなり、そのまま放置している人も多いのではないでしょうか?

胸の痛みの多くは、乳がんではなく乳腺症の場合が多いです。
乳腺症の場合、病院へいかなくてもよいのでしょうか?
それとも治療が必要なのでしょうか?

乳がん 乳腺症 乳腺炎 痛み

胸の痛みは乳がんではない?

インターネット等で調べた情報に「胸の痛みは乳がんではない」と書かれていたら、「胸が痛いけれど、乳がんじゃないなら我慢しようかな」と思う人もいるでしょう。

一般的に、胸がチクチクする等の痛みは乳がんの症状ではありません。
しかし、北斗晶さんのように、胸の痛みがきっかけで病院を受診し、乳がんが発見されたケースもあるのです。
胸の痛みを我慢していると、その裏に乳がんが潜んでいた場合発見が遅れてしまうことがあります。

体の症状は一人一人みんな違います。
インターネット上の情報は無数にありますが、自分の体にぴったり当てはまる症状はどこにも載っていません。
自分の体のことや症状をきちんと知るためには、病院を受診して検査することが重要です。

胸の痛みの種類は?

乳がんではないけれど、胸の痛みを感じる時は、どのような痛みと原因があるのでしょうか?

  • チクチクする痛み
  • ズキズキする痛み
  • 生理前の痛み
  • 更年期の痛み

チクチクする痛み

胸がチクチクする痛みを感じる時は、乳がんではなく体がホルモンバランスの影響を受けている時です。
卵巣から分泌された女性ホルモンは、子宮と乳腺に妊娠の準備をするように働きかけます。

40代後半になると閉経が近くなり、子宮粘膜は周期性がなくなり始め、生理不順の状態が続くようになります。
子宮と同様に乳腺も不順の状態になるため、不定期に胸の痛みを感じることもあります。
鈍い胸の痛みが軽いうつ傾向や更年期の症状と重なってくると、心もだんだん元気がなくなってきます。

胸 痛み チクチク

女性の7割~8割は、生理前のホルモンバランスの変化に伴い、胸の張りや痛みを感じると言われます。
ホルモンの変化によって乳腺が発達し、胸の痛みに繋がっています。
これはある意味排卵がきちんと行われているという証拠でもあり、体にとってはナチュラルな痛みです。

しかし、「ちゃんと胸の痛みがあるから乳がんではないんだ。病院に行かなくてもいいかな」と考えるのはNGです。
胸がチクチクすることがきっかけで病院を受診し、きちんと検査をした結果に乳がんが見つかることもあります。

また、乳がんではないけれど、乳がんによく似た症状の乳腺線維腺腫や葉状腫瘍などの病気である可能性はあります。

乳がんではないにせよ、乳がんによく似た病気があった場合、早めに対処できれば処置も軽く、自分の体の負担も軽く済みます。
痛みがあったらすぐに病院で診察を受けるようにしましょう。

ズキズキする痛み

授乳期に多い「乳腺炎」は、乳腺が炎症を起こしている状態です。胸に熱を持ったような痛み、腫れ、発熱の症状が現れます。

乳腺炎 痛み ズキズキ

無理をして痛みを我慢すると、乳腺炎が慢性化してしまう場合もありますので、我慢せずに病院で診てもらいましょう。

乳腺炎には以下の2つのタイプがあります。

うっ滞性乳腺炎

うっ滞性乳腺炎は、乳汁が乳管に溜まり炎症を起こす乳腺炎です。

化膿性乳腺炎

化膿性乳腺炎は、うっ滞性乳腺炎の状態で乳頭から細菌が侵入し細菌感染してしまい、化膿性乳腺炎となって膿が出るようになります。
細菌感染した乳腺炎の場合は、高熱と強い痛みも出ますので、病院で診察を受けて抗生物質等服用する必要があります。

炎症性乳がん

乳腺炎によく似た症状で、「炎症性乳がん」というものがあります。
炎症性乳がんも乳房が赤く腫れるため、自分では乳腺炎と炎症性乳がんの見分けはつきにくいでしょう。

炎症性乳がんは、全乳がんのうち1~3%と珍しい症例ですが、非常に進行度が速いがんです。
授乳期ではない場合に乳腺炎にかかった場合は、炎症性乳がんではないかを調べることを勧められます。

生理前の痛み

生理前は胸の痛みとともに、胸の容積自体も3割~4割増しになるほど、生理前は胸が大きくなります。
これは、生理前に乳腺や乳管が増大することが原因で痛みを感じます。生理が始まって終わる頃には痛みも和らいできます。

胸 痛み 生理前

痛みを感じる時期は人それぞれですが、排卵直後、次の生理の13日前から胸の痛みを感じる人もいます。
この胸の痛みは、女性ホルモンの変動の影響によって起こる痛みなのです。
しかし、生理の13日前から痛む場合、だいたい月の半分は痛い思いをして過ごすことになり、我慢してやり過ごすにはかなり苦痛です。

痛みが長引く場合は、病院で診察を受けましょう。

更年期の痛み

40代~50代になると、女性は更年期が訪れます。
これは卵巣機能が低下することで、女性ホルモンの分泌量が急に減ってしまうことが原因です。

閉経間近になると、女性らしさをサポートするエストロゲンが急に減少し、妊娠をサポートするプロゲステロンが急増してしまうので、乳腺組織の増大と血管の拡張が起こり、胸の痛みを感じます。

更年期 胸 痛み

また、体の変化だけでなく、イライラする、急に泣きたくなるなど、心の状態も不安定になります。
あまり情緒が乱れてくると、日常生活を送ることも困難になってしまう場合があります。
乳房の痛みとイライラが続くときは、無理をせずに早めに医師の診察を受けましょう。

胸の痛みを感じたら

胸の痛みを感じたら、痛みを我慢して不安な気持ちで過ごすよりも、まずは病院で診察を受けましょう。
きちんと検査してみると、乳がんかそうでないかが把握できるだけでなく、今の自分の乳房の状態を知ることもできます。

乳がんではなかった場合は、乳腺症であれば特に治療を必要としないことも多いです。
しかし乳腺線維腺腫や葉状腫瘍など、乳がんではないけれど治療や手術が必要なケースもあります。

いずれにせよ、胸の痛みを感じたら一人で思い悩まずに、病院できちんと診察を受けましょう。

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