乳がんにも他のがんと同様、「再発」と「転移」があります。
乳がんの手術後、患者さんにとって一番心配なことは再発・転移ではないでしょうか?
そんな不安を少しでも解決できるよう、知識を深めていきましょう。
乳がんの再発と転移について詳しく知ろう
- 乳がんを学ぶ上で知っておきたい5年生存率
- 乳がん再発に関する豆知識
- 乳がんの転移は症状に現れる!
乳がんを学ぶ上で知っておきたい5年生存率
5年生存率とは、がんの治療を開始してから5年後に、再発の有無にかかわらず生存している割合のことを言います。
あくまでもこれは指標であり、さまざまな影響により変化します。
もちろん、診断された乳がんのステージにより、値は異なります。
その点を留意した上で、乳がんの5年生存率をみてみると、早期に発見した場合、その値は約90%を超えています。
つまり、乳がんを早く見つけて治療をすれば治癒が不可能ではない、ということになります。
しかし、乳がんを手術した人にとって、一番心配なことは再発・転移ではないでしょうか?
乳がん再発に関する豆知識
再発とは、乳がんが出来始めた初期の頃に、取りきれずに体に潜んでいたがんが後になって出てくることを言います。
乳がんの再発は、手術後2、3年以内に起こることが多いのですが、10年後に現れることもあります。
そして、乳房を取り除いた側の皮膚や脇の下のリンパ節などに起こることを、「局所再発」といいます。
局所再発の症状で代表的なものは、皮膚の赤みやしこりです。
乳がんの手術後、定期的に受診や検査をしていくなかで、発見されることが多いです。
しかし、ここで注意したいのが、再発を早く見つけたいがために、さまざまな検査を受け過ぎてしまうこと。
確かに、再発の症状を早期発見し、治療に取りかかるのは大切なことです。
とはいえ、やみくもに検査を受ければよいというのではありません。
再発の症状が現れた際に、きちんと主治医へ報告できることがポイントとなります。
そのためにも、手術後は定期的に医療機関を受診し、セルフチェックを怠らないことが重要です。
乳がんの転移は症状に現れる!
乳がんの転移・遠隔転移とは、骨や肺、肝臓、脳などの離れた場所にがんが発生することを言います。
以下に、代表的な症状の例を挙げましょう。
骨に転移した場合
骨に転移した場合は、痛みを伴うことがあります。
肺に転移した場合
肺は呼吸を司る器官ですので、呼吸が苦しくなったり、咳が出たりします。
肝臓に転移した場合
肝臓は自覚症状がなかなか出にくい部位です。
お腹が圧迫されたような感覚や、黄疸と呼ばれる皮膚が黄色味がかる症状が出ます。
脳に転移した場合は?
脳は転移した部位によって症状は異なります。
多くの場合は、頭痛やめまい、手足の麻痺などの症状が現れます。
定期的な受診はもちろんですが、これらの症状が現れた際には、早めに主治医へ伝えることが重要となります。
乳がんを克服するために治療法について知ろう
乳がんは、再発と転移では治療法が異なります。
局所再発の場合は、その部位を手術で取り除いたり、放射線治療や、抗がん剤などの薬物療法を行います。
そして、さらなる局所再発を予防していきます。
一方、遠隔転移の場合は、がんの進行を抑え、さまざまな辛い症状を和らげる治療を行います。
そうすることで、がんと向き合いながら生活をしていく手助けとなります。
- 乳がんの再発でも治癒を目指せる?
- 転移した場合でも、さまざまな治療法がある
乳がんの再発でも治癒を目指せる?
局所再発をした場合は、治癒を目指して治療を進めていきます。
初めの手術で残した乳房にがんが再発した場合、通常全ての乳房を切除する手術を行います。
また、全ての乳房を切除した後に、その周りにがん再発した場合は、その部位の切除および、放射線治療を行うのが一般的です。
転移した場合でも、さまざまな治療法がある
転移をした場合は、体全体に効果がでるよう、薬物療法が基本となります。
薬物療法によって、がんの進行を抑えたり症状を和らげたりしていきます。
乳がんと向き合いながら、元気で過ごせるよう、少しでもつらい症状を抑えていくのです。
これを「緩和ケア」とも言います。
緩和ケアと聞くと、「終末期に行うものではないか?」と思う方もいるかもしれませんが、それだけではありません。
現在は、がんの早期から緩和ケアを並行して行うよう考え方が変わってきました。
また、緩和ケアの領域は幅広く、さまざまな専門家がいます。
そして、他職種の医療チームが関わっています。
そういった専門家たちの力を借りて、乳がんと向き合いながら生活をしていくことができるのです。
自分らしく生きるために
再発・転移を告げられた後、漠然とした不安や恐怖を感じるのではないでしょうか?
その気持ちと向き合っていくためには、その感情を認める作業が重要となります。
再発・転移を告げられたら、不安な気持ちになることは当然のこと。
そこで何が不安なのか、何が恐怖なのかを書き起こしてみましょう。
すると、頭の中を整理することができます。
その不安や恐怖を解決するために、正しい知識を身につけることがポイントとなります。
インターネットが普及し、現代は情報にあふれていますが、正しい知識を得られるよう、主治医や医療従事者に確認することも重要です。
乳がんの再発・転移の症状を理解することで、早く主治医へ相談をすることができ、今の状態にあった治療を選択することができます。
再発・転移を告げられても、落ち込むことはありません。
自分らしく生きることができるよう、その手助けをしてくれる方法はたくさんあります。
そのためにも不安な気持ちは抑え込まず、認めてあげてください。
そして、改めて解決していきましょう。