最新治療法

男性の乳腺症について~乳房が大きくなってきたら要注意!?

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乳がんは女性特有の病気と思っている人が多いですが、実は男性も乳がんになることがあります。
男性と女性では、乳がんの患者数に圧倒的な差があり、全乳がん患者の150人に1人が男性です。
しかし、男性でも乳がんになることや、男性の乳腺症について、体の変化と症状をご説明します。

男性 乳がん 乳房

男性の乳がん

男性も乳がんになるというと驚く人も多いですが、男性にも女性より少ないですが乳腺が存在します。
女性のように乳房が膨らんでいるわけではないものの、男性の乳房も乳腺があるので、乳腺に悪性の腫瘍が出来た場合は、乳がんになるのです。
男性乳がんは60~70代の男性に多く発症します。

男性乳がんの多くは、乳房内の乳管の内面を覆っている細胞から発生する乳管がんです。
乳頭付近に乳がんが発生することが多いです。

男性の乳腺症

乳首が洋服に触れると痛みを感じる、乳房にしこりがあるという自覚症状で乳腺科に行く人の多くは、「女性化乳房症」であると言われています。

女性化乳房症とは、正常乳腺が通常よりも発達することで女性のように乳房が膨らんでくる症状です。
年代としては、思春期と更年期に発症しやすいと言われています。

男性の乳腺症 思春期

片方、または両方の乳房が腫れ、大きくなった乳房を圧迫すると痛みを感じます。
男性の乳房の痛みは、男性乳がんとは無関係のことが多いです。

女性化乳房症の原因とは?

女性化乳房症は、ホルモンバランスが影響していると考えられています。

女性化乳房症の症状が出てくる時期は、思春期の12~14歳ごろから始まる第二次性徴期、もしくは男性の更年期の時期と言われる60〜70歳ごろです。
思春期や更年期に、ホルモンバランスが変動するために発症します。

思春期や更年期以外でも、ホルモンバランスの変動がある時期は、女性化乳房症の症状が出ることもあります。

病気や薬が原因?

ホルモンバランスの変動に加えて、一部の肝臓疾患などの特定の病気が原因で女性化乳房症になることもあります。

女性ホルモンやステロイド、前立腺肥大や前立腺癌の治療に用いられる一部の薬や、マリファナ、アルコールなどの過剰摂取も女性化乳房症の原因になることがあります。

女性化乳房症 原因 薬物

育毛剤や高血圧の薬など、女性ホルモンと似た働きをする薬剤を使用することで、女性化乳房症の症状が現れることもあります。

女性化乳房症もきちんと診断を受けましょう

女性化乳房症の症状は、経過観察で半年から1年ほど経つと無くなります。

しかし、女性化乳房症の診断は自分では判別できません。
乳がんである可能性もありますので、乳房にしこりや異変を感じた場合は、乳腺科を受診しましょう。

男性乳がんのリスクを高める原因とは?

一方、男性乳がんの多くは、遺伝が関わっていると言われています。

ちなみに、全乳がんの5~10%は遺伝性の乳がんであるとも言われています。
乳がんの家族歴として、近い女性近親者が何人も乳がんにかかっている場合や、体内のエストロゲンが増大する肝臓疾患などがある場合、乳がんの原因になる可能性があります。

男性の乳がんは発見しにくい?

男性乳がんも、自覚症状は乳房のしこりになります。
しかし、男性は女性と比べて胸(乳房)の症状には注意が及ばないことが多く、、しこりがあっても見つけにくいというデメリットがあります。

しこりに気づかないと乳がん治療の基本である早期発見、早期治療ができません。
そのため、男性の乳がんに気づいたときには、すでにがんが進行していることもあるのです。

男性 乳がん セルフチェック

男性も乳房のセルフチェックをして、乳房に触ると明らかにわかるしこりがある場合は、早急に乳腺科を受診しましょう。

男性乳がんの治療とは?

男性乳がんに対する治療は、基本的には女性乳がんと同じです。
最適な治療方法を決めるためには、浸潤がんなのか、非浸潤がんなのか、ホルモン受容体やHER2タンパクは陽性か、グレードはどうか、腋窩リンパ節転移はあるのかなどしっかり検討します。

男性 乳がん 手術

初期治療として、局所治療(外科手術、放射線療法)を受け、抗がん剤治療などの化学療法、ホルモン療法、抗HER2療法による全身治療があります。
男性乳がんは、発症部位が乳輪乳頭付近であることから、乳房温存手術ではなく乳房切除手術が実施されます。

術後薬物療法

男性乳がんの術後薬物療法に使われる薬は、抗がん剤、ホルモン剤、抗HER2薬の3種類です。

薬名(例) 期間 目的
抗がん剤 パクリタキセル(商品名 タキソール)
ドセタキセル(商品名 タキソテール)
など組み合わせる
手術前は3~6ヶ月行う 手術後の抗がん剤治療によって、乳がんの再発率・死亡率が低下する。
術後治療では、抗がん剤を1種類ではなく何種類かを同時に使用することで効果が最大になることが臨床研究で明らかになっている。
ホルモン剤 タキシフェン(商品名:ノルバデックス) タキシフェンを5年間、または10年間服用 手術後のホルモン療法で再発率を低下させる
抗HER2薬 トラスツズマブ
ペルツズマブ
1年間 HER2陽性の人に効果がある。

男性は乳腺科に行きづらい?

乳房の病気は女性特有のものではなく、男性も乳腺症や乳がんになることがあります。

特に乳がんは、早期発見・早期治療で完治を目指すことができる病気です。
乳房のセルフチェックをして、しこりや痛みなどの異変を感じた場合は、すぐに乳腺科で診察を受けるようにしましょう。

男性 しこり 診察

「男性なので、なんとなく乳腺科には行きづらい」という場合は、奥様に付き添ってもらうことで負担なく病院へ行くことができます。

しこりがあることを気にしながら不安な毎日を過ごすよりも、乳腺科を受診して今の自分の体の状態を知っておくことはとても大切です。

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