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乳がんの「しこり」を発見するための画像診断機器・最新事情

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もしも、セルフチェックや検診で乳がんが疑われる「しこり」が見つかったら、次は専門の病院で精密検査を受けることになります。

検査では、エコーやマンモグラフィの追加撮影など様々な方法で乳房の内部を画像化し、しこりが良性のものか、または乳がんなのかを判断します。

欧米で乳がん検診が始まったのは1940年代。時代が下って70年代に入ると、触診にマンモグラフィを併用することで、より発見率が高まることが認められました。
日本で乳がん検診が始まったのは1965年頃でしたが、マンモグラフィが全国の自治体に導入されたのは2000年代に入ってからです。

欧米に比べ、導入は遅かったものの、技術はどんどん進化しています。
そんな乳がんの画像診断についてみていきましょう。

乳がん しこり 画像診断 

マンモグラフィ

乳がんの検診といえばマンモグラフィ、とイメージするくらい、マンモグラフィはよく知られています。

  • マンモグラフィとは?
  • 進化するマンモグラフィ

マンモグラフィとは?

マンモグラフィは乳房専用のX線撮影装置で、乳がんの早期発見に有効な画像診断です。

マンモグラフィは、乳がんの初期症状である微細な石灰化などを検出できるため、早期発見に有効です。乳がんの検診では最も信頼性の高い検査方法と言われています。
にも関わらず、日本においては、通年でのマンモグラフィ検診受診率は国民の6~7%程度。2年に1度のマンモグラフィ検診と視触診のみの検診をいれても17%ほどにとどまっています。
これは「マンモグラフィが痛みを伴うから」という理由が大きいのかもしれません。

マンモグラフィを撮影する際は、立った状態で撮影台の上に乳房を乗せ、乳房を圧迫板とフィルムの入った板ではさみ、薄く伸ばして撮影します。
乳房を圧迫するのは、平たくすることで病変をより鮮明に写し出し、乳房のなるべく多くの部分を撮影するためです。

乳がん 画像診断 マンモグラフィまた、厚みを薄くすることでX線の被ばく量を減らし、少ない放射線量でがんと正常部分の区別がつきやすい画像を作ります。
このために、個人差はありますが、痛みが伴うことがあります。

痛みが心配な場合は、乳房が張り痛みを感じやすくなる傾向がある月経の1週間くらい前は受診を避けたほうがよいでしょう。
月経後、1週間~10日くらいになると乳房がやわらかい状態になるので、比較的楽に検査を受けられます。

撮影は放射線技師が行い、左右それぞれ、上下と斜め方向から、計4回行われます。
検診では斜め方向のみの場合もあります。

進化するマンモグラフィ

マンモグラフィの有用性は頭でわかっていても、やはり痛みが怖い……。それならば、痛くないマンモグラフィがあったらいいですよね。
最近では、そんな機械が開発されています。それは「トモシンセシス」です。
トモシンセシスは、従来のマンモグラフィに比べて圧力が約40%に軽減されており、痛みがかなり軽くなっています。

もちろん画像化に関しても飛躍的にレベルアップしています。
これまでのマンモグラフィではX線を一方向からのみ当て、乳房を平面的(2D)に画像化していました。
トモシンセシスは乳房を多方向から撮影し、収集した複数のデータを立体的(3D)に再構成します。

乳がん 画像診断 トモシンセシス

トモシンセシスは、X線管球がマイナス25度~+25度の範囲を移動する間に25回の撮影を行い、収集された情報を1mmスライスごとに表示させることができます。
これによって、乳腺が重なっている部分でも明瞭に識別することができ、より確実に病変を描写できるようになりました。

従来は被写体をより薄くして撮影する必要がありましたが、トモシンセシスでは断層画像を撮るために、圧迫が少なくてすむようになったのです。

また、日本人女性に多いといわれるデンスブレスト(高濃度乳腺)のために発見しにくかった病変も、断層画像を撮ることでギザギザの形状の乳がんや小さなしこり、石灰化、乳がんによる乳腺のひきつれなども、より見やすくなりました。

エコー(超音波検査)

乳房に超音波をあて、その反射波を画像に映し出して乳房内部の状態を観察する方法です。

「超音波」とは、人が聴くことができない高い周波数の音波です。
この高い音を臓器に当てて、跳ね返ってきた反射をデータ変換し、画像として表します。
体に無害であり、リアルタイムで臓器の様子を観察することができます。

検査方法は、乳房にジェルを塗り、プローブと呼ばれるセンサーを乳房にあてて移動させ、はね返ってくる音波を画像化して乳房内部の様子をモニターに映し出します。
手で触れないような場所にあるしこりを発見することも可能です。

乳がん 画像診断 エコー

乳腺が発達している人の場合、マンモグラフィでは、しこりの検出が難しいケースがありますが、エコーでは乳腺と乳がんのしこりが比較的容易に判別できます。
放射線を使わないため胎児への影響も心配なく、妊婦さんでも受けることができます。もちろん痛みもありません。

ただし、微細な石灰化は検出しにくいという弱点があります。
そのため、マンモグラフィと併用することが推奨されています。

MRI検査

「MRI検査」は、よく知られている検査方法ではないでしょうか?
ただ、マンモグラフィや超音波に比べ、MRIで乳房を調べる検査はあまり馴染みがないかもしれません。

MRIとは、「Magbetic Resonance Imaging」(磁気共鳴画像)の頭文字を取った略語です。
人の体を強い磁場の装置の中に置き、電波をあてて放出されるNMR信号をもとに画像を描き出し、臓器内の病気の有無を調べる検査方法です。

現在、乳がんにおいてMRIは、マンモグラフィや超音波で精密検査が必要と判断された場合に行う精密検査や、すでに乳がんと診断されている人の「手術前検査」として行われています。

乳がん 画像診断 MRI

MRIは乳がんを診断するための最も感度(病変の発見率)の高い画像診断です。
腫瘍と正常の組織の鑑別に優れているので、良性・悪性の診断のためのより詳しい情報が得られ、乳房内で広がりをもつ多発がんの検査にも適しています。

また、欧米においては、遺伝的に乳がんになりやすい若い女性では、マンモグラフィよりMRIの方が乳がんをより見つけやすいということが報告されています。
放射線を使わないため、被ばくの心配がないのもメリットです。

ただし、マンモグラフィが約10分で検査を終えるのに対してMRIは約20分かかるなどのデメリットもあります。
造影剤を使うため、アレルギーのある人、腎機能の低下した人などは使用できません。
また、体の中に金属がある人や心臓ペースメーカーを入れている人には使うことができません。

PET-CT検査

「PET-CT検査」とは、「PET」と「CT」の2つの検査を同時に行い、全身のがんの位置(PET)と、がんの広がり方(CT)をコンピュータ上で合成して、がんの診断をする方法です。
これまでの画像診断より精度の高い診断ができます。

PET

がんの細胞は増殖スピードが速いので、普通の細胞よりも多くのブドウ糖を取り入れ、消費しています。PETはその性質を利用した検査です。

ブドウ糖に放射能性物質をつけて印をつけておき、体に注射します。
1時間経ったあと、機械で全身を撮影すると、ブドウ糖をたくさん消費している所が映し出されます。
つまり、そこにがんがあるということになるわけです。

乳がん 画像診断 PEM

PEM(Positron Emission Mammography)は、PET検査を乳房用に開発したものです。
全身用のPETと比べて空間分解能力が高く、より微細な病変を早期に発見することができます。

CT

「CT」はX線撮影のひとつで、体を輪切りにした映像を画像化し、がんの広がりやほかの部位への転移を調べる検査です。

ABVS(乳房自動スキャン超音波装置)

ABVSは「Automated Breast Volume Scanner」の頭文字をとったもので、日本語では「超音波自動ブレストボリュームスキャナ」といいます。

通常の超音波検査は、人の手で直接行うため、検査結果が検査を行う人の技量に左右されてしまうという大きな欠点があります。
その欠点を補うために開発されたのがこの自動スキャン超音波装置です。

乳がん 画像診断 ABVS

通常の人の手で行う超音波検査と違い、技師さんの特別なスキルがいらないため、検査の質を高く一定に保つことができます。

また、乳房全体の超音波画像データを撮影し保存するので、検査が終わったあと何度でもその画像を見直すことができ、より診断精度の高い検査を行うことが可能となります。

乳房の状態を、より客観的に知ること

乳房の画像診断は、それぞれの検査の一長一短を理解して受診する必要があります。

マンモグラフィ検査では、特に20代、30代の若い年齢層の場合、正常乳腺の陰影が強く写ってしまい、しこりや石灰化が見つけにくいことがあります(高濃度乳腺)。
高濃度乳腺の場合は、マンモグラフィだけでなく、エコーやMRIなど他の検査と組み合わせて行うことが大切です。

しかし現状では、まだ医師の経験による判断に頼らざるを得ない部分があります。
こういった検査の欠点を克服すべく、「ボルパラ」のように正常乳腺の濃度をマンモグラフィのデジタル画像から解析、判定する方法も出てきています。

今後は、医師によって判断が異なることはどんどん少なくなっていき、より乳房の状態を客観的にしっかりと知ることができるようになっていくでしょう。

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