乳がんは若い人にも発症します。
超音波(エコー)検査は、授乳中や乳房が発達している若い人の救世主です。
乳がんになってしまったすべての人を助けるためのひとつの手段である超音波検査についてご説明します。
働きざかりの女性は乳がんに要注意!
日本女性の11人に1人は乳がんにかかると言われており、テレビでもよく取り上げられるほど身近な病気になってきました。
少し前に比べて乳がんにかかる人は増えてきています。
30歳を過ぎてからは家庭や社会での役割が大きくなってきます。
残される子どものことや家族のことを考えると他人ごととは思えないですよね。
若い世代の乳房は、乳腺が発達しています。
張っている乳房をマンモグラフィで平らにすると、痛みがより強くなります。
また、画像が白くなり過ぎてしまい、しこりを見つけ出すことが難しくなります。
それだけでなく、妊娠中や授乳中に乳がんが発見されるケースも稀にあります。
妊娠中は放射線の被ばくを控えたいですし、授乳中は乳房が張るため、マンモグラフィは避けたいところ
そこで、乳がん検査の救世主になるのが、超音波検査です。
超音波(エコー)検査について詳しく知ろう
- 超音波検査の仕組み
- 超音波検査でわかる所見
- 超音波でしこりはどうわかる?
超音波検査の仕組み
超音波は、人が聴こえない高い周波数の音波のことです。
高い音波を体にあてることで、跳ね返ってきた反射を画像に写し出します。
マンモグラフィはごくわずかな放射線を被ばくするのに対し、超音波は身体に無害です。
超音波を出す機器を乳房にあてながらリアルタイムに体の中の様子を見ることができ、妊娠中や授乳中でも問題なく受けることができます。
超音波検査でわかる所見
超音波検査で見られる所見についてご説明します。
乳腺のう胞
乳腺内に液体が溜まり、袋状になったものです。
30~50歳代に見られることが多く、閉経後には落ち着いてきます。
基本的には治療を行わず、経過を見ていきます。
乳腺線維腺腫
女性ホルモンの影響で出来る良性の腫瘍。30歳代に最も多く見られ、若い世代にも見られる所見です。
しこりが乳がんと似ているため、精密検査を行う場合もあります。
年齢を重ねていくと徐々に消失していきます。
石灰化
機能しなくなった細胞にカルシウムが沈着することを石灰化といいます。
マンモグラフィほど鮮明ではありませんが、超音波検査では、乳房内に高輝度の点として認められます。
ただし、超音波検査では石灰化した乳がんを見つけるのに限界があるため、そのほかの検査と組み合わせて診断をします。
腫瘤
乳房の中にほかの組織とは異なる塊が見えます。
超音波検査だけでは診断が難しいため、良性か悪性のどちらなのか、精密検査が必要です。
乳管拡張症
乳腺から分泌される液体により乳管が広がってしまっている状態です。
基本的には経過を見ていくだけでよいですが、乳がんと関係がないか精査が必要となることもあります。
乳腺症
乳腺がホルモンの影響で、多様に変化します。
しこりを感じ、受診したら乳がんではなく乳腺症であったケースが多くあります。
超音波検査では、白と黒が混ざり合ったヒョウ柄のように写し出されます。
超音波でしこりはどうわかる?
マンモグラフィでは、乳腺も乳がんも白く写ります。
一方で超音波検査は、乳腺は白く、乳がんは黒くうつるため、比較的発見しやすい利点があります。
また、乳房の小さい日本人では効率よく乳がんを見つけることができます。
マンモグラフィに比べて、しこりが良性か悪性かを判断するのに大変有効です。
現在では、超音波検査の有効性を調べる全国的な研究が進んでおり、その成果が公表され始めています。
40歳代の女性に対し、マンモグラフィだけでなく超音波検査を組み合わせることで見逃していたしこりをより発見できるようになりました。
しかし、超音波検査で注意することは、治療に必要のない良性の変化を拾いあげすぎてしまうことです。
しこりが良性か悪性かの判断は超音波検査だけでなく、細胞や組織をとって調べる必要があります。
超音波検査の時点は、悪性と思っていたしこりが実は良性であったということが稀に起こってしまいます。
本来であれば、必要のない精密検査を受けることになってしまうため、身体に負担をかけてしまいます。
また、検査の結果が出るまで時間を要するため、結果が気になり、家事や仕事どころではなくなってしまいますよね。
不必要な検査をしないためにも、超音波検査の精度が問われてきます。そこで、注目したいのが「ABVS」という最新機器です。
最新機器「ABVS」とは?
超音波検査では、手動でリアルタイムに乳房の中を見ていきます。
この検査には欠点があり、乳がんを見つけるためには検査をする人の腕にかかっていました。
また、乳房の大きさなどの特徴により、検査時間が左右されていました。
そこで、超音波検査の欠点をカバーした超音波検査「ABVS」が開発されました。
今までの超音波検査と異なり、自動で超音波をあて、何百枚もの画像を写し出すことで自由に断面を切り出すことが可能になりました。
また、従来では検査時間に左右されていましたが、おおよそ15~30分で検査が終わります。
若い世代にも受けられる乳がんの検査に超音波検査があります。
マンモグラフィを受けるには抵抗がある方も、家族のために超音波検査やABVSを受けて、乳がん対策をしましょう。