乳がんを早く見つけるために検診を受けてみたいと思う方は多いのではないでしょうか?
乳がんの代表的な検査がマンモグラフィです。
検診を受けるにあたり、マンモグラフィの検査の内容について知識を深め、不安を解消しましょう。
定期的な乳がん検診で自分の命を守る
乳房のセルフチェックは早期に乳がんを発見するために大切です。
しかし、慎重にチェックしていても1cm以下の小さなしこりは、自分ではなかなか見つけられません。
とても早い段階で、乳がんを発見するためには定期的に乳がん検診を受けることが重要です。
日本では乳がん検診の受診率が低く、自覚症状が現れてから医療機関へ行き、乳がんが発見されるケースが大半を占めています。
一方で、自覚症状がなく、検診で乳がんが発見された人は2割以上います。
日本も、他の国と比べて検診受診率が上がれば、乳がんで命を落とす人は少なくなっていくでしょう。
また、一度検診を受ければ安心というわけではなく、セルフチェックに加え、定期的に検診を受けるサイクルを習慣化することが大切です。
乳がんの代表的な検査「マンモグラフィ」
乳がん検診でよく耳にするのが「マンモグラフィ」ではないでしょうか?
乳がんを診断するために必要な検査のひとつが、マンモグラフィです。
それでは、マンモグラフィについてご説明します。
- マンモグラフィは何を見つけるの?
- マンモグラフィの検査方法
マンモグラフィは何を見つけるの?
マンモグラフィは、乳がんの初期症状である石灰化を見付けます。
石灰化は、機能しなくなった細胞にカルシウムが沈着することで起こります。レントゲンで見える骨のように、白く写ります。
乳房が大きくて超音波が行き届かない方や閉経後で乳腺が萎縮し、脂肪に置きかわっている方には、マンモグラフィが適しています。
また、マンモグラフィは、過去の資料と比較することが簡単なため、検診でよく用いられます。
マンモグラフィは、手で触れない小さな石灰化したしこりを発見することに優れています。
マンモグラフィは、乳房全体をうつしだすため左右比較しながら、画像を見ることができます。
また、過去の画像とも比較し、ごくわずかな変化に気づくことができます。
マンモグラフィは、レントゲンのように放射線を被ばくすることになりますが、ごくわずかなため心配はありません。
部分的にごくわずかな量を照射するため、骨髄に到達せず、白血病などを起こしにくくなっています。
放射線の被ばくを心配する方もいますが、乳がんをいち早く見つけ出すことの方が今後のためになります。
ただし、妊娠中のマンモグラフィ検査は、あまりおすすめできません。
胎児への影響を最小限にするために、超音波検査(エコー)に変更することがあります。
マンモグラフィの検査方法
マンモグラフィは、更衣から撮影、確認まで含めて通常20分程度で終わります。
乳房の両方を画像に写しだすため、一方の乳房で2方向から撮影を行います。
撮影時には、乳房をふたつの板ではさみ、圧迫して平たくします。
少々痛みを伴いますが、乳房の奥にあるぼんやりとしたしこりを、はっきりと写しだすことができます。
乳房には、乳腺や脂肪組織、血管などが複雑に重なり合っているため、平たくしなければ、ごくわずかなしこりを見逃してしまいます。
また、放射線の被ばく量を最小限にできます。
スムーズに正しく撮影を進めるためには、制汗剤やパウダーを拭き取ることが必要です。
制汗剤やパウダーは石灰化したしこりに非常によく似て写しだされます。
何度もマンモグラフィの検査をするのは、痛みもともない体にも負担をかけてしまいます。
何度も検査することのないよう、検査前には拭き取っておきましょう。
マンモグラフィを受けるときは、特別に薬を飲んだり食事制限をする必要はありません。
普段通りの生活を心がけましょう。
ただし、正確な診断ができなくなる恐れがありますので、髪は結んでから検査を受けるようにしましょう。
マンモグラフィより痛くない? トモシンセシスとは
マンモグラフィでは、二次元で画像を写し出しています。
しかし乳腺が発達している高濃度乳腺(デンスブレスト)では、広い範囲に白く写ってしまい、しこりがまぎれてしまいます。
さらに、乳房が張っている場合は、板で圧迫すると痛みをともないます。
これらのマンモグラフィの弱点を改良した検査がトモシンセシス(3Dマンモグラフィ)です。
- 今までのマンモグラフィとは何か違うのか
- トモシンセシスの課題
今までのマンモグラフィとは何か違うのか
トモシンセシスの特徴は、高い診断能力と圧迫痛が軽減されることです。
マンモグラフィの圧と比較すると、約40%低くなります。
ただし、全く痛みを感じないわけではありませんので、ご注意ください。
また、従来のマンモグラフィに比べて、さまざまな角度から写し出した画像を立体的に組み合わせて1mm感覚で表示できます。
より鮮明に画像を見ることができ、日本人に多い高濃度乳腺にも有効となります。
トモシンセシスの課題
安全の範囲内ではありますが、マンモグラフィよりも被ばく量は少し多くなります。
トモシンセシスを扱う病院はまだ少ないため、身近な病院では検査できない可能性もあります。
マンモグラフィとトモシンセシスの検査
乳がんの代表的な検査であるマンモグラフィは、ごくわずかなしこりを見つけることができます。
最新のトモシンセシスでの検査と合わせて、乳がんを早く見つけて治療を開始できるよう定期的に検診を受ける習慣をつけましょう。