「最近胸がチクチクと痛い・・・もしかして乳がんかも?」
と不安に思ったことはないでしょうか?
30代・40代の女性に多い乳房の痛みやしこりの症状の多くは、乳腺症の症状です。
胸の痛みを感じた時、どこの病院を受診すればよいのでしょうか?
乳腺症の様々な症状や対処方法、乳房の痛みを感じた時に受診する病院についてご説明します。
乳腺症ってどんな症状?
乳腺症には、以下のような自覚症状があります。
- 胸がチクチクする
- 乳房が張る
- 乳房にしこりがある
- しこりを押すと痛い
- 乳頭から分泌物が出る
- 排卵後から生理が始まるまでに痛みが強いが、生理が始まると痛みが落ち着く
これらの症状は多くの女性に現れる症状です。
乳がんと乳腺症の違い
「乳房のしこり」というと乳がんを連想しますが、乳腺症のしこりと乳がんのしこりには、別の特徴があります。
乳がんのしこり
- 基本的に痛みはない
- しこりが硬い
- しこりの境目があまりわからない
- しこりが硬く周囲の組織と結合しているので、あまり動かない
- しこりの大きさが生理の周期で変化しない
- 首の下や脇の下のリンパが腫れることがある
乳腺症のしこり
- しこり自体が痛い
- 押すと痛みがある
- しこりの大きさが生理の周期で変化する
- リンパマッサージなどをすると、しこりが動く
このように、乳がんと乳腺症のしこりはそれぞれ状態が違います。
しこりに痛みがあるかどうか、しこりの大きさが生理の周期によって変わるかどうかなどの違いがあります。
しかし、乳がんの場合絶対に痛みを伴わないということもなく、柔らかいしこりが出来ないという訳でもありません。
乳がんと乳腺症の判断は、素人目線ではわかりません。
しこりが良性か悪性かということは、いくつかの検査を行って診断されます。
そのため、乳房にしこりや痛みを感じた場合は、乳腺科で検査を受けることが必要なのです。
乳腺症によくみられる症状とは?
乳腺症の症状としては、しこり以外に、次のようなものが挙げられます。
- 乳腺嚢胞(のうほう)
- 乳管内乳頭腫
- 乳腺線維腺腫
乳腺嚢胞(のうほう)
乳がん検診などを受けると「嚢胞の疑いあり」と書かれている人がいます。
「嚢胞ってなに? 嚢胞も乳がんになるの?」と心配になる人が多いですが、嚢胞とは、乳腺内で分泌物を乳頭まで運ぶ乳管に分泌物が溜まって袋状になったものです。
嚢胞は1つではなく、複数の嚢胞が出来る場合もあります。
嚢胞も、単純に分泌物が詰まっている「単純性嚢胞」と、嚢胞の袋の中に細胞成分が含まれる「嚢胞内腫瘍」の場合があります。
嚢胞内腫瘍は、良性であれば「嚢胞内乳頭腫」、悪性であれば「嚢胞内がん」などがあります。
また、「小嚢胞集簇」といって、小さな嚢胞が部分的に集まっている症状があります。
小嚢胞集簇の多くは乳腺症で見られる症状ですが、非浸潤がんでも同じ症状が出ることがあります。
これらは乳腺外科できちんと検査を受けて、判別してもらう必要があります。
乳管内乳頭腫
乳管内乳頭腫とは30~50代に多くみられる症状で、分泌物を運ぶ乳管内に発生する良性腫瘍です。
自覚症状として、乳頭からの分泌物が出ることがあります。
分泌物が透明である場合と、血性のものが混ざった場合があります。
乳頭近くに出来る孤立性腫瘤であることが多いですが、乳腺の末梢部分にも発生することがあります。
乳腺線維腺腫
乳腺線維腺腫は、乳房に出来る良性の腫瘍で、10~40代までと幅広い年代の人に起こります。
コロコロとした、よく動くしこりが出来るのが特徴です。
マンモグラフィやエコー検査などの画像検査や針生検をして線維腺腫と診断されれば経過観察になり、特別な治療はありません。
また、線維腺腫と乳がん発症は関係ありません。
線維腺腫は閉経後には消失してしまうことが多いです。
稀に急速にしこりが大きくなる場合は、局所麻酔をして切除することもあります。
乳房に異変を感じたら乳腺科を受診して!
乳がんに限らず胸のことは、なかなか他人には相談しづらいことが多いでしょう。
しかし、自分の胸に意識を持つことはとても大切です。
まずは毎月生理の後に、自分の乳房をセルフチェックする習慣をつけましょう。
乳房のセルフチェック方法
- 乳房を触ってみてしこりはないかどうか
- 乳房の形は崩れていないか、偏りはないか
- 両腕を上にあげた時に突っ張るような感じはないか
- 脇の下にしこりはないか
- 乳房に痛みはないか
自分で乳房をセルフチェックした際、乳房に痛みやしこりを感じたならば、不安なまま過ごすよりも専門の「乳腺科」か「乳腺外科」を受診しましょう。
この時、他の科ではなく乳腺科や乳腺外科を受診することがとても大切です。
以前は婦人科で乳がん検診を受ける人も多くいましたが、現在では乳がん専門医で検診や診察を受けることを勧めています。
特に乳腺症は、触診のみでは乳がんとの区別がつきにくいことも多いので、マンモグラフィ検査、エコー検査を受けることが必要です。
婦人科で診察を受けて、また別の乳腺外科へ転院を勧められるよりも、最初から乳腺科や乳腺外科などの専門医で検査をしてもらうほうがスムーズです。
乳房の鈍い痛みを我慢しながら日常を過ごすことは、心と体にかなりのストレスを感じることでしょう。
乳がんのセルフチェックをしながら、乳房の専門医がいる乳腺科できちんと診断を受けるようにしましょう