佐藤医師がマンモグラフィについてシーメンス社の取材を受けました。
これからのマンモグラフィ検査について記載してありますのでご一読下さい。
MAMMOMAT Inspirationの新機能
HDBT(High Definition Breast Tomosynthesis)
革新的なトモシンセシス画像と合成2D、3D技術
乳房撮影検査における、さらなる診断能向上のために開発を行った新たなテクノロジー「HDBT」。2016年のRSNAで発表以降、ご使用いただくご施設が増え続けています。HDBTは、従来のトモシンセシス画像に加え、新たな画像再構成処理を用いたトモシンセシス画像「EMPIRE」、合成2D画像「Insight2D」だけでなく、3Dボリューム画像を回転させて読影できる「Insight3D」も形成可能です。MAMMOMAT Inspirationにこれらの新機能を導入された、宇都宮セントラルクリニック 佐藤 俊彦 理事長、日本医科大学付属病院 放射線科 村上 隆介 准教授、谷 瞳 先生を訪ね、HDBTの使用経験についてお話をうかがいました。
従来のMAMMOMAT InspirationのTrue TomoとHDBTのEMPIREの画質の違いについてお聞かせください。
佐藤 先生 HDBT導入以降、トモシンセシスの検査はすべてInsight2DとEMPIREを再構成し、これらをメインとして読影を行っています。以前のTrue Tomoの画質とEMPIREの画質を比較すると、明確な進化が見られます。EMPIREでは、石灰化のアーチファクトが減り、病変の描出が明確になりました。経過観察を行っている放射状瘢痕の症例において、EMPIREでは、石灰化のアーチファクトが減り、濃度や病変の輪郭が明確になりました。針生検後の構築の乱れもEMPIRE画像を見ることで良悪性の判別が容易になりました。もちろん病変だけでなく、乳腺実質自体のコントラストが以前のTrue Tomoより向上しているので、特にデンスブレストにおいては、2DやTrue Tomo以上の付加価値のある診断ができると思っています。
今回導入されたHDBTにはトモシンセシスの画質を高めるEMPIREに加えて、合成2D/Insight2Dおよび画像を回転させて読影できるInsight3Dを搭載しています。ご感想をお聞かせください。
佐藤 先生 通常の2D画像よりも診断の幅が広がると思います。通常の2Dでは胸壁側と乳頭側とでX線の吸収差が大きく、スキンラインが描出されないことがありますが、Insight2Dではスキンラインや乳腺実質がはっきりと見えます。乳頭直下も通常の2Dでは見えづらい部分ですが、この部分の情報もInsight2Dの方が多いと感じます。スキンライン、乳腺実質、乳頭直下も、もちろんトモシンセシスのスライス画像で描出されますが、Insight2Dでは、乳房の全体像を直感的に瞬間的に捉えることができますし、吸収差の大きい乳房や病変も均一に描出できます。当院では、新しい読影ツールとして運 用に取り入れています。
Insight3Dについては、病変の拡がりがわかりやすいこと、通常の2Dや他のモダリティ画像よりも患者にわかりやすいということで、海外からはムンテラに使用できるという情報も得ています。今後も有用な情報を収集し、どのように活用するか検討していきたいです。
2DとHDBTとで、判定が変わるという症例はあるでしょうか。
佐藤 先生 ありますね。2Dで認識していなかった病変がトモシンセシスで明瞭に描出された症例もあります。また逆に2Dで所見として拾ったものが、トモシンセシスで良性と判断できた症例も有ります。特に血管は、ポジショニングによって2Dでは腫瘤性病変のように描出されることがあります。それがトモシンセシスのスライス画像だと、血管の走行が追えるので、腫瘤ではなく血管だと確実に判断することができます。今回トモシンセシスを
ベースにしたHDBTを導入したことで、より診断しやすくなりました。不要な再検査率を下げるためにも、日本のスクリーニングでもっとトモシンセシスを導入していくべきだと考えています。
(誌面より)