コラム

サイバーナイフとは? 〜今さら聞けないその特徴とこれから〜

サイバーナイフとは?

栃木県内においても、多くの先生方が日常診療に加えコロナ対応もしなければならない大変な状況であったと思いますが、先生方には多くの患者さんをご紹介いただき、まずは感謝申し上げたいと思います。

さて、宇都宮セントラルクリニックでは2018年に、定位放射線治療装置(サイバーナイフ)と強度変調放射線治療装置(トモセラピー)を備えた放射線治療センターを開設しました。

サイバーナイフは、従来の放射線治療装置よりも高精度な位置補正により病変の形状に合わせた照射が可能であるため、周辺の正常組織への被ばくを減らし、対象部位へ高い線量を照射できるという、放射線治療の理想を実現できる装置と言えます。今回は、このサイバーナイフの特徴等について改めてお話させていただきます。

2つの特徴

①動く病変を狙い撃つ「追尾照射」

肺や肝臓では呼吸の動きで腫瘍は動きます。また、前立腺ではそれに加え腸管の運動の影響を受けます。そのため、追尾照射ができない一般的な放射線治療機の場合、病変が動くと思われる範囲(5~20mm)を4次元的なCTで確認して全範囲に照射するため、正常組織の照射線量は増えてしまいます。

一方、追尾照射が可能なサイバーナイフでは、このような病変の動きをリアルタイムで画像解析して、1ミリ以内の誤差で追尾し照射することで、正常組織への被ばくを低減することができます。

ちなみに、この技術は巡航ミサイルに使われている追尾技術(DSMAC-2)を応用しています。

②腫瘍への線量を最大化するための「線量集中性」

先端にX線発生装置を装着したロボットアームは、照射方向の自由度が極めて高く、あらゆる方向から病変に細い放射線を集中させて、病変の形状にフィットした線量分布を実現できます。これにより、病変周辺の正常組織へのダメージは低減できるため、腫瘍に対しては制御が期待される高い線量を照射することができます。

転移性脳腫瘍に対するサイバーナイフの有用性

サイバーナイフの歴史は転移性脳腫瘍などに対する頭蓋内照射に始まり、その後、肺や肝臓、前立腺などの体幹部にも応用されてきました。昨年4月の保険改訂において、本邦においては裏面に示すような疾患が体幹部定位放射線治療として保険適用となっています。当院においては、様々な症例に対し治療を実施しており、サイバーナイフ目的でご紹介いただく症例の半数が頭蓋内照射、残る半数が体幹部照射という現状です。

国内では1990年にガンマナイフを用いた転移性脳腫瘍に対する定位放射線治療が始まり、現在でも治療の一つの選択肢となっています。しかし、使用が頭部に限られ、さらに径30mm以上の大きな腫瘍の治療は困難です。一方、サイバーナイフでは侵襲性が高い方法で頭部を固定する必要はなく、照射時にはソフトシェルを頭部に被せるのみで、患者負担が少なく、ガンマナイフに匹敵する精密な照射が実現できます。また、サイバーナイフでは径50mmまでの大きな腫瘍であっても、複数日に分割しての治療完遂が可能です。

従来、多発脳転移の治療は全脳照射が広く行われてきましたが、晩期障害として認知機能の低下が問題になります。近年、薬物療法の進歩により、長期生存される転移性脳腫瘍患者さんが増えているのは先生方もご認識の通りで、従来以上にこの問題はクローズアップされる機会が増えています。定位放射線治療では、脳の正常部へはほとんど照射されないため、この認知機能低下のリスクを限りなく低減できます。

サイバーナイフによる多発脳転移の治療は、正常脳の線量低減による認知の機能障害などのリスク低減と、比較的大きな脳転移にも対応可能である点において、大きなメリットがあると考えています。

オリゴ転移に対する定位放射線治療

骨転移に対しては8グレイ1回あるいは3グレイ10回などの緩和照射が広く用いられています。しかし、オリゴ転移であれば、より高い線量を照射することにより、予後が改善するというエビデンスが近年複数報告されてきています。これを踏まえ、2020年4月の診療報酬改定をもって、5個以内のオリゴ転移への定位放射線治療が保険適用となり、当院でも開始しました。

サイバーナイフによるオリゴ転移の治療を積極的に行っている施設はまだ少ないと思います。これから当院も含めて、さらなるエビデンスの蓄積が待たれるところです。

※ Palma DA, Olson R, Harrow S, et al. Stereotactic Ablative Radiotherapy for the Comprehensive Treatment of Oligometastatic Cancers: Long-Term Results of
the SABR-COMET Phase II Randomized Trial. J Clin Oncol (2020) 38:2830–8.

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