肺がん、肺転移
病気について
肺がんは、気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化したものです。進行すると、がん細胞は周りの組織を壊しながら増殖し、血液やリンバ液の流れにのって転移することもあります。転移しやすい場所はリンパ節、反対側の肺、骨、脳、肝臓、副腎です。がん細胞が最初に発生した場所(原発巣)から、肺に転移したがん病変を肺転移(転移性肺腫瘍)といいます。
サイバーナイフの呼吸追尾照射システムを用いることにより、患者さんの呼吸サイクルのいかなる時点においても継続的にX線照射を行い、呼吸パターンの変化にも即座に対応することができます。このため、一般的な放射線治療で行われているゲーティング法や息止め法が不要となり、患者さんは通常通りの呼吸を続けることができます。さらに、X線画像において目視可能な肺腫瘍の場合は、腫瘍自体の位置を高精度の解析して追尾することが可能です。これにより、体内金属マーカー留置を行う必要がないため、より侵襲性の低い治療が可能です。
トモセラピーは呼吸追尾照射ができませんが広範囲の治療を得意とすることから、肺がん原発巣と所属リンパ節領域を同時に照射するような治療で用いています。
また、肺がん原発巣は呼吸追尾照射を用いたサイバーナイフで治療を行い、所属リンパ節領域はトモセラピーで治療を行うという、2つの治療機を用いたハイブリット照射も当院では行っています。この照射方法は、それぞれの治療機の特徴を活かした治療法であるため、症例によっては放射線肺臓炎などの副作用の発生を最小限に抑えることが期待できます。
症例
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症例1肺がん
右肺上葉に生じた肺がんに対してサイバーナイフ治療を実施。
放射線治療から4か月後に撮像されたCT画像では腫瘍構造の破壊が確認できる。照射回数 30回 治療時間 4分30秒 処方線量 60Gy 治療前 ▶︎ 治療後
治療計画
治療前 ▶︎ 治療後
※肺がんに対する治療には手術や放射線治療があるが、病期や患者状態によって選択をする。本症例は御高齢であり、かつ既往歴に右肺がんに対する右肺下葉部分切除の手術が行われていたため手術は適応外となった。放射線治療に行った際の治療効果と予想される副作用を十分に説明した結果、放射線治療を希望された。
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症例2肺がん
左肺上葉に生じた肺がんに対してサイバーナイフ治療を実施。
放射線治療から3か月後に撮像されたCT画像では腫瘍構造の破壊が認められ、
治療から1年後には腫瘍の消失が確認できる。また、本症例は肺腫瘍をトラッキングした呼吸追尾照射技術で治療が行われたため、放射線肺臓炎の発生が最小限に抑えられていることが分かる。照射回数 4回 治療時間 29分 処方線量 55Gy 治療前
治療計画
治療後3か月
治療後6ヶ月
治療後9ヶ月
治療後1年
※肺がんに対する治療には手術や放射線治療があるが、病期や患者状態によって選択をする。本症例は、御高齢で心不全がある患者さんであったため手術は適応外となった。放射線治療に行った際の治療効果と予想される副作用を十分に説明した結果、放射線治療を希望された。
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症例3肺がん
左肺上葉に生じた肺がんに対してサイバーナイフ治療を実施。
放射線治療から4か月後に撮像されたCT画像では腫瘍構造の破壊が確認できる。照射回数 4回 治療時間 24分 処方線量 55Gy 治療前
治療後2ヶ月
治療後4ヶ月
※肺がんに対する治療には手術や放射線治療があるが、病期や患者状態によって選択をする。本症例は御高齢であり、かつ既往歴に右肺がんに対する右肺下葉部分切除の手術が行われていたため手術は適応外となった。放射線治療に行った際の治療効果と予想される副作用を十分に説明した結果、放射線治療を希望された。
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症例4原発性肺がん(子宮体がん)
右肺に生じた転移性肺腫瘍に対してサイバーナイフ治療を実施。
放射線治療から1か月後に撮像されたCT画像では腫瘍の縮小が認められ、
治療から1年6か月後には腫瘍の消失が確認できる。また、本症例は肺腫瘍をトラッキングした呼吸追尾照射技術で治療が行われたため、放射線肺臓炎の発生が最小限に抑えられていることが分かる。照射回数 10回 治療時間 26分 処方線量 50Gy 治療前
治療計画
治療後1か月
治療後4ヶ月
治療後10ヶ月
治療後1年6カ月
※転移性肺腫瘍に対する治療には手術や放射線治療があるが、病期や患者状態によって選択をする。本症例は、放射線治療に行った際の治療効果と予想される副作用を十分に説明した結果、放射線治療を希望された。