よくあるご質問

乳がんについてや検診のことについて、
さまざまなご質問にお答えします。

乳がんについて

なにかと分からないことが多い乳がんという病気。初期症状や特徴、心がまえなどについてご紹介しています。


乳がんになった場合、以下のような症状が見られることがあります。
乳房、わきの下にしこりがある
乳房にひきつれ、くぼみがある
乳頭の異常(湿疹・ただれ・分泌物)がある
乳房皮膚の異常(発疹・はれ・ただれ)がある
しかし、ごく初期の段階では、しこりもわからないほど小さかったり、痛みや体調不良などの自覚症状もないことが多いのです。
乳がんを放置しているとリンパ節や他の臓器に転移しやすいため、少しでも違和感を感じることがあったら医療機関で検査を受けることはもちろん、自覚症状がなくても定期的に検診を受けることが大切です。


欧米人と比べて日本人には少ないとされてきた乳がんですが、食生活やライフスタイルの変化に伴って、日本人女性の患者数は急増しています。
2013年には乳がんと診断された患者数は7万人を越え、一生の間に乳がんになる確率は11人に1人とされています。
また、日本では乳がんで死亡する人は年々増加しており、2016年には14,000人超の女性が亡くなっています。
一方、欧米諸国では乳がんで死亡する人は減少傾向にあります。
れらの国では検診の受診率が高く、乳がんの早期発見が可能になっていることが大きな要因だと考えられています。


最も大きなリスク要因は遺伝的なものです。とくに母親や姉妹に乳がんになった人がいる場合は、リスクは2倍になると言われています。
また、乳がんは一般的に次のような人がなりやすいといわれています。
初潮年齢が早かった方(11歳以下)
出産経験のない、または初産年齢が遅い方(30歳以上)
閉経年齢が遅かった方(55歳以上)
これは、乳がんの発生には、女性ホルモンであるエストロゲンが大きく影響しているためです。
エストロゲンは女性の体を作るための重要な働きをしているホルモンですが、分泌されてる期間が長いほど、乳がんのリスクが高まるのです。
妊娠・授乳期には分泌が止まるため、それだけリスクが減ることになります。
閉経後はエストロゲンの分泌は止まりますが、別のホルモンが脂肪組織でエストロゲンに変わります。
したがって、閉経後の肥満もリスクの一つです。日本では、乳がんにかかる人は30代から増加し始め、50歳前後をピークとして減少する傾向にあります。
年代にかかわらず、乳がんの危険性を認識して、セルフチェックを続けることや検診を受けることが大切です。


乳がんが発生する場所は、左右の乳房の外側上部が5割近くを占めています。
しかし、他の部位での発生も、決して低い割合ではありません。
セルフチェックの際には、乳房全体をていねいに調べましょう。


閉経後の肥満が乳がんの発生のリスクを高めること、逆に適度な運動が予防効果を高めることは、ほぼ確実だと言われています。
また、科学的に証明されてはいませんが、大豆食品や魚、野菜、果物、お茶は予防効果が認められたという報告もあります。
ただし、すべてのがんについて言えることですが、 決め手となる予防法はありません。定期的な検診によって、早期の段階で発見することが大切です。


しこりなどの異常があれば、すべて乳がんなのではありません。大半は以下のような良性の病気によるものです。
乳腺症 … 30代~40代の女性に多く、しこりや痛みを伴うことが多い。
女性ホルモンの不均衡で起こるため、生理不順やストレスなどが誘因となることも。
乳腺線維腺腫 … 10代~20代の女性に多く、しこりは表面がなめらかで硬く、よく動く。
それ自体は良性だが、急激に大きくなるものに悪性の可能性があるので要注意。
乳腺炎 … 授乳期に起こりやすく、乳房が赤く腫れて痛みを伴う。
しかし、自己流で判断することはたいへん危険です。少しでも違和感を感じることがあったら、医療機関で検査を受けましょう。


検診について

乳がんの早期発見には、定期的な健診が不可欠です。また、早期発見によって、生存率を大幅に高めます。


乳がんを調べるにはセルフチェック(自己検診)と医療機関での検診があります。
医療機関では視触診や超音波検査(エコー)、マンモグラフィーなどの検査を行います。
セルフチェックで異常がなくても、これらの検査で早期の乳がんが見つかることもあるので、定期検診を習慣づけたいものです。
視触診、超音波、マンモグラフィーを併用することで、乳がんの約9割は発見することができるといわれています。


2004年に厚生労働省から、40歳以上の女性に2 年に1度の検診(視触診とマンモグラフィーの併用)を実施するという指針が出されました。
また、医療機 関では年齢によって有効性が異なるとして、 超音波検査を併用することもあります。
マンモグラフィーは全体像が把握でき、最も精度の高い検査方法とされていますが、まだ乳腺の発達している世代では、
しこりを見つけるのが難しい場合があるためです。
検査は一度やればよいのではなく、続けることが重要です。
合わせて、20代を含めたすべての女性にぜひ行っていただきたいのが、セルフチェック。定期的な検診が早期発見につながります。


治療・術後について

もしも乳がんと診断されても、現在では研究が進んでいるので、適切な処置を行うことができます。治療方法や術後についてご紹介しています。


乳がんは治る病気です。ただ、それには早期発見が重要なポイントです。
日本乳癌学会の調査によると、2cm以下のしこりでリンパ節への転移がない状態(I期)であれば、約90%の人が10年生存している、
つまりほぼ完治しているという結果が出ています。
しかし、病期が進むほど生存率が下がってしまいます。
早期発見につなげるために、セルフチェックや定期検診を心がけましょう。


乳がん治療のための外科手術には、乳房を全部切除するものと、部分的な切除によって乳房の形を極端に損なわないようにする乳房温存手術とがあります。
現在では半数以上が乳房温存手術であると言われています。
しこりが大きかったり乳がんが広範囲に広がっている場合には、全切除が選択されますが、早期がんの場合は温存手術で済むことが多いのです。
やはり、重要なのは早期発見です。